【文例付】注文書メールの書き方完全ガイド|マナーと注意点を徹底解説
公開日:2024年5月15日 更新日:2025年11月27日
注文書(発注書)をメールで送ることは、今やビジネスシーンの常識となりつつあります。しかし、その手軽さゆえに、ビジネスマナーや法律上の注意点を見落としてしまうケースも少なくありません。誤った方法で送付すると、取引先に迷惑をかけたり、思わぬトラブルに発展したりする可能性もあります。
本記事では、注文書をメールで送る際の基本的なマナーから、そのまま使えるシーン別の文例、さらには電子帳簿保存法への対応まで、実務担当者が知っておくべきポイントを網羅的に解説します。この記事を読めば、誰でも自信を持って、正確かつ丁寧な注文書メールを作成できるようになります。
TOPICS
注文書(発注書)はメールで送っても問題ない?
結論から言うと、注文書(発注書)をメールで送ることは法的に何ら問題ありません。むしろ、郵送やFAXに比べて多くのメリットがあります。
迅速に取引を進められるだけでなく、印刷代や郵送代といったコストを削減できます。また、送受信の履歴がデータとして残るため、「送った」「受け取っていない」といったトラブルを防ぎやすいのも大きな利点です。ペーパーレス化により、書類の保管や管理の手間が大幅に削減され、テレワーク中でもスムーズに業務を行えるようになります。
このように、注文書のメール送付は、自社だけでなく取引先にとっても業務効率化につながる有効な手段と言えるでしょう。
これだけは押さえたい!注文書メールの基本マナーと書き方

手軽に送れるメールだからこそ、基本的なビジネスマナーを守ることが、取引先との良好な関係を築く上で非常に重要です。ここでは、注文書メールを作成する際に最低限押さえておきたいマナーと書き方のポイントを解説します。
件名は「用件」と「会社名」を簡潔に
ビジネスメールにおいて、件名は最初に目に入る重要な情報です。受信者が一目で内容を把握できるよう、具体的かつ簡潔に記載しましょう。
【件名のポイント】
・用件を明確にする:「【発注依頼】」「【注文書送付】」といった角括弧(【】)を使って用件を強調すると、他のメールに埋もれにくくなります。
・具体的な内容を記載する: 「〇〇(商品名)の発注依頼」「〇〇プロジェクトの注文書送付」のように、具体的な商品名や案件名を入れると、より分かりやすくなります。
・会社名を記載する:「株式会社〇〇」のように、送信元が分かるように会社名を記載します。
良い例
【発注依頼】新商品「XXX」100個のご注文(株式会社△△)
【注文書送付】〇〇システム開発案件(株式会社△△)
悪い例
お世話になっております。
注文のお願い
本文に記載すべき必須項目
メール本文では、挨拶や用件に加え、発注内容の詳細を明記する必要があります。注文書を添付する場合でも、メール本文に概要を記載しておくと、相手が内容を把握しやすくなります。
【本文の構成要素】
1.宛名:会社名、部署名、役職、氏名を正確に記載します。
2.挨拶:「いつもお世話になっております。株式会社〇〇の△△です。」など、簡単な挨拶と自己紹介を入れます。
3.用件:発注したい旨を明確に伝えます。
4.発注内容:注文書を添付する場合でも、主要な項目(商品名、数量、金額、納期など)を記載すると親切です。
5.結びの挨拶:「ご確認のほど、よろしくお願いいたします。」などで締めくくります。
6.署名:会社名、部署名、氏名、連絡先などを記載します。
注文書はPDF化して添付する
注文書は、取引の証拠となる重要な書類です。第三者による改ざんを防ぐため、WordやExcelなどの編集可能な形式ではなく、必ずPDF形式に変換してから添付しましょう。
また、ファイル名は「【注文書】株式会社〇〇_20251111.pdf」のように、「書類名」「会社名」「日付」を入れると、受信者が管理しやすくなります。
押印は必須ではないが、慣習として残る場合も
注文書への押印は、法的に必須ではありません。しかし、日本のビジネス慣習上、会社の正式な書類であることを示すために押印を求められるケースは依然として多くあります。取引先の方針やこれまでの慣例に合わせて、電子印鑑の使用などを検討しましょう。初めての取引の場合は、事前に押印の要否について確認しておくとスムーズです。
【シーン別】そのまま使える!注文書メール文例集

ここでは、コピー&ペーストしてすぐに使える、3つのシーン別のメール文例をご紹介します。状況に応じて適宜修正してご活用ください。
注文書(PDF)を添付する場合の基本文例
株式会社〇〇
営業部 〇〇様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の〇〇です。
先日は、〇〇のお見積もりをご送付いただき、誠にありがとうございました。
つきましては、正式に発注させていただきたく、注文書(PDFファイル)を添付いたしました。
お手数ではございますが、ご査収のほど、よろしくお願い申し上げます。
■添付内容
ーーーーー
・注文書(〇〇).pdf 1通
ーーーーー
本メールと添付の注文書をもちまして、正式な発注とさせていただきます。
ご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡ください。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
(署名)
メール本文で発注内容を伝える場合の文例
株式会社〇〇
営業部 〇〇様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の〇〇です。
先日お見積もりいただきました下記の商品につきまして、ぜひ貴社にお願いしたく、本メールにて発注させていただきます。
【発注内容】
・商品名:〇〇
・数量:〇個
・単価:〇〇円(税抜)
・合計金額:〇〇円(税込)
・納品希望日:2025年〇月〇日
・納品場所:弊社〇〇倉庫(住所:〇〇)
お手数ですが、ご注文内容をご確認の上、受注確認のご連絡をいただけますと幸いです。
ご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡ください。
何卒よろしくお願い申し上げます。
(署名)
金額に変更があった場合の文例
株式会社〇〇
営業部 〇〇様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の〇〇です。
先ほどお送りいたしました〇〇の注文書につきまして、
誠に恐縮ながら、社内確認の結果、発注金額に一部変更が生じました。
つきましては、修正版の注文書を再送付させていただきます。
先にお送りした注文書は、大変お手数ですが破棄していただきますようお願い申し上げます。
度重なるご連絡となり、ご迷惑をおかけし大変申し訳ございません。
何卒ご容赦の上、ご対応いただけますと幸いです。
(署名)
注文書メールを受け取った側の返信マナーと文例
注文書メールを受け取った側は、迅速かつ丁寧な返信を心がけることで、発注者に安心感を与え、信頼関係を深めることができます。
速やかに受注した旨を返信する
注文書メールを受け取ったら、可能な限り速やかに返信しましょう。返信がないと、発注者は「メールが届いているか」「注文は受け付けてもらえたか」と不安になります。
返信する際は、件名を「Re:」のままにせず、「【ご注文ありがとうございます】〇〇(商品名)の件(株式会社〇〇)」のように、受注したことが明確にわかる件名に変更すると親切です。
注文請書を添付する場合の返信文例
株式会社△△
購買部 〇〇様
いつもお世話になっております。
株式会社〇〇の〇〇です。
この度は、「〇〇」につきまして、ご注文いただき誠にありがとうございます。
確かにご注文を承りました。
つきましては、注文請書(PDFファイル)を添付いたしましたので、
ご確認いただけますと幸いです。
商品は〇月〇日に発送予定でございます。
発送が完了いたしましたら、改めてご連絡いたします。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
(署名)
知らないと危険!注文書メールの注意点とトラブル対策

注文書メールは便利な反面、いくつかのリスクも潜んでいます。ここでは、よくあるトラブルとその対策について解説します。
事前に取引先の了承を得る
初めてメールで注文書を送る場合や、これまで郵送・FAXでやり取りしていた取引先に対しては、事前にメールでの送付に切り替える旨を伝え、了承を得ておきましょう。企業によっては、独自の受注フローがあり、メールでの受け付けに対応していない場合もあります。
セキュリティ対策を徹底する
注文書には取引に関する重要な情報が含まれています。情報漏洩を防ぐため、セキュリティ対策は万全に行いましょう。
・誤送信対策:宛先(To, Cc, Bcc)のダブルチェックを徹底する、送信前にポップアップで確認するツールを導入するなどの対策が有効です。
・ウイルス対策:添付ファイルを開く前にウイルスチェックを行う、不審なメールは開かないといった基本的な対策を徹底しましょう。
・パスワード設定:機密性の高い注文書を送る場合は、PDFにパスワードを設定し、パスワードは別のメールで通知する(PPAP)のが一般的でしたが、近年はセキュリティ上の脆弱性が指摘されています。より安全なファイル転送サービスの利用も検討しましょう。
「言った言わない」を防ぐための記録保持
メールでのやり取りは、契約内容の証拠となります。電話や口頭で金額や納期などの重要な取り決めを変更した場合は、必ずその内容をメールでも送信し、双方の認識が合っていることを確認する履歴を残しておきましょう。これにより、後の「言った言わない」のトラブルを未然に防ぐことができます。
【2024年改正対応】電子帳簿保存法と注文書の保管方法
メールで送受信した注文書は、電子帳簿保存法における「電子取引」に該当し、法律で定められた要件に従って電子データのまま保存することが義務付けられています。紙に印刷して保存するだけでは、法律の要件を満たしたことにならないため注意が必要です。
具体的には、以下の2つの要件を満たす必要があります。
1.真実性の確保:データが改ざんされていないことを証明するための措置(タイムスタンプの付与、訂正・削除の履歴が残るシステムの利用など)
2.可視性の確保:必要に応じてデータを速やかに表示・印刷できるようにしておくこと(検索機能の確保など)
これらの要件に対応するには、専用のシステムを導入するのが最も確実で効率的な方法です。
まとめ
注文書をメールで送ることは、業務効率化やコスト削減に繋がる有効な手段です。しかし、そのメリットを最大限に活かすためには、ビジネスマナーを守り、セキュリティ対策や法規制への対応を正しく理解しておく必要があります。
本記事で解説したポイントは以下の通りです。
・件名は「用件+会社名」で分かりやすく
・注文書は改ざん防止のためPDFで添付
・シーンに応じた適切な文例を活用する
・受信側は迅速な返信で信頼関係を構築
・セキュリティ対策と電子帳簿保存法への対応は必須
これらの基本を押さえることで、取引先との円滑なコミュニケーションを実現し、トラブルを未然に防ぐことができます。
コクヨの電子帳票配信システム『@Tovas』は、注文書や請求書などの帳票をWeb上で簡単に送受信できるクラウドサービスです。電子帳簿保存法の要件を満たした形でのデータ保管はもちろん、取引先に応じてFAXや郵送での自動送信も可能なため、全社的なペーパーレス化と業務効率化を強力に推進します。セキュリティ対策も万全で、大切な取引情報を安全に管理できます。注文・発注業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。




