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インボイス制度で変更される納品書の記載項目とは?

インボイス制度で変更される納品書の記載項目とは?

公開日:2024年5月15日 更新日:2024年5月27日

2023年10月1日から、インボイス制度が始まっています。それに伴って、発注側(買い手)が仕入税額控除を受けるためには、原則として適格請求書発行事業者が発行するインボイス(適格請求書)が必要になりました。

インボイスは、請求書だけでなく納品書での発行も可能です。本記事では、納品書をインボイスとして発行する場合に必要な記載項目、インボイスを発行する際のポイントなどを解説します。インボイスの電子化にも触れているので、ぜひ参考にしてください。

※参考:国税庁.「適格請求書等保存方式―インボイス制度の理解のためにー」

インボイスに対応した納品書とは?

納品書は、商品やサービスを納品する側が買い手に対して発行する書類です。商品・サービスの数量や品名、単価、合計金額などの情報がまとめられています。

納品書は発行が義務付けられているわけではなく、記載項目にも特に法的な決まりはありません。ただし、適格請求書発行事業者が納品書をインボイス(適格請求書)として発行する場合は、いくつかの要件を満たす必要があります。

インボイスとしての要件を満たすことで、納品書を受領した側は仕入税額控除を受けることが可能になります。インボイスに対応した納品書を作成するためには、そもそもインボイス制度とは何か、インボイスとは何かを理解することが重要です。

そもそもインボイス制度とは

インボイス制度とは消費税の仕入税額控除に関する制度であり、2023年10月1日に開始されました。ここでは、インボイス(適格請求書)の概要や売り手側・買い手側に求められる対応、簡易インボイスによる対応を詳しく解説します。

※参考:国税庁.「適格請求書等保存方式―インボイス制度の理解のためにー」

インボイス(適格請求書)とは

インボイス(適格請求書)とは、売り手(受注側)が買い手(発注側)に対して正確な適用税率や消費税額等を伝えるための書類です。2023年10月1日に開始されたインボイス制度をきっかけに、ビジネスで多くやり取りされるようになりました。

インボイス制度とは、消費税の仕入税額控除を受けるための方式です。従来の「区分記載請求書等保存方式」とは異なり、買い手(発注側)が仕入税額控除を受けるためには、インボイスの受領と保存が必要になりました。

仕入税額控除とは、売上にかかる消費税から仕入にかかる消費税を差し引いて計算する方法です。仕入税額控除を受けることで、「売上」「仕入」に伴って発生する、消費税の二重課税を解消できます。

売り手側・買い手側双方の対応

インボイス制度の導入により、売り手側・買い手側双方に対応が求められるようになりました。まず売り手側がインボイス(適格請求書)を発行するためには、適格請求書発行事業者の登録を受けなければなりません。適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者は、取引相手からインボイスの発行を求められた場合、インボイス制度に対応した請求書や納品書などを発行する必要があります。

一方で買い手側も、二重課税を防ぐため、前述のように消費税の仕入税額控除を受ける必要があります。仕入税額控除の要件を満たすためには、原則として適格請求書発行事業者が発行したインボイスを一定期間保存しなければなりません。やや複雑ですが、インボイスの保存期間は、基本的に「課税期間の末日の翌日から2カ月を経過した日」から7年間です。

簡易インボイスによる対応

簡易インボイス(適格簡易請求書)とは、通常のインボイスよりも簡略化した書き方が認められている書類です。請求書や納品書が発行されない取引をした際、インボイスに必要な項目を招集所に記載することで、そのままインボイスとして使うことができます。例えば、飲食店や小売店での買い物などの会計時に発行されます。

発行できる業種は法律で定められており、具体的には以下のとおりです。

・小売業
・飲食店業
・写真業
・旅行業
・タクシー業
・駐車場業(不特定かつ多数の者に対するものに限る)
・その他(これらの事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業)

上記以外は基本的に簡易インボイスによる対応が不可能なので注意が必要です。

※参考:国税庁.「適格請求書等保存方式―インボイス制度の理解のためにー」

※参考:国税庁.「適格簡易請求書の交付ができる事業」

納品書をインボイスとして発行する場合の記載項目

納品書をインボイス(適格請求書)として発行する場合、記載項目は以下の6つです。

・適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
・取引年月日
・取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
・税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜きまたは税込み)および適用税率
・税率ごとに区分した消費税額等
・書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

それぞれの項目を簡単に解説します。

※参考:国税庁.「適格請求書等保存方式―インボイス制度の理解のためにー」

適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号

前述のように、インボイス(適格請求書)を発行するには適格請求書発行事業者の登録が必要です。税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、審査を受けて登録を済ませると、適格請求書発行事業者の登録番号が発行されます。

納品書を発行する際には、「T+法人番号」または「T+数字13桁」(法人以外の場合)の登録番号の記載が必要です。適格請求書発行事業者(インボイスの発行者)の氏名、名称とともに登録番号を記載します。

取引年月日

納品書に記載する取引年月日は、商品やサービスを提供した日を記載することが一般的です。商品を直接納品せず発送したときなど、納品日が明確でない場合は、発送日(出荷日)を記載するケースもあります。

取引内容

取引内容の欄には、納品した商品やサービスの内容を記載します。軽減税率(8%)の対象となる品目は、軽減税率が適用されていることが分かるように、その旨を記載してください。例えば軽減税率適用品目に「※」などの印をつけて、「※は軽減税率(8%)適用」などと明記します。

税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜きまたは税込み)および適用税率

標準税率(10%)と軽減税率(8%)の税率ごとに分けて、納品した商品やサービスの内容を記載します。税抜き、または税込みのどちらにするかはインボイス発行者の自由ですが、選んだ方に統一して記載しましょう。

税率ごとに区分した消費税額等

標準税率(10%)と軽減税率(8%)それぞれの消費税額等を合計した取引金額や適用税率を記載します。1枚のインボイスにつき、税率ごとに1円未満の端数処理を一回行うことが原則です。インボイス制度の導入に伴い、端数処理の方法が変わっているため注意が必要です。処理の方法に関しては、後ほど詳しく解説します。

書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

納品書の交付を受ける事業者の氏名・名称、つまり宛名を記載します。封筒の書き方と同じで、納品先が企業の場合は、会社名や部署名を記載しつつ最後に「御中」をつけることが一般的です。個人の場合は、個人名に「様」をつけます。

納品書をインボイス(適格請求書)として発行する際のポイント

納品書をインボイス(適格請求書)として発行する際のポイントは、以下の4点です。

・複数の書類でインボイスを発行することもできる
・税込み1万円未満の取引の場合は不要なケースもある
・消費税の端数処理をする
・インボイスの電子発行も可能

それぞれのポイントを詳しく解説します。

複数の書類でインボイスを発行することもできる

請求書と納品書の両方を発行する場合、どちらか一方がインボイス制度に対応していれば問題ありません。例えば納品書にインボイス(適格請求書)に必要な項目が全て記載されていれば、請求書はインボイスとしての要件を満たしていなくても良いとされています。

また複数の書類で必要項目が網羅されていれば、インボイスとしての要件を満たすため、一つの書類に全ての項目を記載する必要もありません。例えば納品書にインボイスに必要な項目の一部を記載し、請求書にそれ以外の項目を記載すれば、2枚の書類を合わせてインボイスの要件を満たせます。

ただし複数の書類でインボイスを発行する場合は、同じ取引であることが明確になるように取引番号を記載するなどの対応が必要です。

※参考:国税庁.「適格請求書等保存方式とは?」

税込み1万円未満の取引の場合は不要なケースもある

インボイス(適格請求書)を発行する際は、少額特例も理解しておきましょう。2023年10月1日~2029年9月30日までの期間、税込み1万円未満の取引では、インボイスを保存していなくても仕入税額控除を受けられる少額特例が設けられています。基準期間における課税売上高が1億円以下、あるいは特定期間における課税売上高が5千万円以下の事業者が対象者で、一定の事項を記載した帳簿の保存があれば、仕入税額控除を受けられます。売り手側が、適格請求書発行事業者の登録を受けていない免税事業者の場合でも同様です。

ただし不要になるのはあくまでも「保存」であり、インボイスの「発行」が免除されているわけではありません。売り手側は、買い手からインボイス発行を求められたときは、それに応じる必要があります。

※参考:国税庁.「少額特例(一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置の概要)の概要」

消費税の端数処理をする

前述のとおりインボイス(適格請求書)に記載する消費税額等は、端数処理が必要です。端数処理とは、1円未満の金額を切上げ・切捨て・四捨五入などの方法で処理する方法を指します。

従来の「区分記載請求書等保存方式」では、商品やサービスごとの端数処理ができました。しかしインボイス制度では商品やサービスごとの端数処理が認められていないため、注意が必要です。1枚のインボイスにつき一回、税率ごとに端数処理を行うことが原則です。

なおインボイスでは、切上げ・切捨て・四捨五入などの端数処理の方法は任意となっています。

※参考:国税庁.「適格請求書等保存方式―インボイス制度の理解のためにー」

インボイスの電子発行も可能

インボイス(適格請求書)は紙ではなく、納品書を電子化して電子インボイスとして発行することも可能です。電子インボイスを発行した場合は、電子帳簿保存法の要件に従って保存する必要があります。

2024年1月以降の電子帳簿保存法の要件は、大きく分けて真実性の確保(改ざん防止のための措置)と、可視性の確保(関連書類の備え付け、見読性の確保、検索機能の確保)の2つです。
買い手側は電子帳簿保存法の要件に従って保存することで、仕入税額控除を受けられます。紙への印刷や郵送が不要になるなどさまざまなメリットがあるため、インボイスの電子化を検討することがおすすめです。

※参考:国税庁.「適格請求書等保存方式―インボイス制度の理解のためにー」

インボイスの発行を電子化するメリット

インボイス(適格請求書)の発行を電子化するメリットは、以下の4点です。

・業務負担を軽減できる
・テレワークに対応しやすい
・管理コストを抑えられる
・改ざん防止につながる

それぞれのメリットを詳しく解説します。

業務負担を軽減できる

インボイス(適格請求書)の発行を電子化するメリットは、発行する側・受領する側双方の業務負担を軽減できることです。紙のインボイスを発行するには、手作業で数字を入力し、印刷、郵送まで手間と時間がかかります。

受領する側も同様で、紙のインボイスを受け取った場合は、記載された内容を手入力しなければなりません。電子データであればシステムに自動で入力できるようになるため、事務作業の負担を大きく軽減できます。

テレワークに対応しやすい

テレワークに対応しやすいのも、インボイス(適格請求書)の発行を電子化するメリットです。紙のインボイスは基本的にオフィスに届くため、テレワークに対応できません。郵送が基本になるため、発送してから届くまでのタイムラグもあります。

一方で電子データは、オフィス以外の場所でも受領できるため、紙に比べてテレワークに対応しやすいことが特徴です。電子データのままシステム上に保管すれば、過去のデータもオフィス以外の場所から検索できます。

管理コストを抑えられる

管理コストを抑えられるのも、インボイス(適格請求書)の発行を電子化するメリットです。

インボイスを発行したら、発行側・受領側ともに書類を原則7年間、最長10年間保管しなければなりません。紙のインボイスでは、ファイリングするためのファイルや保管スペースにコストがかかります。

一方で電子データの保管は、物理的なスペースを必要としないため、保管に関連するコストが大幅に削減されます。

※参考:国税庁.「No.5930 帳簿書類等の保存期間」

改ざん防止につながる

インボイス(適格請求書)の発行の電子化には、改ざん防止につながるというメリットもあります。紙でインボイスを発行する場合、改ざんのリスクからはどうしても逃れられません。しかし電子データは、改ざんされていないことを証明するために電子署名を施すことも可能です。

電子署名に加えてアクセス履歴も残せるため、紙のインボイスよりもセキュリティ性が高いといえます。また、総務省は電子署名(eシール)による電子署名の制度化を検討しており、導入されればよりセキュリティの強度が高まるでしょう。

※参考:総務省.「e シールに係る検討会中間取りまとめ(案)」

インボイスの発行を電子化する場合の注意点

インボイス(適格請求書)の発行の電子化にはさまざまなメリットがあるものの、以下のような注意点もあります。

・システムの導入を検討する
・取引先に確認する
・社内ルールを決める

それぞれの注意点を詳しく解説します。

システムの導入を検討する

インボイス(適格請求書)の発行を電子化する際は、電子インボイスに対応したシステムを導入することを検討しましょう。システムの導入によって、請求書や納品書などの発行、送付、保存などさまざまな業務を効率化できます。

また、インボイスを電子データのまま保管する場合は、電子帳簿保存法に対応しているシステムを選ぶ必要があります。導入するに当たり初期費用や運用コストがかかるため、費用対効果を想定することが重要です。

取引先に確認する

インボイス(適格請求書)の発行を電子化する場合は、取引先に確認することも重要です。電子データで発行する場合、当然ながら受領側も電子化に対応している必要があります。取引先のデジタル化が進んでいない場合、電子データでの受領を断られるケースもあるかもしれません。

自社でインボイス発行の電子化を進めているものの、取引先から紙での発行を求められた場合は、紙と電子データが混在する可能性もあります。事前に取引先に確認し、電子化するのか、紙での発行を継続するのか方向性を固めておきましょう。

社内ルールを決める

インボイスを電子データで発行する場合、または受領した場合は、電子帳簿保存に従って保存しなければなりません。インボイスの発行や保存に関して、社内ルールを定めておくことも重要です。社内ルールの策定に際して、システム研修を実施するなど、社員のリテラシーを高めるための取り組みも欠かせません。

データを誤って消去したり、情報が漏えいしたりしないようにセキュリティ対策をすることも重要です。

まとめ

納品書をインボイスとして発行する場合は、要件を満たすために必要項目を記載する必要があります。

インボイスは、複数の書類を使って発行することも可能です。例えば納品書をインボイスとして発行した場合は、請求書はインボイスでなくても問題ありません。また、納品書と請求書それぞれに必要な項目を記載し、その2枚でインボイスとして扱う方法もあります。インボイスは電子データでも発行できるため、インボイスの発行を効率化したい場合は電子化も検討しましょう。

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@Tovasマーケティング担当(コクヨ株式会社)

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