
電子帳簿保存法とは?最新の実務対応ポイント【2025年完全ガイド】
公開日:2025年6月12日 更新日:2025年6月12日
電子帳簿保存法とは、帳簿や帳票書類などを電子データとして保存する際の要件を定めた法律です。2024年1月1日からは電子取引データの保存が完全義務化され、猶予期間が終了しました。
データで受け取った書類はデータのまま保存する必要があるなど、実務担当者が必ず押さえておくべき重要なルールがあります。
書類を正しく保存するためには、電子帳簿保存法の最新の要件を正確に把握する必要があります。
本記事では電子帳簿保存法の概要や改正内容、2025年時点での実務対応ポイント、書類の形式ごとの保存方法をまとめています。経理担当者の方はぜひ参考にしてください。
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目次
電子帳簿保存法とは
領収書や請求書を始めとした、帳簿に関する書類を電子データで保存するための条件を定めた法律が電子帳簿保存法です。デジタル化を推進するために2022年に大幅な改定があり、さらに2024年1月からは電子取引データの保存が完全義務化されました。2025年現在の最新要件や実務対応のポイントについて以下で解説します。
電子帳簿保存法の概要
電子帳簿保存法とは、売上や請求など税金に関わる帳簿書類をデータで保存するための手順やきまりをまとめた法律です。
法律自体は1998年から施行されていますが、2022年1月の大幅な改正によって手続きが簡単になり、2024年1月からは電子取引データの保存が完全義務化されました。
電子帳簿保存法では以下のような状況についてルールを定めています。
・電子取引に関するデータの保存義務、保存方法
・紙で受け取った書類をデータで保管する際の手順
・従わなかった場合の罰則
経理処理を電子データで処理するには順守しないとならないため、2025年現在の最新要件についてきちんと理解を深めなければなりません。
うまく活用すれば既存の経理業務が効率化できるメリットもありますので、早め早めに行動を始めましょう。
電子帳簿保存法の3つの制度
電子帳簿保存法が扱う内容には、法律上3つの区分があります。
・電子メールなどで受け取った書類への対応(義務)
・会計ソフトなどで制作・保存した書類への対応(任意)
・紙で受け取った書類をデータ化する際の対応(任意)
以下でそれぞれの内容や2025年時点での実務対応ポイントについて解説します。
電子取引に関する制度
取引や税務に関わる帳票書類を電子データで受け取った場合、電子帳簿保存法に指定された一定要件に基づいて保存しなければなりません。これは受信・送信どちらも関わる内容であり、すべての企業が対応すべき義務項目として定められています。
具体的には、データで受け取った書類はデータのまま保存しておく必要があります。
2023年12月31日までの宥恕期間は紙に印刷して保存することが許されていましたが、2024年1月1日からはすべてデータで管理しなければならないため、2025年現在ではこの完全義務化に対応することが実務上の最重要ポイントとなっています。
電子帳簿・電子書類保存に関する制度
従来、会計システムなどを利用して作成した帳簿を電子データのまま保存するには税務署長への事前申請・承認が必要でした。
2022年の改正では、デジタルで作成した帳簿・決算に関する書類・帳票書類は、申請なしでデータのまま保存できるようになりました。書類は課税期間の途中でも紙からデータ保存に切り替えることができますが、帳簿は期間途中での変更ができないため注意しましょう。
課税期間開始日にタイミングを合わせて保存法を変えられるよう、事前に社内で準備しておく必要があります。2025年現在では、多くの企業がこの制度を活用して電子帳簿・電子書類保存に移行しています。
スキャナ保存に関する制度
今まで紙で受け取った請求書や領収書などはスキャンしても事後の確認のために紙の原本を保存しなければなりませんでした。
しかし改正を通じてスキャンに関する要件が大幅に緩和された結果、原本の即時廃棄が可能となり記録業務の効率化が実現しました。電子帳簿・電子書類保存と同様に必要だった税務署への事前申請も不要となり、参入のハードルが下がったといえるでしょう。
2025年現在では、タイムスタンプ要件や検索要件がさらに緩和され、より実務に即した形での運用が可能になっています。ただし、スキャンしたデータに一定の検索情報を紐づける必要があるなど、一定の要件をクリアする必要がある点は要注意です。
【2025年最新】電子帳簿保存法の主な改正内容と実務対応ポイント
2022年の電子帳簿保存法改正では、帳票書類に関する各分野において制度の緩和・廃止がありました。さらに2024年1月からは電子取引データの保存が完全義務化され、2025年現在では以下の実務対応ポイントが重要となっています。
電子取引に関する主な改正内容と実務対応
電子取引(電子データの受信)にまつわる具体的な変更点や、2025年時点での実務対応ポイントについて以下で解説します。
タイムスタンプ要件・検索要件の緩和と実務対応
タイムスタンプとは、取引が発生した日時を記録・証明する電子的なサインのことです。
通常の請求書などと同様に取引が発生したタイミングを記録に残すと同時に、取引の発生後に書類が改ざんされていないことを示す大事な印です。
従来であれば、スキャンした書類には3営業日(スキャン者とスタンプ付与者が違う場合は7営業日)以内という短いスパンでタイムスタンプを付与する必要がありました。この付与期限が最長で約2カ月となり、余裕をもって申請できるようになりました。
2025年現在では、さらに要件が緩和され、特定のシステムを経由する場合はタイムスタンプ自体が不要となるケースも増えています。記録したデータを後から検索するための項目も、取引年月日・取引金額・取引先の3つに減ったことも大きなポイントです。2025年現在では、検索要件がさらに緩和され、適切なフォルダ管理やファイル名管理でも対応可能になっています。
基準期間(※)の売上高が1,000万円以下の小規模な事業者であれば検索要件そのものが不要となるため、個人事業主といった経理に手が回りにくい人でも記録時の手間が大幅に削減できると見込まれています。
※個人事業主の場合は電子取引が行われた日が含まれる年の前々年の1月1日~12月31日、法人の場合は電子取引が行われた日を含む事業年度の前々事業年度を基準期間とする
適正な保存を担保する措置の見直しと実務対応
所得税法と法人税法では、取引に際して相手から受け取った書類の控えを保存するよう定められています。
2024年1月からは、データで受け取った場合はデータのまま保存する必要があります。
所得税・法人税に関する書類で注意したいポイントとしては、紙・書面での保存とデータでの保存は選択・併用できないという点です。
電子データでやり取りした場合は、データでの保存しか認められません。2025年現在では、この完全義務化に対応するため、多くの企業が電子保存システムを導入しています。なお隠蔽や改ざんといった故意の申告漏れがあった場合、ペナルティとして重加算税が課されます。
電子データに関する場合は通常の35%にさらに10%加わりますので、公正な保存を心がけましょう。
電子帳簿・電子書類保存に関する主な改正内容と実務対応
電子帳簿・電子書類保存は事前承認制度が廃止されたことで導入の壁が低くなりました。2025年現在の実務対応ポイントについてまとめます。
事前承認制度の廃止と実務対応
国税関係の書類を電子データで保存する際、かつては使用するシステムや記録する書類の種類などをまとめて3カ月以上前に税務署に申請するルールでした。
時間と手間がかかることから電子化になかなか手が伸びない企業が多かった中、この事前承認が不要となったことで参入のハードルが一気に低下しました。
ただし、事前承認が廃止されても保存に際しては守るべきルールがいくつか存在します。
検索要件の設定などは代表的な要項の一つです。
2025年現在では、こうした要件に対応した帳票システムが充実しており、導入することで容易に要件をクリアできるようになっています。電子取引の記録を始めるときはなるべく手間を減らせるよう工夫しましょう。
過少申告加算税の軽減措置と実務対応
過少申告加算税とは、納めるべき税金を本来よりも少なく申告した場合に発生するペナルティの一種です。故意ではなく過失とされるものが対象です。
過少申告加算税が発生した際、下記のような優良な電子帳簿の要件を満たしていれば過少申告加算税に5%の軽減を受けられます。どの電子帳簿であっても、関係書類等の備付けと見読可能性の確保は必ずしなければなりません。
この2点に加え、下記の3点を満たすと優良電子帳簿として認められます。
・訂正・削除履歴の確保要件(修正や削除の有無が後から確認できる)
・相互関連性要件(他の帳簿を参照すれば内容を保証できる)
・検索要件(特定の条件で後から検索できる)
2025年現在では、多くの電子帳簿システムが優良電子帳簿の要件を満たすよう設計されています。合わせて記録をつけ始める段階で優良帳簿を使う旨を所轄の税務署長に申請しておく必要があります。
過少申告加算税は誰しも発生するリスクのある税のため、不安な方は事前に連絡しておく方がよいでしょう。
スキャナ保存に関する主な改正内容と実務対応
帳票書類のスキャナ保存については、事前承認制度の廃止やタイムスタンプ要件・検索要件の緩和など電子帳簿の保存や管理と共通している部分も少なくありません。
2025年現在の実務対応ポイントについて解説します。
適正事務処理要件の廃止と実務対応
これまではスキャンした帳簿は改ざんや破棄を防止するため、下記の3点を社内規定で設定し定期的に実施していました。
・相互牽制(作成・スキャンののちタイムスタンプを付与するまでの作業を2人以上で行う)
・定期検査(スキャン後のデータを最低1年に1回は確認する)
・再発防止(もし不備があった場合再発を防ぐために協議を行う)
特に相互牽制や定期検査の都合から、スキャンしたデータもすぐに破棄することはできず保管場所や管理に課題を抱えていました。
改正後はこの3点の義務が廃止されたため、書類が処分できるようになった他、電子化にかかる人的・時間的コストが削減されました。2025年現在では、多くの企業がこの要件緩和を活用して、紙の原本を即時廃棄する運用に移行しています。
もちろん、改正後であっても電子帳票の管理はミスなく実施する必要があります。書類を管理する経理だけでなく、会社全体が電子帳簿の保存方法について知識を深めておくことが大切です。
重加算税の加重措置と実務対応
2022年の電子帳簿保存法では基本的に導入を簡単にするための緩和措置が多いですが、重加算税のように厳しくなった部分もあります。重加算税の加重措置は制限が厳しくなった要素の一つです。
タイムスタンプや帳票システムによってある程度は不正を防げていますが、それでも意図的な隠蔽や仮装(改ざんや架空取引)を完全に予防することはできません。
スキャンして保存した帳票書類や申告書類に上記のような違反があった場合、通常の追徴課税35%に加えて10%のペナルティが加算されます。
2025年現在では、この加重措置に対応するため、多くの企業が電子帳簿保存システムの導入と適切な運用管理体制の構築に注力しています。
電子帳簿保存の対象書類一覧
電子帳簿保存法の対象となる書類は多岐にわたりますが、大きく区分すると以下の3つに分類できます。
該当する書類でも、紙で受け取ったものをそのまま物理媒体で保存する場合は電子帳簿保存法の対象となりません。
あくまでデータで受領・作成した場合や、紙のデータを電子化した場合が対象です。2025年現在では、電子取引データの保存が完全義務化されているため、電子データで受け取った書類は必ず電子保存する必要があります。
個別の保存方法については以下で詳しく解説します。
電子帳簿保存法に基づいた書類の保存方法【2025年最新】
もともとデータで作られた書類・帳簿を保存する場合と、紙で作られた書類をデータで保存する場合は形式が異なります。
2025年現在の最新の保存方法や要件について以下で確認しましょう。
電子取引に関する書類の保存方法
電子取引とは、メールやクラウドサービスを経由して注文書や契約書といった該当する書類を取引することです。
上記以外にも先方が指示したサイトからPDF形式でダウンロードした書類や、USBなどの記録媒体に保存した書類もこうした電子取引に該当します。また受信だけでなく送信時も同様の措置が必要ですので、注意しましょう。
電子取引を通じて受け取った書類を保存するには、法律に定められた保存要件を満たさなければなりません。
2025年現在の具体的なチェックポイントは以下のとおりです。
・真実性の確保(改変・改ざんの防止。タイムスタンプの付与、訂正防止機能など)
・可読性の確保(必要に応じてすぐに閲覧できるようにする。検索機能の搭載など)
2025年現在では、検索要件が緩和され、適切なフォルダ管理やファイル名管理でも対応可能になっています。送受信した書類は、所定のシステムに保存しておけば一定の可読性を問題なく確保できるでしょう。
社内のルールや事業規模に即したシステムを導入しましょう。
電子帳簿保存の対象書類の保存方法
電子帳簿保存とは、データで作成した書類や帳簿をそのままの形式で保存することです。
作成の途中で手書きの情報を挿入したり手書きに切り替えたりしたものは電子帳簿保存の対象から外れます。最初から最後まで一貫してパソコンやスマートフォン上で処理しなくてはいけません。
保存場所はクラウドサービスの他、USBやCD-ROM、ハードディスクといった電磁的記録デバイスが選べます。2025年現在では、セキュリティやバックアップの観点から、クラウドサービスを利用する企業が増えています。
クラウドサービスは場所を取らない代わりにランニングコストがかかり、USBやハードディスクといった記録媒体は保存場所の確保以外にも定期的な買い替えが求められます。社内の既存設備の活用や、予算内に収まるサービスを利用しましょう。
対象は国税関係帳簿と一部の決算関係書類です。
また電子帳簿の保存にはクリアしなければならない要件が複数あります。以下の表を参照してください。
(電子帳簿等保存制度特設サイト|国税庁を元に作成)
2025年現在では、多くの電子帳簿システムが優良電子帳簿の要件を満たすよう設計されており、導入することで容易に要件をクリアできるようになっています。
スキャナ保存の対象書類の保存方法
スキャナ保存とは、紙で受け取った書類を電子データに変換して保存する形式です。
スキャナを使う以外にも、適正な解像度と判読性を確保できるならカメラやスマートフォンでの撮影も問題ありません。最初から電子データで作成された電子帳簿の保存と同様、一定の要件を満たせばスキャナ書類もデータで保存することが可能です。
対象となる書類のうち資金や物の流れに直接影響を与える書類は重要書類と呼ばれ、お金には関わるものの直接の影響がない一般書類と区別されます。
2025年現在の保存要件について以下にまとめました。
(はじめませんか、書類のスキャナ保存!| 国税庁を元に、一部を抜粋・編集して作成)
2025年現在では、タイムスタンプ要件や検索要件がさらに緩和され、より実務に即した形での運用が可能になっています。特に、適切なフォルダ管理やファイル名管理でも検索要件を満たせるようになったことで、中小企業でも導入しやすくなっています。
電子帳簿保存法に対応するための流れ【2025年実務対応ガイド】
現在扱っている帳簿を一気に電子帳簿へ移行しようとすると、既存の流れとの齟齬から混乱が生まれるかもしれません。
2025年現在の実務に即した以下の手順を参考に、無理なくスムーズな切り替えを目指しましょう。
電子取引を把握する
メールやクラウドサービスでの情報のやりとりが一般化した昨今、会社の会計にまつわる電子取引は年々増加しています。
2025年現在では、電子取引データの保存が完全義務化されているため、まずは記録に漏れが生まれないよう電子取引の件数や内容を把握しましょう。電子取引にはメールでやりとりした契約書や見積書はもちろん、先方の指定したWebサイトからダウンロードした領収書なども含まれます。
ICカードなどのキャッシュレスマネーで支払った経費も該当するでしょう。毎月・毎年でどのくらいの件数があるか計上するのはもちろん、書類の授受や現在の保存形式についても確認が必要です。紙で取引した書類は電子帳簿保存法の改正後も紙のまま保存することができますが、データ保存と紙保存が混在していると記録や確認が煩雑になるおそれがあります。
現在の電子取引をまとめると同時に、こうしたアナログの記録も同時に移行できるよう並行して準備を進めるとよいでしょう。
電子データの保存方法を決める
発生した経費や領収書の情報など、電子取引の記録は上記で解説した形式に則って保存する必要があります。
2025年現在の主な保存方法は以下のとおりですので、社内の意向や取引先の形式に応じてまとめやすい方法を選びましょう。
・受け取った電子データを管理システムにアップロードする
・画像データにタイムスタンプを付与し、索引簿と紐づけて社内のサーバーにアップする
・法定期間内にシステム上に電子データを保存する
2025年現在では、検索要件が緩和され、適切なフォルダ管理やファイル名管理でも対応可能になっています。管理システムの項目に沿って記録すれば別途検索機能をつける必要はありません。
一方、会社の規模によってはシステムの維持費が割高になるかもしれません。また帳票書類は会社の機密事項ですので、どの形式にしてもセキュリティには十全に気を配りましょう。
業務フローを見直す
現在の経理フローが紙の書類を前提として動いている場合、扱う内容をデータに置き換えただけではうまく作業が回らなくなるかもしれません。導入前に業務の流れを見直し、データでのやりとりに最適化したフローを目指しましょう。
具体的に見直すべきポイントの1つ目は経理内での電子データの扱い方です。受け取った情報をいつまでにどのように記録するか明確化する必要があります。
並行して、会社が発行する書類も電子化することが望ましいでしょう。
次に他部署の担当者に対して伝達方法の変更を周知します。変更内容を共有しなければ、今までのルールに基づいて紙で渡されてしまうかもしれません。営業部や管理部が受け取った時点で書類を電子化してもらえれば、経理の負担が大幅に減るでしょう。
2025年現在では、多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として、電子帳簿保存法対応と業務フローの見直しを同時に進めています。
システムを導入する
帳簿管理システムは電子帳簿の記録・検索に特化していることから、入力するだけで法律の規定に基づいた管理ができます。
うまく導入すれば開始時の人的・時間的コストを大幅に削減できるでしょう。認定タイムスタンプを付与できる機能や取引先・日付・金額などで検索できる機能などは原則としてどのシステムにも搭載されています。
2025年現在では、多くのシステムが電子帳簿保存法の最新要件に対応しています。実際に利用するシステムは以下のようなポイントを中心に決めるとよいでしょう。
・保存領域は十分にある
国税関係書類は原則として7年間保存しなければなりません。7年分の事業データをきちんと保存しきれるか、もし足りなくなった場合拡張ができるかなどを考慮しましょう。あわせて、年間の利用料金が予算内に収まるかも確認します。
・要求に応じて情報をすみやかにダウンロードできるか
国税局から要求があった場合、データをすぐにダウンロードする必要があります。一方で、ダウンロードが誰でも簡単にできることがないようセキュリティ面にも気を配りましょう。
2025年現在では、クラウドベースのシステムが主流となっており、セキュリティやバックアップの観点からも推奨されています。
事務処理規程を備え付ける
事務処理規定とは、電子データの訂正や削除を防止するために設けるルールのことです。
真実性や検索性は事務処理規定を通じて担保されます。ほとんどのシステムは利用すれば自動的に満たせますが、利用しない場合は別途規定を設ける必要があります。
ただし、システムで対応しきれない場合もあるので注意が必要です。事務処理規定のテンプレートは税務署のサイトからダウンロードできます。テンプレートを元に社内の実状に合わせたルールを策定しましょう。
事務処理規定は訂正・削除時のチェックの徹底についても定めているため、内部統制の強化にもつながるでしょう。なおシステムを経由して管理する場合は先述のとおり事務処理規定は不要ですが、代わりにシステムやパソコンの操作説明書を備えつける必要があります。
2025年現在では、多くの企業がシステム導入と合わせて事務処理規程の整備も進めています。
紙で書類を受領した場合の対応方法【2025年実務ガイド】
電子帳簿でやりとりをする企業は実際に増加傾向にありますが、業界や取引先によっては紙で受け取ることもまだまだ少なくありません。
2025年現在の実務に即した紙の書類を電子化する方法について以下で解説します。
紙をスキャナ保存する
せっかく電子化を進めているのに紙での処理を並行して行うと、作業のパターンが増え手間がかかります。そこで帳簿のデータ保存を導入する場合は紙の書類もスキャニングしてデータで保存するとよいでしょう。
改正後であれば、要件に基づいてデータを読み取ったあとは紙の原本をすぐに破棄できるようになりました。保存場所を管理しなくてもよいため、作業の効率化が見込めます。
2025年現在では、タイムスタンプ要件や検索要件がさらに緩和され、より実務に即した形での運用が可能になっています。
電子データで業務を進める
紙の原本をスキャンする場合、経理でデータ化するか受け取った部署でデータ化するかは事前に決めておくとよいでしょう。原則として受け取った部署でデータ化し、経理は仕訳だけ担当する形式であれば計上の負担が減り、作業の効率化が見込めます。
経理以外の部署には、データで書類を受け取った場合の手順と紙の原本をスキャンする場合の手順を同時に指導すると無駄がないでしょう。データ化にまつわる事務処理規定も忘れずに策定しましょう。
2025年現在では、多くの企業がモバイルアプリを活用して、外出先でも簡単に領収書や請求書をスキャンできる環境を整備しています。これにより、タイムリーな経費精算や仕訳処理が可能になっています。
電子帳簿保存法の要件を満たさない場合の罰則
電子帳簿保存法では、導入時の制限が緩和されたと同時に違反時の罰則については厳しくなりました。
2025年現在も有効な具体的なペナルティについて以下で解説します。
青色申告承認の取り消し
電子取引のデータを正常に記録していないと、最悪の場合青色申告承認を取り消される可能性があります。
青色申告を取り消されると最大で65万円という特別控除が受けられなくなる他、当年で発生した欠損金を繰り越すこともできなくなります。また青色申告を取り消されたことは会社の信用を大きく損なう事実ですので、取引先からの心証が悪化してしまうかもしれません。
ただし、違反があったからといってすぐに承認を取り消されるわけではありません。
税務調査を通じ、納税者からの説明や追加資料の参照・取引先からの証言など複合的な面から判断されます。もちろん違反がないことが大前提ですが、もし違反を起こしたとしても必ず青色申告ができなくなるわけではありません。
2025年現在では、電子取引データの保存が完全義務化されているため、特に電子データの適切な保存が重要視されています。
追徴課税や推計課税の適用
青色申告が取り消された場合、申告形式が白色申告に切り替わります。白色申告では、推計課税という税務署が推定した所得税や法人税を課す制度が適用されます。
つまり税務署の判断した税額が課されることから、同じ条件でも青色申告のときより税額が増えるかもしれません。
さらに電子データの隠蔽や改ざんといった悪質な過少申告があった場合、追徴課税が課される可能性もあります。少なくとも税務調査が入った時点で税務署から疑いの目を向けられている状態ですので、他の帳簿書類も厳しい追及を受けるでしょう。
2025年現在では、電子取引データの保存が完全義務化されているため、電子データの適切な保存が税務調査の重要なポイントとなっています。
会社法の規定による過料
電子帳簿保存法に違反していた場合、会社法にも違反しているおそれがあります。会社法976条では、会計帳簿、貸借対照表、損益計算書などの記録や保存がされていない場合は過料の対象になると定めています。
もし会社法にも違反していた場合、電子帳簿保存法の違反に対する追徴課税の外にも会社法の規定に基づいて100万円以下の過料を科されるかもしれません。電子帳簿保存法への違反は他の法律や会社への信用といった別の範囲にも飛び火する可能性があるため、そもそも違反しない仕組みづくりが重要です。
2025年現在では、コンプライアンス意識の高まりから、電子帳簿保存法を含む法令遵守の体制整備が企業価値にも直結するようになっています。
まとめ:2025年の電子帳簿保存法実務対応ポイント
電子帳簿保存法は2022年の改正に続き、2024年1月からは電子取引データの保存が完全義務化され、猶予期間が終了しました。2025年現在では、以下の実務対応ポイントが重要となっています。
1.電子取引データの完全義務化への対応:電子データで受け取った書類は必ずデータのまま保存する必要があります。
2.タイムスタンプ要件・検索要件の緩和の活用:タイムスタンプ要件や検索要件が緩和され、適切なフォルダ管理やファイル名管理でも対応可能になっています。
3.スキャナ保存の活用:紙で受け取った書類もスキャンして電子保存することで、原本の即時廃棄が可能となり、保管スペースの削減や業務効率化が実現できます。
4.業務フローの見直し:電子帳簿保存法対応を機に、経理業務全体のデジタル化・効率化を進めることが重要です。
5.適切なシステム選定:電子帳簿保存法の要件を満たすシステムを導入することで、コンプライアンスリスクを低減し、業務効率化を実現できます。
電子帳簿保存法に適応するにはシステムの導入がおすすめです。コクヨの電子帳票配信システム『@Tovas』は、帳票書類を電子化してWeb上で送信できるシステムです。
送付した帳票類を電子帳簿保存法に対応した形で管理できる他、紙での保存を希望される取引先には郵送やFAXでも送付が可能です。2025年現在の電子帳簿保存法の最新要件にも完全対応しており、電子帳簿保存法の対象書類を適切に保管するためにも、ぜひ導入をご検討ください。
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