
立替経費精算とは?経費精算の手順や仕訳対応について解説【2025年最新版】
公開日:2025年6月12日 更新日:2025年6月12日
企業が事業を営む上で発生する費用は、基本的に会社が直接支払うのが原則です。しかし、外出先や出張中に急な支払いが必要になるケースも少なくありません。そのような場合、従業員が交通費や交際費などの経費を一時的に立て替えることがあります。従業員が経費を立て替えた場合、後日適切に立替経費精算の処理を行う必要があります。
本記事では、立替経費精算の基本概念から具体的な手順、仕訳方法、さらには2025年最新のインボイス制度対応まで、実務に役立つ情報を詳しく解説します。また、経費精算業務の効率化に役立つシステム比較や、立替経費精算の負担を軽減するための方法についても紹介します。経理担当者や管理部門の方々はもちろん、経費を立て替える機会のある従業員の方々にも参考になる内容となっています。
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目次
立替経費精算の基本
企業活動において、従業員が立て替えた経費を精算する場面は日常的に発生します。ここでは、立替経費精算の基本的な概念や重要性について解説します。
立替経費精算の定義と概要
立替経費精算とは、本来会社が支払うべき費用を従業員が一時的に立て替え、後日その費用を会社が従業員に返金する一連の処理のことを指します。従業員は立て替えた経費の証明として領収書やレシートを会社に提出し、会社はそれを確認した上で精算金を支払います。
立替経費精算は、単なる金銭のやり取りではなく、会計上適切な処理が必要な重要な業務です。特に2023年10月から本格施行されたインボイス制度により、経費精算の重要性はさらに高まっています。2025年現在では、インボイス制度の経過措置期間中ではありますが、適切な対応が求められています。
立替経費と仮払金の違い
立替経費と似た概念に「仮払金」がありますが、両者は明確に異なるものです。
立替金(立替経費)従業員や取引先などが支払うべき費用を会社が一時的に負担すること。従業員が会社の経費を立て替えた場合は、会社から見ると「未払金」となります。
仮払金会社が従業員に対して、経費として必要な費用を事前に概算で支払うこと。出張旅費の前払いなどが典型的な例です。
この違いを理解することは、適切な会計処理を行う上で非常に重要です。立替経費精算では、従業員が先に支出した費用を後から会社が精算するのに対し、仮払金では会社が先に従業員に資金を渡し、後で精算書と領収書で精算します。
立替経費が発生する主なケース
立替経費が発生するケースは多岐にわたりますが、主に以下のようなシーンで発生することが多いです
1. 出張関連費用
・ 出張先での交通費(タクシー代、バス代など)
・ 急な宿泊費の変更
・ 出張中の飲食費や接待費
2. 営業活動関連
・ 取引先との会食費
・ 取引先訪問時の交通費
・ 取引先へのちょっとした手土産
3. オフィス関連
・ 急な事務用品の購入
・ 少額の消耗品購入
・ 社内会議用の飲食物
4. その他
・ 郵便料金
・ 駐車場代
・ 書籍・資料の購入費
これらの費用は、金額が少額であったり、事前に正確な金額が分からなかったりするケースが多いため、従業員が立て替えて支払うことが一般的です。
立替経費精算の重要性
立替経費精算を適切に行うことは、以下の理由から非常に重要です
1. 会計の正確性確保
企業の会計記録を正確に保つためには、すべての経費を適切に記録する必要があります。立替経費も例外ではなく、正確に記録されなければなりません。
2. 税務上の要件遵守
経費として計上するためには、適切な証憑書類(領収書など)の保管が必要です。特にインボイス制度導入後は、仕入税額控除を受けるための要件が厳格化されています。
3. 従業員の負担軽減
従業員が立て替えた経費を迅速に精算することは、従業員の金銭的負担を軽減し、モチベーション維持にもつながります。
4. 不正防止
明確な経費精算プロセスを設けることで、経費の不正使用を防止することができます。
5. 予算管理
立替経費を適切に管理することで、部門ごとの予算管理も容易になります。
立替経費精算の一般的な手順
立替経費精算を行う際の一般的な手順について解説します。会社によって細かい部分は異なりますが、基本的な流れはほとんど変わりません。
経費精算の申請プロセス
立替経費精算の第一歩は、経費を立て替えた従業員による申請です。一般的な申請プロセスは以下の通りです
1. 経費精算書の作成
従業員は経費精算書を作成します。多くの企業では、専用のフォーマットが用意されており、紙の場合は手書きで記入、電子化されている場合はシステムに入力します。
2. 証憑書類の添付
領収書やレシートなど、支払いを証明する書類を添付します。インボイス制度導入後は、適格請求書(インボイス)であるかどうかの確認も必要です。
3. 申請内容の記入
経費の種類、金額、日付、目的、プロジェクトコードなど、必要な情報を記入します。
4. 提出
作成した経費精算書と証憑書類を上司や経理部門に提出します。電子化されている場合は、システム上で申請を行います。
多くの企業では、「支払った日から10営業日以内に申請する」など、申請期限に関するルールが設けられています。これは、会計処理の適時性を確保するためです。
経費申請の承認フロー
経費精算の申請後、通常は以下のような承認フローを経ます
1. 直属の上司による承認
まず、申請者の直属の上司が内容を確認し、承認します。上司は経費の妥当性や業務関連性をチェックします。
2. 部門責任者による承認(必要に応じて)
金額が大きい場合や特定の経費カテゴリーの場合、部門責任者による追加承認が必要なケースもあります。
3. 経理部門によるチェック
最終的に経理部門が、証憑書類の有無、金額の正確性、勘定科目の適切さなどをチェックします。インボイス制度導入後は、適格請求書の要件を満たしているかの確認も行います。
4. 最終承認
すべてのチェックが完了すると、最終承認が行われ、精算金の支払い手続きに進みます。
承認フローは会社の規模や組織構造によって異なります。小規模な企業では簡略化されていることも多いですが、大企業では複数の承認ステップが設けられていることが一般的です。
仕訳処理の方法
経費申請が承認されると、経理担当者は適切な仕訳処理を行います。立替経費の仕訳処理は、主に以下の2段階で行われます
1. 精算時の仕訳
経費の内容に応じた勘定科目(旅費交通費、消耗品費、接待交際費など)を借方に、未払金を貸方に計上します。
例従業員がタクシーで取引先を訪問し、1,000円を立て替えた場合
(借方)旅費交通費 1,000円 / (貸方)未払金 1,000円
2. 精算金支払い時の仕訳
実際に従業員に精算金を支払う際には、未払金を借方に、現金預金を貸方に計上します。
例上記の立替経費を従業員に支払う場合
(借方)未払金 1,000円 / (貸方)現金預金 1,000円
インボイス制度導入後は、適格請求書発行事業者からの仕入れか、それ以外からの仕入れかによって、仕入税額控除の取り扱いが異なるため、区分して管理する必要があります。
精算金の支払い方法
立替経費の精算金を従業員に支払う方法には、主に以下のようなものがあります
1. 給与と一緒に振り込む
多くの企業では、立替経費の精算金を給与と一緒に従業員の口座に振り込みます。この方法は、振込手数料の節約になりますが、給与日までに精算が完了しない場合は次回の給与日まで待つ必要があります。
2. 個別に振り込む
高額の立替経費の場合や、従業員の負担を早く解消したい場合は、給与とは別に個別に振り込むこともあります。
3. 小口現金から支払う
少額の立替経費の場合、経理部門が管理する小口現金から直接支払うケースもあります。この方法は迅速ですが、小口現金の管理が煩雑になる可能性があります。
4. 法人カードの利用
最近では、従業員に法人カードを持たせ、立替そのものを減らす企業も増えています。この場合、従業員は立替経費精算の手間が省け、会社も支払いの一元管理ができるメリットがあります。
立替経費を精算する際の仕訳方法
立替経費の精算には、適切な仕訳処理が不可欠です。ここでは、具体的な仕訳例とともに、インボイス制度に対応した仕訳のポイントを解説します。
精算時の仕訳方法と具体例
立替経費の精算時には、経費の内容に応じた勘定科目を使用します。以下に、代表的な経費カテゴリーごとの仕訳例を示します
1. 交通費の場合
(借方)旅費交通費 3,000円 / (貸方)未払金 3,000円
摘要〇月〇日 取引先訪問タクシー代
2. 接待費の場合
(借方)接待交際費 10,000円 / (貸方)未払金 10,000円
摘要〇月〇日 取引先との会食費
3. 消耗品の場合
(借方)消耗品費 2,000円 / (貸方)未払金 2,000円
摘要〇月〇日 事務用品購入
4. 通信費の場合
(借方)通信費 1,500円 / (貸方)未払金 1,500円
摘要〇月〇日 出張中の通信費
インボイス制度導入後は、消費税の仕入税額控除の適用可否によって、消費税の処理も異なります。適格請求書を受領している場合は、消費税額を区分して記帳することが望ましいでしょう。
精算金支払い時の仕訳方法と具体例
精算金を実際に従業員に支払う際の仕訳は、支払方法によって若干異なります
1. 銀行振込で支払う場合
(借方)未払金 5,000円 / (貸方)普通預金 5,000円
摘要〇月〇日 立替経費精算金支払
2. 小口現金で支払う場合
(借方)未払金 1,500円 / (貸方)小口現金 1,500円
摘要〇月〇日 立替経費精算金支払
3. 給与と一緒に支払う場合
(借方)未払金 8,000円
(借方)給与 300,000円 / (貸方)普通預金 308,000円
摘要〇月分給与及び立替経費精算金支払
なお、立替経費の精算金は給与ではないため、所得税や社会保険料の計算対象にはなりません。
勘定科目の選び方
立替経費の仕訳を行う際、適切な勘定科目を選ぶことが重要です。主な経費の種類と対応する勘定科目は以下の通りです
1. 移動に関する費用
・ 電車・バス・タクシー代 → 旅費交通費
・ ガソリン代 → 旅費交通費または車両費
・ 駐車場代 → 旅費交通費または車両費
2. 接待・会議に関する費用
・ 取引先との飲食費 → 接待交際費
・ 社内会議の飲食費 → 会議費
・ 贈答品 → 接待交際費
3. 物品購入に関する費用
・ 事務用品 → 消耗品費
・ 書籍・資料 → 新聞図書費
・ 備品 → 備品費または固定資産(金額による)
4. 通信・インターネットに関する費用
・ 電話代 → 通信費
・ インターネット利用料 → 通信費
5. その他の費用
・ 郵便料金 → 通信費
・ 研修費 → 研修費
・ 健康診断費 → 福利厚生費
勘定科目の選定に迷う場合は、経費の使用目的や内容を考慮して判断します。不明な場合は、税理士や会計士に相談するとよいでしょう。
インボイス制度対応の仕訳ポイント
2023年10月から導入されたインボイス制度により、立替経費の仕訳処理にも変更が生じています。2025年現在の主なポイントは以下の通りです
1. 適格請求書発行事業者からの仕入れの場合
適格請求書(インボイス)を受領している場合は、通常通り仕入税額控除が可能です。消費税額を明確に区分して記帳します。
例10,000円(税抜)の経費を立て替えた場合(消費税10%)
(借方)旅費交通費 10,000円
(借方)仮払消費税 1,000円 / (貸方)未払金 11,000円
2. 適格請求書発行事業者以外からの仕入れの場合
2023年10月から2029年9月までの経過措置期間中は、段階的に仕入税額控除の割合が減少します。2025年現在は、仕入税額相当額の80%が控除可能です。
例10,000円(税抜)の経費を免税事業者から立て替えた場合(消費税10%)
なお、仕訳方法は次の2通りのいずれかで対応します。
①本体価格に上乗せする仕訳方法
(借方)旅費交通費 10,200円
(借方)仮払消費税 800円 / (貸方) 未払金 11,000円
②雑損失として仕訳する方法
(借方)旅費交通費 10,000円
(借方)仮払消費税 800円 / (貸方) 未払金 11,000円
(借方)雑損失 200円
3. 少額の取引の場合
中小事業者については、2023年10月から2029年9月までの間、1万円未満の課税仕入れについては、適格請求書の保存がなくても、一定の条件を満たした帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められます。
4. 区分記載の必要性
適格請求書発行事業者からの仕入れと、それ以外からの仕入れを区分して管理する必要があります。経費精算システムを導入している場合は、システム上で区分管理できるかを確認しましょう。
立替経費精算における課題
立替経費精算には、様々な課題が存在します。これらの課題を理解し、適切に対処することで、より効率的な経費精算プロセスを構築することができます。
申請手続きの煩雑さ
立替経費精算の申請手続きには、以下のような煩雑さが伴います
1. 書類作成の手間
経費精算書の作成、領収書の整理・添付など、申請者にとって手間のかかる作業が多く存在します。
2. 承認プロセスの複雑さ
複数の承認者を経由する必要があり、一人でも不在だと承認が滞る可能性があります。
3. 紙ベースの処理
紙の経費精算書や領収書を扱う場合、紛失や破損のリスクがあります。また、テレワークが普及した現在、物理的な書類のやり取りは非効率です。
4. インボイス制度対応の確認作業
インボイス制度導入後は、適格請求書の要件を満たしているかの確認作業が加わり、さらに手続きが煩雑になっています。
これらの課題に対しては、経費精算システムの導入や電子化によって、大幅な効率化が可能です。
小口現金管理の負担
小口現金を使って立替経費を精算する場合、以下のような管理上の負担が生じます
1. 現金管理のリスク
現金を扱うため、紛失や盗難のリスクがあります。
2. 出納管理の手間
小口現金出納帳への記入や残高確認など、日々の管理作業が発生します。
3. 残高不足の問題
立替経費の精算が集中すると、小口現金の残高が不足する可能性があります。
4. 現金の引き出し手続き
小口現金の補充のために銀行に行く手間や、引き出し手続きの負担があります。
小口現金による精算は、少額の経費に限定し、可能な限り銀行振込や法人カードの活用を検討することが望ましいでしょう。
従業員の金銭的負担
立替経費は、一時的とはいえ従業員の私費を使うため、以下のような負担が生じます
1. 高額経費の負担
出張費や接待費など、高額な経費を立て替える場合、従業員の家計に大きな影響を与える可能性があります。
2. 精算までの期間
申請から精算までに時間がかかると、従業員の金銭的負担が長期化します。
3. 立替頻度の問題
頻繁に経費を立て替える必要がある従業員は、常に一定額の現金や利用可能なクレジットカード枠を確保しておく必要があります。
4. 個人のクレジットカード利用
個人のクレジットカードで立て替えた場合、利用限度額に影響したり、ポイントの扱いが曖昧になったりする問題があります。
これらの課題に対しては、法人カードの導入や、高額経費の事前仮払い制度の整備などが有効です。
処理ミスのリスク
手作業による立替経費精算には、以下のような処理ミスのリスクが伴います
1. 計算ミス
金額の集計や消費税の計算ミスが発生する可能性があります。
2. 勘定科目の誤り
適切な勘定科目を選択できず、会計処理が不正確になるリスクがあります。
3. 二重精算
同じ経費を複数回申請してしまう二重精算のリスクがあります。
4. 証憑書類の不備
領収書の紛失や、必要事項が記載されていない領収書を受け取るなどの不備が生じる可能性があります。
これらのリスクを軽減するためには、チェック体制の強化やシステム化による自動化が効果的です。
インボイス制度対応の課題
2023年10月から導入されたインボイス制度により、立替経費精算には新たな課題が生じています
1. 適格請求書の確認
受領した領収書や請求書が適格請求書の要件を満たしているかを確認する必要があります。
2. 登録番号の確認
取引先が適格請求書発行事業者であるかを確認するため、登録番号を確認する作業が発生します。
3. 区分管理の必要性
適格請求書発行事業者からの仕入れと、それ以外からの仕入れを区分して管理する必要があります。
4. 経過措置への対応
2023年10月から2029年9月までの経過措置期間中は、段階的に変化する仕入税額控除の割合に対応する必要があります。
これらの課題に対しては、インボイス制度に対応した経費精算システムの導入や、従業員への教育が重要です。
経費精算システムの比較
立替経費精算の課題を解決するためには、経費精算システムの導入が効果的です。ここでは、経費精算システム導入のメリットと、2025年最新の主要システムの比較を行います。
経費精算システム導入のメリット
経費精算システムを導入することで、以下のようなメリットが得られます
1. 業務効率の大幅向上
・ 申請・承認・精算のプロセスが電子化され、ペーパーレス化が実現
・ 承認フローの自動化により、承認スピードが向上
・ データ入力の自動化により、手入力の手間が削減
2. ミスの削減
・ 自動計算機能により計算ミスを防止
・ 二重申請のチェック機能により二重精算を防止
・ 必要事項の入力チェック機能により申請漏れを防止
3. コンプライアンスの強化
・ 経費規程に基づいた自動チェック機能
・ インボイス制度への対応
・ 電子帳簿保存法への対応
4. 可視性の向上
・ リアルタイムでの経費状況の把握
・ 部門別・プロジェクト別の経費分析
・ 経費精算の進捗状況の可視化
5. 従業員満足度の向上
・ スマートフォンからの申請が可能になり、外出先からも申請可能
・ 精算期間の短縮により、従業員の金銭的負担が軽減
・ 領収書のスキャン機能により、紙の領収書管理の手間が削減
主要経費精算システムの機能比較
2025年現在、日本市場で人気の高い経費精算システムの主な機能を比較します
楽楽精算
特徴
・ 国内シェアNo.1の経費精算システム
・ 柔軟なカスタマイズ性と豊富な機能
・ インボイス制度対応機能が充実
主な機能
・ OCRによる領収書の自動読取
・ 適格請求書発行事業者の登録番号自動チェック
・ 経過措置に対応した仕入税額控除の自動計算
・ 多様な会計ソフトとの連携
・ 交通費精算の自動化(駅すぱあと連携)
料金体系
・ 初期費用 100,000円
・ 月額費用 30,000円〜
マネーフォワード クラウド経費
特徴
・ クラウド会計ソフトとの連携が強み
・ シンプルで使いやすいインターフェース
・ AI技術を活用した自動化機能
主な機能
・ AIによる領収書の自動読取・仕訳提案
・ インボイス制度対応(登録番号チェック機能)
・ 経路検索連携による交通費精算の自動化
・ 法人カード連携機能
・ 予算管理機能
料金体系
・ 初期費用 各プランの基本料金
・ 月額費用 1ユーザーあたり500円(6名以上でご利用の場合)
Concur Expense
特徴
・ グローバル対応に強み
・ 大企業向けの豊富な機能
・ 出張管理との連携が充実
主な機能
・ 多言語・多通貨対応
・ グローバル税制対応(インボイス制度含む)
・ 出張予約システムとの連携
・ 法人カード連携機能
・ 高度な分析レポート機能
料金体系
・ 初期費用 要問合せ
・ 月額費用 1ユーザーあたり1,500円~
ジョブカン経費精算
特徴
・ 人事・給与システムとの連携が強み
・ 中小企業向けのシンプルな機能
・ コストパフォーマンスの高さ
主な機能
・ OCRによる領収書の自動読取
・ インボイス制度対応機能
・ ジョブカンシリーズとの連携
・ 電子帳簿保存法対応
・ モバイルアプリの使いやすさ
料金体系
・ 初期費用 0円
・ 月額費用 1ユーザーあたり500円~
その他主要システム
HRMOS経費
・ 人事評価システムとの連携が強み
・ AIによる高精度OCR機能
・ インボイス制度・電子帳簿保存法対応
バクラク経費精算
・ 「手入力ゼロ」をコンセプトにした自動化重視のシステム
・ 複数レシートの一括処理機能
・ 直感的な操作性
freee経費精算
・ freee会計との連携が強み
・ 個人事業主や小規模企業向けのシンプルな機能
・ AIによる自動化機能
経費精算システム選定のポイント
経費精算システムを選定する際は、以下のポイントを考慮することが重要です
1. 自社の規模や業種との適合性
従業員数や業種によって最適なシステムは異なります。大企業ならConcur Expenseのような機能豊富なシステム、中小企業なら楽楽精算やマネーフォワード クラウド経費などが適しています。
2. 既存システムとの連携性
会計ソフトや人事システムなど、既存のシステムとスムーズに連携できるかを確認しましょう。データの二重入力を避けるためにも重要です。
3. インボイス制度への対応
適格請求書発行事業者の登録番号チェック機能や、経過措置に対応した仕入税額控除の計算機能があるかを確認しましょう。
4. 電子帳簿保存法への対応
2024年1月から電子取引データの電子保存が義務化されているため、電子帳簿保存法に対応しているかを確認しましょう。
5. 使いやすさ
従業員が実際に使うシステムなので、直感的に操作できるインターフェースかどうかは重要です。トライアル期間を設けて実際に使ってみることをお勧めします。
6. モバイル対応
外出先からでも申請できるよう、スマートフォンアプリが提供されているかを確認しましょう。
7. サポート体制
導入時のサポートや、運用開始後のヘルプデスク対応が充実しているかも重要なポイントです。
費用対効果の分析
経費精算システムの導入には一定のコストがかかりますが、以下のような効果によって十分な投資対効果が期待できます
1. 工数削減効果
・ 申請者の入力時間の削減1件あたり約5~10分
・ 承認者の確認時間の削減1件あたり約2~5分
・ 経理担当者の処理時間の削減1件あたり約10~15分
例えば、月間100件の経費精算がある企業の場合、月間約28~50時間の工数削減が期待できます。
2. ペーパーレス化による効果
・ 用紙代・印刷代の削減
・ 保管スペースの削減
・ 書類検索時間の削減
3. ミス削減による効果
・ 再処理の工数削減
・ 税務リスクの低減
4. 可視性向上による効果
・ 不正経費の抑制
・ 予算管理の精度向上
・ 経費分析による無駄の発見
5. 従業員満足度向上による効果
・ 精算期間の短縮による従業員の金銭的負担軽減
・ 申請手続きの簡素化によるストレス軽減
一般的に、経費精算システムの導入コストは、従業員1人あたり月額500円~1,500円程度です。上記の効果を金額換算すると、多くの企業で導入コストを上回るメリットが得られると言えるでしょう。
上記の主要システムに加えて、コクヨが提供する「@Tovas(アットトバス)」も今、注目を集めています。
@Tovasは、シンプルな操作性と会計ソフトとのスムーズな連携で、立替経費精算をかんたんにします。インボイス制度や電子帳簿保存法にも対応しており、コクヨならではの安心サポートも魅力です。
インボイス制度と経費精算
2023年10月から導入されたインボイス制度は、経費精算業務に大きな影響を与えています。ここでは、インボイス制度と経費精算の関係について詳しく解説します。
インボイス制度の概要と経費精算への影響
インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式です。この制度の導入により、経費精算業務には以下のような影響が生じています
1. 仕入税額控除の要件厳格化
仕入税額控除を受けるためには、原則として適格請求書(インボイス)の保存が必要になりました。これにより、経費精算時に適格請求書かどうかの確認が必要になっています。
2. 3万円未満の取引も領収書が必要
従来は3万円未満の取引については、領収書がなくても帳簿のみで仕入税額控除が認められていましたが、インボイス制度導入後はこの特例がなくなりました(中小事業者向けの経過措置あり)。
3. 免税事業者からの仕入れの取扱い変更
適格請求書発行事業者以外(免税事業者など)からの仕入れについては、原則として仕入税額控除ができなくなりました(経過措置あり)。
4. 区分経理の必要性
適格請求書発行事業者からの仕入れと、それ以外からの仕入れを区分して管理する必要が生じています。
これらの変更により、経費精算業務の複雑さが増し、システム化の必要性がさらに高まっています。
経費精算におけるインボイス対応の必要性
経費精算業務においてインボイス制度に適切に対応することは、以下の理由から非常に重要です
1. 税負担の増加防止
適切に対応しないと、本来受けられるはずの仕入税額控除が受けられず、消費税の納税額が増加してしまいます。
2. コンプライアンスの確保
法令に準拠した経費精算を行うことは、企業のコンプライアンス上も重要です。
3. 税務調査への対応
インボイス制度導入後は、消費税の仕入税額控除に関する税務調査も厳格化される可能性があります。適切な証憑書類の保存が重要です。
4. 業務効率の維持
インボイス制度に対応した経費精算の仕組みを構築しないと、確認作業や修正作業が増え、業務効率が低下する恐れがあります。
インボイス対応経費精算システムの特徴
インボイス制度に対応した経費精算システムには、以下のような特徴があります
1. 適格請求書発行事業者の確認機能
・ 登録番号の自動チェック機能
・ 国税庁のデータベースとの連携
・ 取引先マスタへの登録状況の管理
2. 適格請求書の要件チェック機能
・ 必要記載事項の確認機能
・ OCRによる自動読取と検証
・ 不備がある場合のアラート機能
3. 区分経理対応
・ 適格請求書発行事業者からの仕入れと、それ以外からの仕入れの区分管理
・ 経過措置に対応した仕入税額控除の自動計算
・ 消費税申告のためのデータ出力機能
4. 電子保存対応
・ 電子帳簿保存法に準拠した保存機能
・ タイムスタンプ付与機能
・ 検索機能の提供
5. 会計システム連携
・ 区分に応じた仕訳データの自動生成
・ 会計システムへのデータ連携
・ 消費税申告資料の作成支援
これらの機能を備えたシステムを導入することで、インボイス制度への対応負担を大幅に軽減することができます。
免税事業者との取引における経費精算の注意点
適格請求書発行事業者以外(免税事業者など)との取引における経費精算では、以下の点に注意が必要です
1. 仕入税額控除の制限
原則として、適格請求書発行事業者以外からの仕入れについては、仕入税額控除ができません。ただし、2023年10月から2029年9月までの経過措置期間中は、段階的に一定割合の控除が認められています。
・ 2023年10月~2026年9月仕入税額相当額の80%を控除可能
・ 2026年10月~2029年9月仕入税額相当額の50%を控除可能
・ 2029年10月以降控除不可
2. 区分管理の必要性
適格請求書発行事業者からの仕入れと、それ以外からの仕入れを区分して管理する必要があります。経費精算システムでは、この区分を明確にできる機能が重要です。
3. 取引先の登録状況の確認
取引先が適格請求書発行事業者であるかどうかを確認するためには、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で登録番号を確認する必要があります。経費精算システムでこの確認を自動化できると便利です。
4. 経理処理の変更
免税事業者との取引については、控除できない消費税分を別途経費として計上するなど、経理処理の変更が必要になる場合があります。
経過措置期間中の対応方法
2023年10月から2029年9月までの経過措置期間中は、以下のような対応が考えられます
1. 段階的控除率の管理
経過措置期間中は、適格請求書発行事業者以外からの仕入れについても、段階的に一定割合の仕入税額控除が認められています。この控除率の変更に対応できるよう、システム設定を適宜更新する必要があります。
2. 中小事業者向け特例の活用
中小事業者については、2023年10月から2029年9月までの間、1万円未満の課税仕入れについては、適格請求書の保存がなくても、一定の条件を満たした帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められます。この特例を活用することで、少額の経費精算の負担を軽減できます。
3. 取引先への働きかけ
頻繁に取引のある免税事業者に対しては、適格請求書発行事業者の登録を検討してもらうよう働きかけることも一つの方法です。ただし、相手先の事情もあるため、強制はできません。
4. 代替手段の検討
免税事業者との取引が多い場合は、取引条件の見直しや、適格請求書発行事業者への切り替えなど、代替手段を検討することも必要かもしれません。
経過措置期間中であっても、将来的な完全実施を見据えた体制整備を進めることが重要です。
立替経費精算の効率化方法
立替経費精算業務の負担を軽減し、効率化するための方法について解説します。
法人用クレジットカードの活用
法人用クレジットカードを活用することで、立替経費精算の負担を大幅に軽減することができます
1. 立替そのものの削減
従業員に法人カードを持たせることで、私費での立替が不要になります。これにより、従業員の金銭的負担がなくなり、精算手続きも簡略化されます。
2. データの自動取得
法人カードの利用データを経費精算システムに自動連携することで、手入力の手間を省くことができます。多くの経費精算システムでは、主要なクレジットカード会社との連携機能を提供しています。
3. 利用制限の設定
法人カードには利用限度額や利用可能店舗の制限を設けることができるため、不正利用のリスクを低減できます。
4. ポイントの一元管理
法人カードのポイントは会社の資産として一元管理できるため、個人のクレジットカードを使用した場合のポイント帰属の問題が解消されます。
5. 導入時の注意点
・ 利用ルールの明確化(私的利用の禁止など)
・ 紛失・盗難時の対応手順の整備
・ 退職時の返却ルールの設定
・ 利用明細の確認プロセスの構築
経費精算システムの導入効果
経費精算システムを導入することで、以下のような効果が期待できます
1. 申請・承認プロセスの効率化
・ ペーパーレス化による書類作成・管理の手間削減
・ 承認フローの自動化による処理時間の短縮
・ リモートワーク環境でも円滑な申請・承認が可能
2. データ入力の自動化
・ OCR技術による領収書の自動読取
・ 交通費の自動計算(経路検索連携)
・ 法人カードデータの自動取込
3. チェック機能の強化
・ 経費規程に基づいた自動チェック
・ 二重申請の防止
・ インボイス制度対応の自動確認
4. 分析機能の活用
・ 部門別・プロジェクト別の経費分析
・ 予算管理との連携
・ 経費削減ポイントの発見
5. 導入事例
A社(従業員100名の製造業)では、経費精算システムの導入により、月間の経費精算業務時間が約70%削減され、年間約500万円の人件費削減効果が得られました。また、経費精算の平均処理日数が7日から2日に短縮され、従業員満足度も向上しました。
経費精算書類の電子化
経費精算書類を電子化することで、以下のようなメリットが得られます
1. 保管スペースの削減
紙の領収書や経費精算書を保管するスペースが不要になります。法人税法上、経費関連書類は原則として7年間の保存が必要ですが、電子化することでこの保管負担を大幅に軽減できます。
2. 検索性の向上
電子化された書類は、日付、金額、取引先、経費種別などの条件で簡単に検索できるため、過去の経費を確認する際の作業効率が大幅に向上します。
3. 電子帳簿保存法への対応
2024年1月から電子取引データの電子保存が義務化されています。経費精算書類を電子化することで、この法的要件にも対応できます。
4. 電子化の要件
経費精算書類を電子化する際は、電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります
・ 真実性の確保(改ざん防止措置)
・ 可視性の確保(閲覧環境の整備)
・ 検索性の確保(検索機能の提供)
5. 電子化の方法
・ スキャナによる読取(スマートフォンアプリの活用)
・ タイムスタンプの付与
・ 適切なファイル名付与とフォルダ管理
・ バックアップの実施
承認フローの最適化
経費精算の承認フローを最適化することで、処理時間の短縮と業務効率の向上が期待できます
1. 承認階層の見直し
必要以上に多くの承認階層を設けると、処理が滞る原因になります。金額に応じた承認階層の設定(少額は1段階、高額は複数段階など)を検討しましょう。
2. 代理承認の仕組み
承認者が不在の場合に備えて、代理承認の仕組みを整備しておくことが重要です。経費精算システムでは、一定期間承認されない場合に自動的に代理承認者に回す機能を持つものもあります。
3. 承認ルールの明確化
どのような経費が承認されるのか、承認基準を明確にしておくことで、不要な差し戻しや問い合わせを減らすことができます。経費規程の整備と周知が重要です。
4. 一括承認機能の活用
定型的な少額経費については、一括承認機能を活用することで承認作業を効率化できます。経費精算システムでは、条件に合致する申請を一括で承認できる機能を提供しているものもあります。
5. 承認通知の最適化
承認待ちの通知方法(メール、アプリ通知など)や頻度を最適化することで、承認者の対応速度を向上させることができます。
@Tovasによる経費精算業務の効率化
コクヨの電子帳票配信システム『@Tovas』は、経費精算業務の効率化にも貢献します
1. 電子帳票化によるペーパーレス化
経費精算書や領収書などの帳票を電子化することで、紙の管理コストを削減し、業務効率を向上させます。
2. インボイス制度対応
@Tovasは、インボイス制度に対応した帳票テンプレートを提供しており、適格請求書の要件を満たした帳票の作成・管理が可能です。
3. 電子帳簿保存法対応
@Tovasの「アーカイブ電子帳簿保存法オプション」は、JIIMA認証を取得しており、法令に準拠した電子保存が可能です。
4. 基幹システム連携
既存の基幹システムと連携することで、データの二重入力を防ぎ、業務効率を向上させます。
5. 複数の配信方法
電子データ、FAX、郵送の3つの方法で配信可能なため、取引先の状況に応じた最適な方法で帳票を送付できます。
@Tovasを活用することで、経費精算に関わる帳票の作成から配信、保管までの一連の流れを効率化し、業務負担を大幅に軽減することができます。
まとめ:立替経費精算の重要ポイント
立替経費精算は、企業活動において欠かせない業務プロセスです。本記事で解説した内容を踏まえ、効率的な立替経費精算のための重要ポイントをまとめます。
立替経費精算の基本を押さえる
・ 立替経費精算とは、従業員が立て替えた経費を会社が精算する一連のプロセスです。
・ 立替金と仮払金の違いを理解し、適切な会計処理を行いましょう。
・ 立替経費が発生する主なケースを把握し、社内ルールを整備しましょう。
適切な仕訳処理を行う
・ 精算時と精算金支払い時の2段階で仕訳処理を行います。
・ 経費の内容に応じた適切な勘定科目を選択しましょう。
・ インボイス制度に対応した仕訳処理を行い、適格請求書発行事業者からの仕入れとそれ以外を区分管理しましょう。
課題を認識し、効率化を図る
・ 申請手続きの煩雑さ、小口現金管理の負担、従業員の金銭的負担、処理ミスのリスクなど、立替経費精算における課題を認識しましょう。
・ 法人用クレジットカードの活用、経費精算システムの導入、書類の電子化、承認フローの最適化など、効率化のための施策を検討しましょう。
インボイス制度への対応を進める
・ インボイス制度が経費精算に与える影響を理解し、適切に対応しましょう。
・ 適格請求書発行事業者からの仕入れとそれ以外を区分管理し、経過措置期間中の対応方法を検討しましょう。
・ インボイス制度に対応した経費精算システムの導入を検討しましょう。
経費精算システムを比較検討する
・ 自社の規模や業種、既存システムとの連携性、インボイス制度への対応などを考慮して、最適な経費精算システムを選定しましょう。
・ 導入コストだけでなく、工数削減効果やペーパーレス化効果、ミス削減効果なども含めた費用対効果を分析しましょう。
効率的な経費精算のためのチェックリスト
・ 立替経費精算の社内ルールを明確に定め、従業員に周知していますか?
・ 申請期限や立替金額の上限など、具体的なルールを設けていますか?
・ インボイス制度に対応した経費精算プロセスを構築していますか?
・ 経費精算システムの導入を検討していますか?
・ 法人カードの活用など、立替そのものを減らす施策を検討していますか?
・ 電子帳簿保存法に対応した書類の保存方法を整備していますか?
・ 承認フローの最適化を図り、処理時間の短縮に努めていますか?
・ 経費精算業務の効率化による効果を定期的に測定していますか?
@Tovasによるソリューションの紹介
コクヨの電子帳票配信システム『@Tovas』は、経費精算に関わる帳票の電子化を支援し、業務効率の向上に貢献します。インボイス制度や電子帳簿保存法に対応した機能を備え、基幹システムとの連携も可能です。経費精算業務の効率化を目指す企業にとって、強力なソリューションとなるでしょう。
立替経費精算は、適切に管理することで業務効率の向上とコスト削減を実現できます。本記事で解説した内容を参考に、自社に最適な経費精算の仕組みを構築してください。
@Tovasマーケティング担当(コクヨ株式会社)