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MQ会計とは?考え方や管理会計との違いなどを分かりやすく解説

MQ会計とは?考え方や管理会計との違いなどを分かりやすく解説

公開日:2023年3月13日 更新日:2024年4月17日

会社にとって重要な課題の一つは、経営において利益を出し続けることといっても過言ではありません。安定して利益を得るためには、資金の流れを把握することも重要です。そこで、活用してほしい会計手法のとしてMQ会計があります。MQ会計は、戦略的かつ合理的に利益を出せる会計手法の一つです。

今回はMQ会計とは何か、基本的な考え方や管理会計との違いを解説します。経営に活かせる会計手法として、ぜひ参考にしてください。

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MQ会計とは

そもそも会計とは、会社経営において資金の流れを記録・管理することを指します。MQ会計は会社の資金を管理し、さらに利益を生むために戦略的に行う会計手法です。詳しくは後述しますが、以下の6文字で企業の現状を簡単にわかりやすく表現することが大きな特徴です。

・P:価格
・V:原価
・M:粗利
・Q:数量
・F:固定費
・G:利益

金額や売上で利益を把握するため、実用的で分かりやすいこともメリットです。会計の専門用語が難しくて覚えられないという社員でも、MQ会計であれば理解しやすいです。MQ会計の導入により、会社の経営において必要な意思決定を合理的に行うことができます。

MQ会計と管理会計の違い

MQ会計は管理会計の一手法ではありません。管理会計とは目的が異なるため、分けて考える必要があります。ここでは、MQ会計と管理会計の違いについて、詳しく解説します。

管理会計とは

管理会計とは、経営上の意思決定を行うために会社の現状を把握し、社内向けにまとめる会計のことです。そのため、会社全体だけでなく部門ごとに管理会計を行って、利益目標の立案や業績評価に使うことも珍しくありません。また法律で明確に定められているわけではないため、会社によって実際に用いられる手法はさまざまです。

管理会計に対する言葉として、財務会計があります。財務会計とは、投資家や債権者、税務署といった企業外部の利害関係者に対して、企業の財務状況や経営状況を報告するために行う会計です。開示が義務付けられている書類があり法律の枠組みの中で行うという点では、管理会計とはまったく異なります。

MQ会計との違い

管理会計とMQ会計は目的が大きく異なります。管理会計はあくまで、過去の結果に基づき、会社の状況を把握するためのものです。そのため、翌月以降にならないと、実際の計算に必要なデータがあがってきません。データがない以上、業績結果も把握できないため、迅速な意思決定が行えるとは言い難いです。結果として、経営判断が遅れるリスクは多分にあり得ます。

一方、MQ会計は過去の数字をまとめつつ、未来の意思決定を行える手法です。売上の他に変動費や数量、付加価値など今後の経営で役立つ情報がすべて網羅されており、柔軟性があるため、経営に役立つ戦略会計として取り入れられています。

MQ会計の考え方

MQ会計の考え方において特に重要なのが、P(価格)、V(原価)、Q(数量)、F(固定費)の4つの要素です。これら4つの要素を細かく分析し、G(利益)がどの程度あったのかを算出します。なお、G(利益)が赤字だと経営戦略として効果は見込めません。

利益が残らない場合は、P(価格)、V(原価)、Q(数量)の要素について見直しを行う必要があります。例えば材料費100円のクッキー(V)を150円(P)で1日100個(Q)売ったとしましょう。1カ月(30日)間の店の家賃が18万円(F)かかったとします。この場合、1日5,000円、1カ月で15万円の粗利(M)が見込めますが、家賃が18万円かかっている以上赤字です。値上げするか、数量を増やすか、材料費を減らすか、いずれかの判断が必要になります。

MQ会計における4つの要素と利益

すでに触れたとおり、MQ会計においては、P(価格)、V(原価)、Q(数量)、F(固定費)の4つの要素を用います。これらの要素と利益の関係について、詳しく解説します。

P(価格)

P(Price=価格)は商品やサービスを提供する際の販売価格を指します。先ほどの例だとクッキーを売るときの値段(150円)がPに当たります。

販売価格は利益を左右する重要な要素の一つです。安くしすぎると数はさばけるかもしれませんが、利益は減ってしまいます。一方、高すぎると一つの商品・サービスから得られる利益は大きくなりますが、買ってもらえない可能性も高くなるので注意が必要です。

いずれにしても、最適な販売価格を決めるには、商品やサービスの価値、市場の動向などさまざまな要素を勘案して決める必要があります。

V(原価)

V(Variable Cost=原価)とは、変動費のことで、商品やサービスの開発・製造にかかった原価を指します。先ほどの例だとクッキーの材料費(100円)がVに当たります。企業の費用のうち、材料費や仕入費用、販売手数料、消耗品費などが変動費です。

変動費は市場動向や製造方法によって変化します。例えば材料の値段が上がったとしても、配合や調達先を変えれば変動費を安く抑えられるかもしれません。なお、P(価格)からV(原価)を引いた金額がM(粗利)となる点も、あわせて理解しておきましょう。

Q(数量)

Q(Quantity=数量)とは、商品やサービスを売った数量のことです。先ほどの例だと、売ったクッキーの数である1日100個(30日で3,000個)がQにあたります。

MQ会計においては、売上金額だけでなく数量も重要な要素の一つです。PやVなど、他の要素と組み合わせてPQ(売上高)やVQ(原価総額)を算出します。1日あたりのクッキーの売上は「150円×100個=15,000円」、原価総額は「100円×100個=10,000円」であることを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。

販売価格・原価・数量は、利益を算出する上で欠かせない要素です。

F(固定費)

F(Fixed Cost=固定費)とは、生産量や販売量に関係なく一定に発生する費用のことです。会社で発生する費用の中では、毎月一定額がかかる家賃や人件費、減価償却費、固定資産税などが固定費に含まれます。先ほどの例では家賃18万が該当します。

これらの固定費は、基本的に売上の変化に影響されることはありません。つまり、Q(数量)が増えたり減ったりしても、基本的に一定額が発生します。Fを切り下げるには、家賃の安い物件を借りたり、従業員の給料をカットしたりなど、販売活動とは別のところでの施策が必要です。

G(利益)

G(Gain=利益)は会社が得られた利益のことを指します。実際に利益を得るためには、P・V・Qをコントロールしなくてはいけません。例えば販売数量(Q)を増やすことができたため、売上も増えたとします。しかし材料費がかさんだ場合、利益(G)がかえって減ってしまうことも十分に考えられます。

利益を最大化するためには、販売数量(Q)を増やすだけでは不十分で、原価(V)をできるだけ抑える施策を打たなくてはいけません。どのようにすれば利益を増やせるかを踏まえ、それぞれの要素を細かく分析してみましょう。

MQ会計で損益分岐点を把握する

MQ会計では損益分岐点を把握することもできます。ここでは、損益分岐点が何かに触れた上で、具体的にどのようにすれば把握できるかについて詳しく解説します。

損益分岐点とは

損益分岐点とは収益=費用になる点のことです。つまり損益がゼロになる点であるため、損益分岐点を超えれば利益が出ることになります。逆に損益分岐点を下回れば損失が出ると考えましょう。損益分岐点を把握すると、売上目標や損益、商品やサービスの販売価格などを決めるときに役立ちます。

なお、損益分岐点は一般的な会計においても「固定費÷限界利益率」という計算式で求めることが可能です。決して難しい式ではありませんが、これまで会計になじみがなかった人が慣れるには時間がかかるかもしれません。

MQ会計においては、P・V・Q・Fの各要素を調整することで損益分岐点を把握できるため、考え方を身につけておきましょう。

損益分岐点の考え方

わかりやすくするために具体例を用いて考えてみましょう。ここでは以下の例を想定します。

・販売価格(P):500円
・原価(V):300円(原価率60%)
・販売数量(Q):1,000個
・固定費(F):30万円

この場合、売上は50万円、売上総利益は20万円、利益は-10万円(赤字)となります。

価格を上げる

先ほどの例のままだと赤字になってしまうため、利益を得るためには改善策を講じなくてはいけません。ここでは、販売価格を上げることで損益分岐点を算出する場合、どのように計算すればよいかを紹介します。

・販売価格(P):600円
・原価(V):300円(原価率50%)
・販売数量(Q):1,000個
・固定費(F):30万円

この場合、売上は60万円、売上総利益は30万円、利益0円となります。つまり販売価格を500円から600円に引き上げれば利益を出すことが可能です。

原価を下げる

価格を上げる以外にも、原価を下げることで損益分岐点を算出する方法も考えられます。以下の具体例を用いて考えてみましょう。

・販売価格(P):500円
・原価(V):200円(原価率40%)
・販売数量(Q):1,000個
・固定費(F):30万円

この場合、売上は50万円、売上総利益は30万円、利益0円となります。つまり原価を200円まで下げられれば、販売価格が500円のままでも利益を出すことは可能です。

数量を増やす

販売活動に力を入れて販売数量を増やした場合、どれだけ増やせば損益分岐点に達するかも考えてみましょう。以下の具体例を使います。

販売価格(P):500円
原価(V):300円(原価率60%)
販売数量(Q):1,500個
固定費(F):30万円

この場合、売上は75万円、売上総利益は30万円、利益0円となります。つまり、販売数量が1,500個を下回ると赤字になる計算です。利益を出すためには1,500個以上売らなければなりません。

固定費を下げる

固定費を下げることも、利益を出すためには有効な手段です。以下のように具体例を検討してみます。

・販売価格(P):500円
・原価(V):300円(原価率60%)
・販売数量(Q):1,000個
・固定費(F):20万円

この場合、売上は50万円、売上総利益は20万円、利益0円となります。つまり固定費が20万円であれば損失が出ない計算です。

他の要素を変えずに利益を得たいなら、固定費を20万円以下にすればよいことになります。

まとめ

MQ会計は決して難しくはないものの、会社が利益を得るために役立つデータが得られる有益な会計手法です。MQ会計を活用すれば、販売価格の設定や費用の管理がしやすくなります。

また、MQ会計や管理会計などの社内向けの会計データは、経営判断を行う上でも重要な資料の一つです。適切なタイミングで、正確なデータを手に入れられるよう社内体制を整備しましょう。そのためには会計業務に注力できる体制を整えるのが重要になります。

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