請求書の誤請求、どう対応する?お詫びの例文から再発防止策まで解説
公開日:2022年9月22日 更新日:2025年11月27日
請求業務は、企業間の取引において金銭のやり取りを正確に行うための重要なプロセスです。しかし、どれだけ注意を払っていても、請求金額の間違いや宛先ミスといった「誤請求」が発生してしまう可能性はゼロではありません。誤請求は、単なる事務的なミスにとどまらず、取引先との信頼関係を損ない、企業の信用問題に発展しかねない重大な問題です。
万が一、誤請求が発生してしまった場合、迅速かつ誠実な対応が求められます。本記事では、誤請求が発覚した際の適切な対処法、誠意が伝わるお詫びの例文、そして将来的なミスを防ぐための具体的な再発防止策まで、経理担当者が知っておくべきポイントを網羅的に解説します。
TOPICS
誤請求が発覚した場合の初期対応
請求書の内容に誤りがあることが判明したら、何よりもまず迅速な対応が不可欠です。時間が経てば経つほど、取引先に与える迷惑は大きくなり、信頼の回復も難しくなります。ここでは、誤請求が発覚した際に最初に行うべき2つのステップを解説します。
まずは迅速な謝罪と状況報告
誤請求が発覚したら、直ちに取引先の担当者へ連絡し、誠心誠意謝罪します。連絡手段は、まずは電話で直接謝罪の意を伝え、状況を説明するのが最も丁寧な方法です。電話で連絡がつかない場合は、取り急ぎメールで謝罪と状況報告を行い、後ほど改めて電話で連絡しましょう。
このとき、言い訳がましい表現は絶対に避けるべきです。「弊社の確認不足で」「担当者のミスで」といったように、自社に非があることを明確に認め、真摯な態度で謝罪することが重要です。そして、いつ、どの請求書に、どのような誤りがあったのかを具体的に説明し、訂正した請求書を再発行する旨を伝えます。
請求書の再発行と送付
謝罪と状況説明を終えたら、速やかに正しい内容の請求書を再発行します。再発行する請求書は、ただ内容を修正するだけでなく、いくつかの注意点があります。これらの点に留意しないと、かえって取引先を混乱させてしまう可能性があるため、慎重に作業を進めましょう。再発行時の具体的な注意点については、後の章で詳しく解説します。
再発行した請求書は、お詫び状を添えて郵送するのが最も丁寧な対応です。急を要する場合は、まずPDF形式でメールに添付して送付し、原本は後から郵送するという方法もあります。
【状況別】誤請求のお詫びメール例文

誤請求のお詫びは、状況に応じて文面を使い分けることが大切です。ここでは、自社でミスを発見した場合と、取引先から指摘を受けた場合の2つのパターンに分けて、お詫びメールの例文を紹介します。
自社でミスを発見した場合
株式会社〇〇 経理部 〇〇様
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 株式会社△△の〇〇です。
この度、〇月〇日付で発行いたしました〇月分のご請求書(請求書番号:XXXXXXXX)につきまして、請求金額に誤りがあることが判明いたしました。
弊社の確認不足により、ご迷惑をおかけいたしますこと、心より深くお詫び申し上げます。
つきましては、訂正した請求書を本日付で再発行し、別途郵送いたしました。お手数ではございますが、ご確認いただけますようお願い申し上げます。
なお、お手元にございます誤った請求書につきましては、大変恐縮ですが破棄していただきますようお願い申し上げます。
今後はこのような事態を招かぬよう、チェック体制を強化し、再発防止に努めてまいる所存でございます。
今後とも変わらぬお引き立てを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
(署名)
取引先から指摘を受けた場合
株式会社〇〇 経理部 〇〇様
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 株式会社△△の〇〇です。
この度は、〇月〇日付で発行いたしましたご請求書(請求書番号:XXXXXXXX)の金額につきまして、ご指摘をいただき誠にありがとうございます。
早速社内で確認いたしましたところ、ご指摘の通り、請求金額に誤りがございました。 弊社の不手際により、〇〇様には多大なご迷惑をおかけいたしましたこと、重ねて深くお詫び申し上げます。
つきましては、訂正した請求書を本日付で再発行し、別途郵送いたしました。お手数ではございますが、ご確認いただけますようお願い申し上げます。
なお、お手元にございます誤った請求書につきましては、大変恐縮ですが破棄していただきますようお願い申し上げます。
今後はこのような事態を招かぬよう、管理体制を一層強化し、再発防止に万全を期す所存でございます。
この度の件、誠に申し訳ございませんでした。 今後ともご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
(署名)
請求書再発行時の3つの注意点

誤請求があった場合、請求書を再発行する必要がありますが、その際には経理上の混乱を避けるためにいくつかの点に注意が必要です。ここでは、請求書を再発行する際の3つの重要なポイントを解説します。
1. 再発行であることが明確にわかるようにする
再発行した請求書は、一目でそれが再発行されたものであるとわかるように工夫する必要があります。例えば、請求書のタイトルを「請求書(再発行)」としたり、書類の目立つ場所に「再発行」というスタンプを押したりする方法が有効です。また、備考欄に「2025年11月12日付発行の請求書(No.12345)の金額誤りのため再発行」のように、いつ発行したどの請求書をなぜ再発行したのかを明記しておくと、より丁寧で分かりやすくなります。
2. 管理番号に枝番を振る
請求書は、取引の証憑として固有の管理番号を振って管理するのが一般的です。同じ取引に対して請求書を再発行すると、同じ管理番号の請求書が2通存在することになり、経理処理上の混乱を招く原因となります。これを避けるため、再発行する請求書には、元の管理番号に「-2」や「-rev1」のような枝番を付け加えるようにしましょう。これにより、元の請求書と再発行された請求書を明確に区別することができます。
3. 誤った請求書の破棄を依頼する
取引先が誤った請求書と再発行された請求書を混同し、二重で支払い処理を行ってしまうリスクを防ぐため、お詫び状やメールには、誤った請求書を破棄してもらうよう明確に依頼する一文を加えましょう。場合によっては、返送用の封筒を同封し、返送を依頼することも有効です。
信頼を回復するための具体的な再発防止策

誤請求への対応は、謝罪と訂正だけで終わりではありません。最も重要なのは、同じ過ちを繰り返さないための具体的な再発防止策を策定し、実行することです。ここでは、信頼を回復するために有効な3つの再発防止策を紹介します。
チェック体制の見直しと強化
ヒューマンエラーを完全になくすことは困難ですが、複数人の目を通すことでミスを発見する確率は格段に上がります。
・ダブルチェックの徹底:請求書の作成者とは別の担当者が、発行前に必ず内容を確認する「ダブルチェック」の体制を構築します。 ・チェックリストの活用:請求金額、宛名、日付、取引内容、振込先口座など、確認すべき項目をリスト化し、チェック漏れを防ぎます。 ・承認フローの確立:責任者による最終承認を得てから請求書を発行する、という承認フローをルール化することも有効です。
業務プロセスの標準化と見直し
請求書の発行業務が属人化していると、担当者によって作業手順が異なり、ミスが発生しやすくなります。誰が担当しても同じ品質で作業できるよう、業務プロセスを標準化し、マニュアルを作成することが重要です。
また、定期的に業務プロセス全体を洗い出し、「作業が複雑すぎないか」「無駄な工程はないか」といった観点で見直しを行い、継続的に改善していく姿勢が求められます。
請求書発行システムの導入
手作業による請求書作成は、入力ミスや計算ミスといったヒューマンエラーが発生しやすい原因となります。請求書発行システムを導入することで、これらのリスクを大幅に削減できます。
多くの請求書発行システムには、以下のようなメリットがあります。
・入力ミスの削減:顧客情報や商品情報をマスタ登録しておくことで、手入力の手間が省け、入力ミスを防ぎます。 ・計算の自動化:金額や消費税の計算が自動で行われるため、計算ミスがなくなります。 ・フォーマットの統一:社内で統一されたフォーマットの請求書を簡単に作成できます。 ・送付作業の効率化:作成した請求書をシステム上からメール送信したり、郵送代行サービスと連携したりすることで、送付作業の手間を大幅に削減できます。
まとめ:誤請求は迅速な対応と仕組み化で乗り越える
請求書の誤請求は、どの企業にも起こりうるミスですが、その後の対応が企業の信頼を大きく左右します。本記事では、誤請求が発覚した際の対処法から再発防止策まで、実務担当者が知っておくべきポイントを解説してきました。
誤請求対応の3つのステップ
誤請求が発覚した際は、以下の3つのステップで対応を進めましょう。
・ステップ1:迅速な初期対応
まずは電話で直接謝罪し、状況を正確に伝えます。言い訳は避け、自社の非を認める真摯な態度が重要です。
・ステップ2:丁寧な再発行
再発行であることが明確にわかる請求書を作成し、枝番を付けて管理します。お詫び状を添えて送付し、誤った請求書の破棄を依頼しましょう。
・ステップ3:具体的な再発防止策の実施
チェック体制の強化、業務プロセスの標準化、システムの導入など、同じミスを繰り返さないための対策を講じます。
段階的な改善のススメ
再発防止策は、一度に完璧を目指すのではなく、段階的に進めることをおすすめします。
・第1段階(即座に実施)
チェックリストの作成とダブルチェック体制の確立。比較的低コストで始められ、即効性があります。
・第2段階(1〜3ヶ月以内)
業務プロセスの見直しとマニュアル化。属人化を防ぎ、誰が担当しても同じ品質で作業できる体制を整えます。
・第3段階(3〜6ヶ月以内)
請求書発行システムの導入検討。手作業によるミスを根本から削減し、業務効率化も実現します。
システム化による業務改善
特に、請求書発行システムの導入は、ヒューマンエラーの削減と業務効率化の両面で大きな効果が期待できます。手作業での請求業務に限界を感じている、あるいは度重なるミスに悩んでいるという場合は、システム化を検討する良い機会かもしれません。
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誤請求への適切な対応と再発防止策の実施により、取引先との信頼関係を維持しながら、より確実な請求業務体制を構築していきましょう。ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。




