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割増退職金が増える背景とは?割増退職制度を導入する際の注意点を解説

割増退職金が増える背景とは?割増退職制度を導入する際の注意点を解説

公開日:2023年5月16日 更新日:2023年5月30日

割増退職金とは、通常より多く退職金が支給される制度のことです。近年、割増退職金制度を導入する企業は増えていますが、背景を知ることで導入が増えている理由が分かるでしょう。

今回の記事では、割増退職金を導入する企業が増えている背景や、実際に制度を導入する際の注意点などを丁寧に解説します。割増退職金と通常の退職金との違いから、割増退職金の経理上の処理についても詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

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割増退職金とは

割増退職金とは、通常よりも多く退職金が支給される制度のことです。ここでは、割増退職金の制度について詳しく解説します。通常の退職金との違いや割増退職金の目的についても理解しておきましょう。

上乗せで支給される退職金

前提として、退職金とは従業員が退職する際に給与とは別に支給する金銭のことです。割増退職金も退職金の一種で、通常の退職金に金額を上乗せして支給される退職金のことを指します。割増退職金は、早期退職優遇制度や希望退職制度を利用して退職する従業員に対して支給されることが一般的です。

そもそも労働基準法において退職金に関する取り決めがない以上、割増退職金についても決まりはありません。ただし、就業規則に退職金や割増退職金に関する規定があった場合は支払い義務が発生します。

このような背景があるため、制度自体の存在や運用はそれぞれの企業の裁量に任されていることが実情です。支給額も会社の業績や退職者の人数・年齢によって変動します。

割増退職金の目的

前述のとおり、割増退職金は従業員が本来の定年よりも早期に退職した場合に支給されることが多くなっています。従業員が定年まで勤務していた場合に得られたはずの退職金の減額部分を補てんする意味合いもあると考えましょう。

具体的な割増額は退職する時期や会社の規定によっても異なります。企業によっては、通常の定年退職の場合における退職金の額を上回る割増退職金を受け取れるケースも珍しくありません。

一方、企業にとって割増退職金を導入することは、人件費や社内人員の整理とも密接に関係しています。早期退職を促すことで、人件費の削減や人員整理を行うことが大きな狙いです。

割増退職金を導入する企業が増えている背景

ここで、割増退職金を導入する企業が増えている背景についても触れておきます。日本では年功序列や終身雇用を採用している企業が多く、新卒で就職した会社に定年まで勤める人も珍しくありません。

しかし少子高齢化により年長者の割合が増え、20代~40代の比較的若年層の社員に比べ、50代・60代の従業員が非常に多いなど、従業員の年齢層がアンバランスになっている企業も散見されます。能力のある若年層の社員がいてもポストが空かず、昇進・昇給をさせられないこともあるでしょう。

そこで割増退職制度を導入することで年長者の早期退職を促し、若年層の雇用や昇進・昇給を進めたいと考える企業が増えてきました。割増退職金があることで、従業員にとっては早期に退職するデメリットを軽減することが可能です。

企業が割増退職金を導入するメリット・デメリット

割増退職金を導入することで、企業は通常よりも多くの退職金を支払わなければなりません。しかし、たとえ一時的な支出が増えても企業には割増退職金を導入するメリットがあるのです。ここでは、企業が割増退職金を導入するメリットとデメリットを解説します。

メリット

早期退職制度のメリットとして、円滑に人員整理を行える点があげられます。割増退職金を導入することで、早期退職を名乗り出る社員が一定数出る可能性が高いからです。会社を退職して新しい分野に挑戦したい、独立開業したいと考えていた社員に対しては、キャリアチェンジのきっかけとしても作用します。

また、DX化や新事業への参入、若手社員の活用など多額の資金が必要だったり、大幅な人材の配置転換を伴ったりする施策も打ちやすくなるでしょう。

デメリット

割増退職金を導入することで、割り増し分の支給にかかる費用が大幅に増える可能性があります。割増退職金を支給した場合、その部分は特別損失として計上されます。また、対象者全員に一度に支給しなくてはいけない以上、相応の原資を確保しなければなりません。

加えて早期退職制度の導入に対し、会社の経営状況が悪化しているのではないかといったネガティブなイメージを持たれることがあります。採用活動に影響を及ぼすおそれがある点は懸念すべきでしょう。

従業員が割増退職金制度を利用するメリット・デメリット

割増退職金が導入されれば、従業員は定年まで勤めなくても退職金を多く受け取ることができます。退職後の金銭的な心配を軽減できることがメリットです。一方で、会社を早期に退職することでデメリットもあります。ここでは、従業員にとって割増退職金制度を利用するメリットとデメリットを解説します。

メリット

従業員にとってのメリットとして、金銭的な余裕が挙げられます。割増退職金制度を利用すれば、通常よりも多く退職金を受け取ることが可能です。そのため、退職後の生活にも余裕が生まれるでしょう。

またキャリアチェンジのきっかけになることもメリットです。再就職したり、起業したりするなど、在籍時とは大幅に働き方を変えることができます。退職後に取り組みたいと思っていた仕事がある従業員にとっては、一つの転機になるでしょう。

デメリット

従業員にとって割増退職金制度を利用して早期退職するデメリットは、再就職することが難しい可能性があることです。年齢やスキルによっては再就職ができなかったり、再就職できたとしても前職より収入が減ったりすることも珍しくありません。

割増退職金制度を利用して退職する場合は、退職金が多く受け取れるから退職するのではなく、退職後のプランを考えておく必要があります。再就職の見込みや収入が減った場合の生活費の確保など、細かい部分までプランを詰めておくことが大切です。

割増退職金制度を導入する際の注意点

割増退職金制度は、従業員とその家族の生活に大きな影響を及ぼすため、慎重に導入を進めなければなりません。ここでは、制度の導入を進める上での注意点について解説します。

条件を周知する

早期退職優遇制度に割増退職金を導入する場合、導入の理由や割増となる条件を従業員側に説明する必要があります。導入の理由があいまいだと、従業員から早期退職を募らないといけないほど経営状況が悪いのかといった不満があがります。

また条件に関する周知徹底が不足していたことで、条件が分からず制度を利用できなかった人が出るなど、トラブルが起こるかもしれません。そのため、まずは適用年齢や割増退職金の支給基準などを明確にしておきましょう。

応募条件や優遇措置については、従業員に入念に通知しておくことが重要です。社内報に掲載したり、説明会を開催したりして、割増退職金について知ってもらう機会を多く設けましょう。

再就職支援をする

早期退職優遇制度を導入する場合、再就職支援もセットで考えましょう。

一般的に、中高年層は再就職が難しい傾向があります。卓越したスキルや経験、難易度の高い国家資格を持っている人、退職後に起業を考えてすでにプランを考えている人なら問題ありません。しかし人によっては退職後に再就職できず、本人とその家族が生活に困窮する可能性も十分に考えられるでしょう。

従業員とその家族ためにも、早期退職する社員に対して再就職支援サービスを導入するなど、再就職の支援をする必要があります。嘱託社員としての再雇用や、グループ会社への再就職などの選択肢も示せるとなお効果的です。従業員からも丁寧に話を聞き最大限のサポートを行いましょう。

必要な人材の流出を防ぐ

割増退職金を導入することで、会社にとって必要な人材まで退職するおそれがある点は気を付けなければなりません。実績や経験がある従業員が退職してしまうと、会社にとっては大きな損失になります。

必要な人材の流出を防ぐには、早期退職制度の応募条件として会社の承諾規定を設けることが有効です。つまり、応募条件に会社の承諾がないと早期退職できない旨を明記します。

なお、退職を引き留めること自体は違法ですが(憲法22条第1項)、早期退職優遇制度によって退職する場合、会社側の承認を必要とすることは違法ではありません(最一小判平19.1.18)。実績や経験がある従業員に残ってもらえるよう、労使の合意を必須条件として盛り込みましょう。

割増退職金の経理上の処理方法

割増退職金を支給する場合は事前に決めたルールに従い、正確に額を決定しなければなりません。また割増退職金を支給した後は、経費計上や損金算入も忘れずに行いましょう。具体的な処理方法について解説します。

割増退職金の算出方法

割増退職金の上乗せ分は、企業の経営状況や原資によっても算出方法が異なります。想定される算出方法をいくつか紹介しましょう。

・条件を満たす退職者全員に一律に上乗せする
・年齢や勤続年数に応じて上乗せする
・定年退職した場合と同じ金額を支給する
・月給の一定月数分を上乗せする

算出方法が決まったら従業員にも周知しましょう。また有給休暇の買い上げや退職日までの特別休暇付与などを行うケースもあります。

割増退職金の経費計上

一般的な退職の場合、退職金を支給した際は「退職金」や「退職給付引当金」の勘定科目を使い仕訳を行います。一括で計上する場合は「退職金」、引当金を計上していた場合は「退職給付引当金」を用いる仕組みです。なお、損益計算書上では退職金は「販売費および一般管理費」として表示されます。

一方、割増退職金を経費計上する場合は、通常の退職金とは分けて処理をしなければなりません。「特別退職金」や「特別加算金」などの勘定科目を用いて処理し、損益計算書上では「特別損失」として表示します。通常の退職金と合算し、「販売費および一般管理費」として表示するわけではないので、扱いに注意しましょう。

割増退職金の損金算入

従業員に支払う退職金であれば、法人税法上損金に算入することが可能です。また割増退職金の加算金についても、社会通念上適正な金額で、会社の規定に沿って支給されたのであれば算入できるとされています。

ただし、事前に規定を設けておかないと、損金としての算入はできません。税務調査でも社内規定に沿って計算されたものかどうかは厳しくチェックされるため、思い付きで決めたりしないようにしましょう。

なお退職金および割増退職金は、退職の事実と支給額が決定したら、実際に支給する前でも未払金として計上できます。この場合、実際に退職金や割増退職金を支給したタイミングで未払金を減らす仕訳を行いましょう。

まとめ

割増退職金の導入には、スムーズな人員整理を行い、若年層の雇用や昇進が可能になるという大きなメリットがあります。しかし、人材の流出による生産性の低下や従業員とのトラブルも懸念されるため、導入にあたっては慎重に検討し、社内規定を設け、条件などを明確にした上で進めましょう。

割増退職金の支給にあたっては、通常の退職金とは異なる経理処理が必要です。会社のさまざまな状況に対応した処理を効率的に行うためにも、システムの刷新を検討しましょう。

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