クラウドFAXとは?仕組み・メリット・選び方を解説【2026年最新版】
公開日:2026年6月1日 更新日:2026年6月9日
クラウドFAXとは、FAXの送受信を専用機や電話回線ではなく、インターネット経由のクラウドサービスで行う仕組みです。
・FAX機・FAXサーバ・専用回線が不要になり、パソコンやスマートフォンからPDFで送受信できる
・印刷・投函・受信待ちといった手作業が減り、テレワークや拠点分散にも対応しやすい
・紙運用を一度に捨てる必要はなく、取引先がFAXを使い続けても電子側だけ先に切り替えられる
この記事では総務・情報システム・DX推進担当者の方に向けて、クラウドFAXの仕組みとメリット、導入時の選び方の観点を整理して解説します。
TOPICS
クラウドFAXとは|定義と従来FAXとの違い

クラウドFAXとは、FAXの送受信を専用機や電話回線ではなく、インターネット経由のクラウドサービスで行う仕組みです。
従来のFAXは、FAX機(複合機)と電話回線を使い、紙の原稿を物理的に送受信していました。クラウドFAXでは、この送受信の役割をクラウド事業者のサーバが担います。利用者はパソコンやスマートフォンから、PDFなどのデータファイルとしてFAXを送り、受け取ります。
従来FAXとクラウドFAXの違い
両者の違いを、運用の観点で整理します。
| 観点 | 従来FAX | クラウドFAX |
| 必要な設備 | FAX機・電話回線 | インターネット環境のみ |
| 送受信の単位 | 紙の原稿 | PDFなどのデータ |
| 作業場所 | FAX機の前 | パソコン・スマートフォン |
| 受信の確認 | 印刷された紙を見る | 画面・メールで確認 |
| 過去文書の検索 | 紙を探す | データで検索 |
クラウドFAXは、FAXという「相手とのやり取りの手段」は維持したまま、自社側の処理だけをデジタルに置き換える仕組みといえます。
「インターネットFAX」との関係
クラウドFAXは「インターネットFAX」と呼ばれることもあります。どちらも、インターネット回線を介してFAXを送受信するサービスを指す言葉で、実務上はほぼ同じ意味で使われます。本記事では「クラウドFAX」に表現を統一して解説します。
クラウドFAXが求められる3つの背景
クラウドFAXへの関心が高まる背景には、大きく3つの要因があります。
紙とアナログ作業のコスト
FAX機の運用には、用紙代・トナー代・電話回線の基本料金といった費用がかかります。さらに、受信した紙を仕分けて担当者へ配る作業や、送信時に印刷して原稿をセットする作業など、目に見えにくい人手のコストも発生します。
紙の郵送についても、郵便料金は2024年10月に改定され、定形郵便物(50g以下)の上限料金は84円・94円から一律110円へ引き上げられました(出典:日本郵便「郵便料金の改定について」2024年6月13日)。FAXに限らず、紙でのやり取り全般のコスト負担が重くなっています。
テレワークと拠点分散
FAX機は特定の場所に固定された設備です。出社しなければFAXを送れず、受信した文書を確認できないという制約は、働き方が多様化するなかで業務の停滞要因になります。クラウドFAXであれば、インターネット環境さえあれば場所を問わず送受信できます。
企業全体のDX推進
経済産業省は2018年9月の「DXレポート」で、企業がDXを実現できない場合、2025年以降に最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性を指摘しました(出典:経済産業省「DXレポート」2018年9月)。FAX業務の電子化は、こうした全社的なDX推進の一部に位置づけられます。
実際、IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2024」では、DXに取り組む日本企業の割合は73.7%に達しています(出典:IPA「DX動向2024」)。アナログな業務を見直す動きは、FAX業務にも広がっています。

クラウドFAXの4つのメリット

クラウドFAXを導入すると、コスト面と業務面の両方で効果が期待できます。
| メリット | 主な内容 |
| 設備コストの削減 | FAX機・FAXサーバ・専用回線の維持費を圧縮 |
| 作業時間の短縮 | 印刷・原稿セット・紙の仕分け作業を削減 |
| 場所に依存しない運用 | 在宅・外出先からも送受信が可能 |
| 文書管理の効率化 | 送受信履歴をデータで保存・検索できる |
設備と手作業の二重の削減
クラウドFAXは、FAX機本体やFAXサーバといった設備を持たずに運用できます。あわせて、印刷・原稿セット・受信紙の仕分けといった手作業も減らせます。設備費と人手の両方を同時に軽くできる点が、クラウドFAXの大きな利点です。
送受信履歴がデータで残る
クラウドFAXでは、いつ・誰に・何を送ったかという履歴がデータとして残ります。「送ったはず」「届いていない」といった行き違いの確認が画面上で完結し、過去の文書も探しやすくなります。
クラウドFAX導入時の課題と注意点
クラウドFAXには利点が多い一方、導入時に押さえておくべき点もあります。
第一に、取引先の運用です。FAXは相手があって成立する手段のため、自社がクラウド化しても、相手は従来どおりFAX機を使い続けることがあります。クラウドFAXは相手のFAX機ともやり取りできますが、移行は自社側から段階的に進めるのが現実的です。
第二に、社内の運用ルールづくりです。受信したFAXを誰が確認し、どこに保管するかというルールが曖昧なままだと、データ化しても確認漏れが起きます。
第三に、法要件への適合です。FAXでやり取りした請求書や注文書をデータで保存する場合、後述する電子帳簿保存法の保存要件を満たす必要があります。
クラウドFAXと法対応|電子帳簿保存法・e-文書法
FAXで請求書や注文書をやり取りする企業にとって、2つの法律の理解が欠かせません。電子帳簿保存法とe-文書法です。
2つの法律の関係
e-文書法は、紙での保存が義務付けられていた文書を電子的に保存することを幅広く認める法律です。電子帳簿保存法は、国税関係の帳簿書類に絞って電子保存のルールを定めた法律で、e-文書法を補完する位置づけにあります(出典:国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」)。
| 観点 | e-文書法 | 電子帳簿保存法 |
| 対象 | 紙保存が義務だった各種文書 | 国税関係帳簿書類・電子取引データ |
| 主な保存要件 | 見読性・完全性・機密性・検索性 | 真実性・可視性 |
| 所管 | 複数省庁 | 国税庁(財務省) |
データで授受した取引情報は電子保存が原則
電子帳簿保存法では、メールやWebなど電子的に授受した取引情報(電子取引データ)は、電子のまま保存することが原則とされています(出典:国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」)。
クラウドFAXでやり取りした請求書や注文書がデータとして残る場合、その保存方法も法要件に沿って整える必要があります。導入するサービスが電子帳簿保存法の保存要件に対応しているかは、選定前に必ず確認してください。
クラウドFAXの選び方|5つの観点

クラウドFAXのサービスは複数あり、機能や得意分野が異なります。自社に合うものを選ぶには、次の5つの観点で確認すると、導入後のミスマッチを防げます。
| 観点 | 確認するポイント |
| 送受信の規模 | 大量送信に対応できるか、件数で運用が破綻しないか |
| 法対応 | 電子帳簿保存法の保存要件に対応しているか |
| 既存システム連携 | 会計・販売管理システムの帳票データを取り込めるか |
| セキュリティ | 通信の暗号化やアクセス管理が整っているか |
| サポート体制 | 導入時・運用時の支援を受けられるか |
「FAXだけ」か「帳票業務全体」かを見極める
選定でまず考えたいのは、解決したい範囲です。FAXの送受信だけを電子化したいのか、それとも請求書・納品書を含む帳票業務全体を見直したいのかで、選ぶべきサービスは変わります。FAX単体のツールと、帳票配信全体を扱うサービスでは、カバーする業務範囲が異なるためです。
大量送信への耐性を確認する
取引先が多い企業では、月末に請求書や注文書を一斉送信する場面があります。送信件数が増えても安定して処理できるか、専用回線やFAXサーバを別途用意せずに運用できるかは、重要な確認ポイントです。
他社製品をどう比較するか
クラウドFAXを比較検討する際は、他社サービスの優劣を断定するより、「自社の業務にどの観点が重要か」を先に決めることをおすすめします。送受信規模・法対応・連携・セキュリティ・サポートのうち、自社が外せない観点を基準に各サービスを評価すれば、判断がぶれにくくなります。
クラウドFAXと帳票配信を一体で考える
クラウドFAXを検討するなかで見えてくるのが、「FAXだけを切り出して電子化しても、帳票業務全体は楽にならない」という課題です。請求書や注文書は、相手によってFAX・メール・郵送と受け取り方法が分かれるためです。
そこで有効なのが、FAXを含む複数の配信手段をまとめて扱えるクラウド帳票配信サービスです。コクヨ株式会社が提供する「@Tovas(アットトバス)」は、請求書・納品書・注文書などの帳票を「電子ファイル(Web・メール)」「FAX」「郵送」で送受信できる帳票Web配信クラウドサービスです(出典:コクヨ株式会社「@Tovas」公式サイト)。
@TovasのFAX送信機能は、FAXサーバや専用回線を用意せずに、クラウド型のFAX基盤を構築できる仕組みです。取引先ごとにFAX・メール・郵送を使い分けられるため、FAXを使い続ける相手がいても、電子化を段階的に進められます。
コクヨ株式会社が提供するクラウド型帳票配信サービス「@Tovas(アットトバス)」。
綴りが少し紛らわしく、「AttoBas」「AttoBus」と間違えられやすいのですが、正しくは頭文字にアットマークをつけた「@Tovas」と表記いたします。 今後のご検索や社内での情報共有にお役立ていただけますよう、ぜひこの機会に「@Tovas」という名前を覚えていただけますと幸いです。
なお、@Tovasは2025年5月13日から帳票を「受け取る」機能の提供を順次開始し、送受信の両方に対応するサービスとなりました(出典:コクヨ株式会社ニュースリリース「電子帳票配信システム『@Tovas』に帳票の受け取り機能が追加」2025年4月2日)。FAX受信を含む帳票の受け取りも、同じ基盤で扱えます。
クラウドFAXの導入を検討する際は、FAX単体で考えるのか、帳票配信全体で考えるのかを最初に整理しておくと、ツール選びの精度が高まります。
まとめ|FAXを残したまま業務だけを軽くする
クラウドFAXとは、FAXの送受信をインターネット経由のクラウドサービスで行う仕組みです。FAX機・FAXサーバ・専用回線が不要になり、パソコンやスマートフォンから場所を問わず送受信できます。
導入のポイントは、FAXという相手とのやり取りの手段は残したまま、自社側の処理だけをデジタルに置き換えると考えることです。取引先がFAXを使い続けても、自社の業務は軽くできます。
選定にあたっては、送受信の規模・法対応・既存システム連携・セキュリティ・サポートの5観点で評価し、「FAX単体」で解決するのか「帳票業務全体」で見直すのかを先に決めておくことが重要です。まずは自社のFAXの送受信件数と用途を棚卸しするところから始めてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. クラウドFAXとは何ですか?
FAXの送受信を専用機や電話回線ではなく、インターネット経由のクラウドサービスで行う仕組みです。パソコンやスマートフォンから、PDFなどのデータとしてFAXを送受信できます。
Q2. クラウドFAXとインターネットFAXは違いますか?
どちらもインターネット回線を介してFAXを送受信するサービスを指し、実務上はほぼ同じ意味で使われます。本記事では「クラウドFAX」に表現を統一しています。
Q3. クラウドFAXを使うとFAX機は不要になりますか?
自社のFAX機は不要にできます。ただしFAXは相手があって成立する手段のため、取引先がFAX機を使い続けることはあります。クラウドFAXは相手のFAX機ともやり取りできます。
Q4. クラウドFAXの主なメリットは何ですか?
FAX機・FAXサーバ・専用回線の維持費削減、印刷や仕分けといった手作業の短縮、在宅・外出先からの送受信、送受信履歴のデータ保存・検索の4点が代表的です。
Q5. クラウドFAXは法律に関係しますか?
FAXでやり取りした請求書や注文書をデータで保存する場合、電子帳簿保存法の保存要件に関わります。電子的に授受した取引データは電子のまま保存することが原則とされています。
Q6. クラウドFAXはどう選べばよいですか?
送受信の規模、電子帳簿保存法への対応、既存システムとの連携、セキュリティ、サポート体制の5観点で確認します。あわせて「FAX単体」か「帳票業務全体」かを先に決めると選びやすくなります。
Q7. 大量のFAXを一斉送信できますか?
サービスによって異なります。月末の請求書一斉送信などを想定する場合は、件数が増えても安定して処理できるか、専用回線やFAXサーバを別途用意せず運用できるかを確認してください。
Q8. クラウドFAXと帳票配信サービスはどう違いますか?
クラウドFAXはFAXの送受信を電子化する仕組みです。帳票配信サービスは、FAXに加えてメールや郵送など複数の手段で帳票を届ける仕組みで、扱う業務範囲が広くなります。
Q9. @TovasはクラウドFAXとして使えますか?
コクヨ株式会社が提供する「@Tovas(アットトバス)」は、FAX送信機能を備えた帳票Web配信クラウドサービスです。FAXサーバや専用回線を用意せずクラウド型のFAX基盤を構築でき、FAX・メール・郵送を取引先ごとに使い分けられます。
参考文献
・経済産業省「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」(2018年9月) https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html
・IPA(情報処理推進機構)「DX動向2024」 https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/
・国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm
・日本郵便株式会社「郵便料金の改定について」(2024年6月13日) https://www.post.japanpost.jp/notification/pressrelease/2024/00_honsha/0613_01.html
・コクヨ株式会社「@Tovas(アットトバス)」公式サイト https://www.attovas.com/
・コクヨ株式会社ニュースリリース「電子帳票配信システム『@Tovas』に帳票の受け取り機能が追加」(2025年4月2日) https://www.kokuyo.com/news/release/20250402cs1/
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