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約束手形が2026年に廃止検討へ│企業への影響と今後やるべき事を解説

約束手形が2026年に廃止検討へ│企業への影響と今後やるべき事を解説

2022年11月28日

約束手形による支払いは減ってきているものの、業種によってはまだ広く利用されています。しかし、約束手形は現金化までの期間が長く、事務管理も煩雑になることから廃止が検討されていることが実情です。この記事では、約束手形の仕組みや廃止された場合の企業への影響、今後の対応などについて詳しく解説します。約束手形が廃止された場合の対応についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

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TOPICS

1.約束手形とは
2.約束手形の交付から現金化までの基本的な流れ
3.約束手形のメリット・デメリット
4.約束手形の廃止に向けた動き
5.約束手形の利用をやめるには?
6.約束手形に代わる電子的決済とは
7.まとめ

約束手形とは

最初に、約束手形とはどのような決済手段なのかをあらためて確認していきます。ここでは約束手形の仕組みや目的、現金化までの期間について解説します。

・約束手形の仕組み

約束手形とは、特定の期日までに代金を支払うために発行される有価証券のことです。企業間で利用されている決済手段の一つで、単に手形と呼ばれるケースもあります。代金を支払う側が約束手形を発行し、受取人に渡せば決済が完了する仕組みです。なお、代金を支払うために約束手形を発行する側のことを振出人と言います。
支払期日が到来すると、受取人は約束手形を銀行などの金融機関で現金化することが可能です。支払期日前であっても、金融機関に約束手形を売却すれば現金化できますが、割引料が差し引かれます。また支払期日に振出人の口座に残高がなく、現金化できなかった場合は不渡りとなります。

・約束手形を利用する目的

約束手形を利用する目的を一言でまとめると、資金調達の猶予期間を設けるためです。現金が足りないためすぐに支払ができなくても、約束手形を使えば支払期日を後ろ倒しにできます。支払期日までに現金を用意して入金できれば何ら問題はありません。
例えば、決済日を4カ月後に指定した場合、4カ月の猶予期間ができる計算です。その間に売掛金を回収したり銀行から融資を受けたりして資金調達を行い、支払期日までに間に合わせれば問題ありません。

・現金化までの期間

手形サイトとは、約束手形の振出日から現金化までの期間を指す言葉です。手形サイトは30日から120日までと1カ月単位で指定されることが多くなっています。
実際に約束手形が現金化されるまでの期間は平均で100日程度です。支払期日に振り出された場合は、売掛金の期間も含めて約150日かかることもあります。つまり、あまりに手形サイトが長すぎると、受け取った側がなかなか現金を手に入れられません。場合によっては、半年近く入ってこない計算になります。
このような事情を鑑み、中小企業庁と公正取引委員会は、可能な限り速やかに手形などの支払いサイトを60日以内に短縮することを求める要請を連名で行いました。

約束手形の交付から現金化までの基本的な流れ


約束手形の交付から現金化までの基本的な流れは以下のとおりです。

1.約束手形を交付・発行する
2.振出人が当座預金へ入金する
3.受取人が約束手形を銀行に提示し、支払いを受ける

具体的にどのような手続きを行うのか詳しく解説します。

1.約束手形の交付・発行

約束手形の交付・発行を受けるためには、先だって銀行で当座預金口座を開設しておく必要があります。その後、交付用紙に支払い金額と期日を記載し、提出すれば約束手形を振り出すことが可能です。
交付用紙として一般社団法人全国銀行協会が定める統一手形用紙が用いられています。どの銀行でも使う交付用紙は同じです。

2.振出人による当座預金への入金

約束手形の振出人は、指定した期日までに当座預金口座にお金を入金しなければなりません。不渡りにならないよう支払期日までに入金しましょう。
半年の間に二度不渡りを出してしまうと、銀行との当座勘定取引および貸出取引が停止されてしまいます。このことを取引停止処分と言います。詳しくは後述しますが、会社が倒産する可能性も出てくるので要注意です。

3.受取人による約束手形の呈示

受取人は支払期日が到来したら、銀行へ約束手形を呈示し、取り立てを依頼します。支払期日よりも前に取引をしている銀行に持参し、預けておくことも可能です。紛失や提出忘れを避けるためにも、事前に預けた方が良いでしょう。なお、支払期日を含めた3営業日以内に手形に記載された銀行の窓口に持ち込めば、その場で支払いも受けられます。

4.銀行から受取人への支払い

支払期日が到来すれば、銀行から受取人への支払いが行われます。実際は、銀行から受取人の口座にお金が振り込まれると考えましょう。
銀行側でも事務処理があるため、受取人が約束手形を呈示してから実際に現金化できるまでには時間がかかります。資金繰りに余裕が持てるよう事前に入金日を確認しておくと良いでしょう。

約束手形のメリット・デメリット

約束手形にはメリットとデメリットがあります。振出人には支払い期間を延ばせるというメリットがありますが、受取人にはあまりメリットがありません。ここでは、約束手形のメリットとデメリットを解説します。

・約束手形のメリット

約束手形のメリットは、支払いまでの期間を延ばせることです。現金がすぐに用意できない場合でも仕入ができる上に、売上が入金される前に支払い日が到達する場合でも、一定期間の猶予はあります。
支払い日が到達する間に他の取引先への売掛金が入金されるなどの予定があれば、支払いのために銀行から借入をする必要もありません。加えて、銀行から借入をした場合には利子がかかりますが、手形ではかからないこともメリットです。

・約束手形のデメリット

約束手形には振出人、受取人の双方にデメリットがあります。決済手段としてはメリットよりデメリットの方が多いともいえます。具体的にどのようなデメリットがあるのか確認しましょう。

振出人のデメリット

約束手形で不渡りを出すことで会社が倒産に追い込まれる可能性があることが、振出人にとってのデメリットです。
万が一、支払い期日の時点で当座預金口座に現金が用意できなければ、不渡り処分となり、その情報が加盟銀行に通知されます。取引は続けられるものの、信用力が低下し、借入も難しくなるので要注意です。
さらに半年以内に2回不渡りを出した場合、銀行での取引が停止されてしまいます。借入や当座預金での取引が2年間できなくなるため、事実上事業を継続できません。倒産につながる可能性も極めて高くなるため要注意です。

受取人のデメリット

資金の現金化までに時間がかかる点が受取人側のデメリットとして指摘されています。受取人側企業の資金が十分でなかった場合は、資金繰りにも支障が出かねません。
加えて、支払い期日より前に約束手形を売却する割引手形なら現金化はできますが、割引料の分だけ手元に残る金額も減ってしまいます。そもそも審査に通らなければ手形割引自体を利用できない点にも注意が必要です。また受取手形は紙でできています。会社内で支払い期日まで保管しておくなどの事務負担がある上に、盗難・紛失などのリスクも高いと言えます。

約束手形の廃止に向けた動き

約束手形に関しては、2026年を目途に廃止する方向で話が進んでいます。廃止が検討されている理由や企業への影響などについて解説します。

・約束手形は2026年に廃止される方針

1990年以降、手形の発行残高は減少傾向にあります。2020年の約束手形の交換高は134兆2,534億円(前年比27.0%減)で、ピークだった1990年(4,797兆2,906億円)のわずか3%(97.2%減)にまで減少しました。2016年12月には手形通達が改正され、下請代金の支払いはできるだけ現金にすることが求められるようになった点も、手形の発行残高の減少に関連しているでしょう。
また受取人の約9割、振出人の約7割が約束手形の利用をやめたいと考えていることも明らかになりました。これらの背景もあって、2021年2月に経済産業省による検討会で、2026年を目途に手形を廃止する方針が決定されています。

・企業への影響と今後の対応

国として約束手形をやめる方向で進んでいるのは、企業にもさまざまな影響を及ぼしています。経済産業省では、企業に対し現金振込への移行を推奨しています。現金化までの期間を短縮できるからです。
また、現金振込への移行が難しい企業に対しては、電子記録債権(でんさい)の利用を求めています。でんさいとは、手形・指名債権(売掛債権等)の問題点を克服した金銭債権です。専用のネットワーク(でんさいネット)上で発生、譲渡、決済の記録を行うだけで、取引先への支払いができる仕組みと考えましょう。
今後はインターネットバンキングやでんさいなど、電子決済が多くなる可能性が高く、企業にも決済手段の電子化を前提にした対応が求められます。

約束手形の利用をやめるには?


約束手形は振出人と受取人の双方にとってデメリットが多く、やめたいと考えている企業が散見されるのが実情です。ここでは具体的に約束手形の振り出しや受け取りをやめる方法について詳しく紹介します。

・振り出しをやめる方法

約束手形の振り出しをやめるには、まず資金繰りを改善することが非常に重要です。約束手形を振り出す背景には、仕入れたタイミングですぐに現金を支払えないという事情があります。
約束手形の振り出しをやめたいなら、このような事情を解決するための施策を講じましょう。具体的に考えられる施策をいくつか列挙します。

●借入金で支払手形の残高をなくす
●現金決済に徐々に移行する
●資金が貯まってから一気に残高を支払う

会社の状況によっても使える方法は異なるため、税理士など専門家のアドバイスも仰ぎつつ、慎重に進めてください。

・受け取りをやめる方法

約束手形の受け取りをやめる方法は極めてシンプルで、取引先に対し現金払いを希望する旨を伝えるだけです。ただし、今後の取引に影響する可能性があるので、慎重に進めなければなりません。約束手形で支払えないなら今後の取引は継続できない、という回答にもつながりかねないからです。
受け取りを拒否した結果、取引が中止になっても売上への影響が少ないかをまずは確認しましょう。他社にはない商品、サービスを扱っている場合はやや有利になります。取引先がたとえ現金払いになっても取引を継続する見込みがあるためです。

約束手形に代わる電子的決済とは

約束手形に代わる支払手段として、電子的決済が注目されています。決済にかかる事務負担の軽減や支払い期間の短縮などのメリットがあるためです。ここでは、主な電子的決済の方法を解説します。

・インターネットバンキング

インターネットバンキングとは、インターネットを通じて銀行のサービスを利用できる仕組みのことです。パソコンやスマートフォンを使ってインターネット上で銀行のシステムにログインし、銀行口座の引出や預入、振込・振替を行います。
これまで銀行振込を行うには、銀行の窓口やATMまで出向き、振込処理をしなければなりませんでした。しかしインターネットバンキングであれば、インターネット環境さえあれば時間や場所を問わずに支払いが可能です。会計システムとの連携もしやすく、データ入力の手間も省けるため、経理の効率化にもつながります。法人向けのインターネットバンキングであれば、ビジネスにおいても問題なく利用できるでしょう。

・クレジットカード決済

企業間取引においてもクレジットカード決済は徐々に普及しています。支払う側の企業にとっては、振込手数料がかからないことがメリットです。
ただしクレジットカードごとに取引金額に上限が設けられています。そのため多額の取引の場合は利用できない可能性もある点に注意しなければなりません。定期的に上限額の見直しを申請したり、社内で利用可能な上限額を設けて運用したりする必要があるでしょう。
一方、代金を受け取る側の納入企業(債権者)にとっては、事務作業を簡素化できるというメリットがあります。ただし、決済手数料が発生するため、実際に手元に入る金額が減る点に注意してください。

・電子記録債権(でんさい)

電子記録債権(でんさい)とは、約束手形にかかる手続きを簡素化するために創設された金銭債権のことです。電子記録債権記録機関の記録原簿への電子記録が発生・譲渡の要件となります。つまり、これまで行っていた約束手形の振り出しや呈示、支払い期日を迎えてからの入金をすべてネットワーク上で行うシステムと考えることができます。
電子記録債権の場合、譲渡には電子記録が必要となるため二重譲渡のリスクがない点が大きなメリットです。また、権利内容が電子的に記録されるため、紙の手形のように管理にかかるコストが軽減され、盗難や紛失のリスクも解消されます。
なお、でんさいを使いたい場合は、取引銀行へ申し込み、審査を受けなくてはいけません。

 

 

まとめ

支払いまでの期間を延ばせる決済手段として、これまで約束手形は広く使われてきました。しかし、事務処理が煩雑だったり、実際に現金が受け取れるまで長かったりなど使い勝手が劣る部分もあります。
2026年を目途に約束手形は廃止が検討されているため、企業もその前提で対応を進めなければなりません。電子決済を導入するのも対応の一環です。導入により決済にかかる事務を効率化ができることもメリットでしょう。経理事務の効率化を目指すなら、電子帳票配信システム『@Tovas』の導入がおすすめです。請求書を電子化して送付できるため、経理事務の負担を軽減できます。経理事務の効率化やペーパーレス化に向けて、ぜひ導入をご検討ください。

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