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決算業務の効率化5つ│経理担当・部門長それぞれで意識できること

決算業務の効率化5つ│経理担当・部門長それぞれで意識できること

公開日:2022年10月28日 更新日:2024年4月17日

経理部門において決算業務は重要な業務の一つです。しかし決算期間は一年で最も忙しく、業務そのものにも正確性が求められます。この期間の負担を減らすには、日々の経理業務を効率化することがカギになるでしょう。本記事では決算業務の流れや効率化の方法について解説します。またスムーズな決算を実現させるには経理業務の効率化も欠かせません。経理業務の効率化が必要な理由や具体的な改善方法についても紹介しますので、参考にしてください。

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決算業務とは?

決算業務の内容・目的

決算とは、特定の期間において収益や費用を計算して書類にまとめることです。決算書は財務諸表または計算書類と呼ばれ、会社の内外に影響する重要な書類になります。
決算書は以下の3つの書類で構成されます。

1.貸借対照表(会社が持つ資産・負債・資本のまとめ、バランスシート)
2.損益計算書(収益と費用をまとめたもの)
3.キャッシュ・フロー計算書(特に現金に特化した損益計算書)

また、決算書の目的は主に2つ挙げられます。

1.資産や負債を明確にして、企業の財務状況を明らかにする
2.税務申告や経営状況の把握、株主総会への報告など、社外に対し経営状況を正確に伝える

決算書は国や利害関係者に影響を与えるため、企業や公的機関などは決算の実施が法律で義務づけられています。

決算の時期

決算の時期は法人と個人事業主で異なります。法人の場合は事業年度を独自に決められるため、事業年度の最終日に決算を行います。日本では原則4月1日から新しい法令が施行されることから、3月に決算を行う企業が多いようです。
ちなみに、個人事業主の場合は会計期間が1月から12月までとあらかじめ決められています。このため決算日は自動的に12月31日となります。個人事業主とやりとりをする場合、相手の決算時期を考慮するとスムーズなやりとりができるでしょう。

決算業務の流れ


決算業務の流れを以下で確認します。決算は経理部門の一大イベントです。経験が浅い新設企業であれば正しい流れを確かめ、ベテランの方でも効率化できる余地がないかを検討しましょう。

当期の決算残高を確定する

まずは当期分の記帳をすべて完了させ、試算表や明細表を作成します。特に重要な点は帳簿上の値と差がないかを調べることです。資産や負債の棚卸や、最終修正を行うための決算整理仕訳を行います。
膨大な項目を扱うため、記載内容に誤りがあると修正にかなりの時間を取られやすい部分です。普段から誤りがないかを繰り返し確認しましょう。また経理システムを導入すると記録をたどりやすくなります。特に帳票関連は取引先ともすり合わせが必要になるケースもあるため、記録の残る帳票システムなら先方の負担を減らし短時間での修正も期待できます。

税金の計算を行う

決算残高を元に法人税や事業税、法人市民税、法人県民税、消費税などを計算します。故意であってもそうでなくても、税額計算に大きな不備があった場合は次年度以降でペナルティを課される危険があるため注意しましょう。
法人税などの計算は企業の規模や利益に応じて税率が異なるため、確定申告書は事業年度ごとに異なります。また上場企業は決算日から45日以内に決算短信という速報資料を制作する必要があります。もし税金の計算に自信がない場合や、他の業務に追われて時間が取れないといった場合は、税理士へのアウトソーシングも検討しましょう。

決算書を作成する

確定した決済残高を元に、損益計算書や貸借対照表などの決算書を作成します。従来と比べ処理方法などに変更があればその旨も注意事項として記載します。
作成後は監査役や取締役会、会計監査人などに報告を行い、承認を受けましょう。株式会社であれば3カ月以内に株主総会を開き、ステークホルダーに報告を行います。
制作した決算書も10年間は破棄せず保管しましょう。もし保管場所に余裕がない場合は電子化での保管も可能です。

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決算業務を効率化すべき理由

経営を円滑に進めるためにも決算業務の無駄はできるだけ省くべきです。具体的な理由として以下の3点が挙げられます。

1.決算はできるだけ早期に終えることが求められる
決算日から2カ月後までに法人税の申告書を提出、また3カ月後までに決算書を作成し株主総会を開く必要があります。書類の作成に時間を割くためにも、決算そのものを手短に 終わらせましょう。

2.決算により経営上の問題点が明らかになる可能性がある
効率化により決算を早く終えられれば、それだけ早期に経営状況の改善に移れます。

3.業務を効率化することで経理担当者の負担を軽減できる
決算時期は経理部門が1年で一番忙しくなる時期です。業務を効率化すれば担当者のストレスも減り、決算を円満に終えられる確率が上がります。

決算業務を効率化する5つのポイント

決算業務はただでさえ膨大なデータを扱うため、一つ一つの情報をあらかじめ整頓しておかないと時間や人員を浪費する原因になります。業務を効率化するには以下の5点に気を配りましょう。

データの整理

決算とは、今までのデータを見やすく取りまとめたものです。このため、経理業務のデータを日頃から整理しておくことが重要です。特にデータ探しに時間を取られると全体の進行が止まってしまうだけでなく、担当者のモチベーション低下も招くおそれがあります。
データ探しをスムーズに行うには、決算に必要な情報を検索しやすいよう日頃から保存場所やファイルの管理が必要です。決算業務は日々の経理業務が基礎となります。毎日・毎週・毎月の経理を正確に積み上げることが肝心です。

決算業務の早期化

決算日から書類の完成までには期限があり、また決算時期は経理部門の作業負荷が重くなり思ったような速度で作業を進めにくいこともあります。そのため、決算業務は早め早めの動き出しを心がけましょう。決算日から書類完成まで余裕があると考えるのではなく、決算日以降は予備期間と捉えることが大切です。
早いうちからできる具体的な行動の例は以下のとおりです。

・決算資料の作成に必要になる仕訳の勘定科目を入力しておく
・必要なデータを事前に集めておく

隙間時間を見つけ自分でできることを進めましょう。同時に、チームや同僚にも働きかけ協力を得ることも重要です。

業務フローの見直し

経理から決算につながる業務フローで無駄な作業がないかを確認し、もし冗長な部分があれば見直します。
フローチャートを制作するにはまず決算業務全体の流れを把握し、いつ、だれが、どのように業務を行うのかを可視化します。業務の流れや細かい業務内容を把握したら順次図式に落とし込みましょう。最後に、マニュアルの作成やフォーマットの定型化を行い、業務をできるだけ標準化します。
フローチャートはテンプレートや製作ツールを活用すると短時間で制作できますが、見直しや業務への反映は短時間ではできません。次回の決算に向け、周囲にも少しずつ働きかけましょう。

業務のアウトソーシング

業務フローの見直しなどを経て業務を標準化すれば、面倒な作業の一部をアウトソーシングできるかもしれません。経理代行サービスなどが代表的な例です。月次・年次の作業を大幅に減らせる上、税理士が在籍している場合はそのまま税金の計算まで依頼できます。
ただし、アウトソーシングする場合も以下のようなデメリットがあります。

・依頼する領域が増えれば増えるほど、社内で経理の人材を育成しにくくなる
・決算は会社の重要機密のため、アウトソーシング先のセキュリティによっては情報漏洩の危険性がある

こうしたデメリットとサービスの品質やコスト・効率化の効果などを比べ、採用の可否を慎重に見極める必要があります。社内で行う場合と比較し、最適な方法を選んでください。

システムの導入

経理を補助するシステムを導入し、計算や記帳・書類作成にかかる手間を減らすこともポイントです。ミスをしやすい細かな作業も正確かつスピーディーに進められるため、一分一秒でも惜しい決算時期にかかる負担を軽減できます。
システムと一口にいっても、入力を簡略化する経理システムから請求書などの書類を管理する帳票システムまで多岐にわたります。そのため最適なシステムを選ぶには比較検討が欠かせません。直前期に導入しても決算業務に間に合わない可能性があるので、今のうちから情報を集めておきましょう。

効率化のために経理担当や部門長が意識できること


決算の効率化につながる具体的な取り組みは上記に挙げたとおりですが、実施する上で経理担当者や部門長が持っておくべき意識については以下で解説します。
決算、ひいては経理業務は部署だけでなく会社全体に関わる重要なプロジェクトです。目的意識を共有することで、さらに高いレベルでの効率化を目指しましょう。

経理担当が意識できること

経理担当が意識できることは属人化の防止と他部署との連携強化の2点です。
まず属人化の防止とは、ある経理の人でないとこの業務を処理できないといった事態を防ぐことです。処理に必要な知識や情報をひとりに集約させない工夫が必要となります。情報共有をはじめとして、特定の人が担当している業務を他の人でも対応できるようにマニュアル化や引継ぎを行いましょう。
効率的な社内体制の整備に向け、業務フローの改善やシステムの導入といった面で協力することも大切です。経理はしばしば専門的で閉鎖的な部署とみなされがちですが、なるべく風通しを良くして連携力を高めましょう。

部門長が意識できること

部門長は現場より高い視点から業務の効率化を推し進められる立場です。決算とは会社全体の経理業務の積み重ねであることを念頭に置き、会社全体での業務プロセス見直しを意識していきます。
具体的には、以下のような対策が挙げられます。

・各部署から提出される経費書類のミスを減らせるように努力を促す
・業務効率化にシステムの導入が効果的だと判断した場合は、予算がつくように会社に働きかける

また、経理内での業務フローの改善も部門長ができる大きな仕事の一つです。決算業務の効率化というビジョンを部内でも共有し、透明性を向上させましょう。

まとめ

決算業務を効率化するには、忙しい時期になる前にデータの整理や決算書作成の準備を進めておくことが大切です。並行して業務フローの見直しや業務の標準化などを行い、部門内での効率化を進めましょう。場合によってはアウトソーシングやシステム導入もおすすめです。
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