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経理・会計・財務の違いとは?それぞれの役割や関係性の解説

経理・会計・財務の違いとは?それぞれの役割や関係性の解説

公開日:2023年5月16日 更新日:2023年10月18日

経理・会計・財務の3つの部門はどれも企業のお金を管理する重要な業務です。しかし役割や業務内容には違いがあります。会社の資金を管理する上で、それぞれの役割や関係性を理解しておくことは非常に重要でしょう。

今回は、経理・会計・財務の違いや資金管理における役割、各部門の関係性などについて解説します。決算業務だけでなく日々の業務を円滑に進めるためにも、資金管理の流れを把握しておきましょう。

企業のお金の流れに関わる業務とは

企業において資金や負債にまつわる部門は経理・会計・財務の3つに分かれます。どれも会社が利益を上げて健全に存続するためには大事な部署ですが、それぞれ役割や目的、扱う数字が異なります。詳しくは後ほど解説しますのでそちらもご参照ください。

企業が営利を上げることを目的としている以上、なるべく少ない支出で大きな利益を得る必要があります。経営を効率化していくには、日々のお金の流れを詳しく把握して無駄や余分を省いていかなければなりません。経理・会計・財務は常に変動する資金面を正確に認識し、今後のかじ取りを行うために重要な部門です。

経理・会計・財務の違い

経理・会計・財務はどれもお金を主に扱いますが、具体的な仕事内容や業務の目的に違いがあります。以下でそれぞれの特徴を比較しましょう。

経理と財務の違い

経理と財務の大きな違いは毎日の細かなお金のやり取りを扱うかどうかです。経理は交際費や消耗品費など、他の部門で日常的に発生する伝票管理を主に受け持ちます。他にも取引先からの請求書対応も含まれます。要約すると、経理の仕事とは過去に発生した事象に対して記録をつけることと言えるでしょう。

一方、財務の主な業務は今後の会社運営に使う資金の調達です。過去の経営データを元に中長期的な発展計画を立案し、それを元に銀行融資や株式運用によって資金を確保します。つまり財務は将来のために動く部門と言えます。

同じお金にまつわる部門でも、経理が過去のこまごました取引を丁寧に記録する反面、財務はまとめられたデータを元に未来の大きなビジョンを描きます。こうしたスタンスの違いから、経理と財務はそれぞれ専門の担当者が受け持つことが一般的です。

経理と会計の違い

先に述べたとおり経理は細かい取引を記録する部門ですが、会計は会社全体の取引を取りまとめる部門です。財務とは異なりどちらも過去に発生した取引を元に記録をつけることから、言い換えれば経理は会計の一部です。経理部門が会計業務を担うことも一般的によくあります。

経理は特に取引について扱いますが、会計は金銭の流れ以外にも資産も管轄します。資産とは備品や機械設備、土地、建物など、会社の財産のすべてを指します。

会計の最も重要な職務は財務会計です。これは一定期間の取引や資産の推移を社外向けの決算書にまとめることで、財務はこの賃借対照表や損益計算書を元に今後のプランを立案します。今までの実績や活動を振り返る大事な業務と言えるでしょう。

経理・会計・財務のそれぞれの役割と関係性

経理・会計・財務は異なる役割を持ち、それぞれ相互に関係があります。まず経理は先述のとおり日々のお金の流れを管理する部門で、他部署からも馴染みのある領域と言えます。会計は経理が記録したデータを貸借対照表といった形式にまとめ、物品など他の資産とトータルで管理・把握する部門です。

経理や会計と違って、財務は今までのデータを分析・研究することで会社の未来図を描きます。今後の目標に必要な資金を確保したり、割り振った予算が実際に消化できているか確認したりします。

つまり財務は経理・会計の仕事あってこその分野と言えます。事業戦略を立てる上で財務は大切な役割を果たしますが、財務担当者がより効率的でより展望に富んだ将来図を描くためには経理や会計の日々の業務が欠かせません。

経理の主な業務内容

経理は毎日の現金管理以外にも、給与計算や税金の納付など会社の基礎を支える多くの業務を担っています。月締め・年締めの作業も多いことから時期によっては忙しくなりやすい部門でもあります。経理の仕事内容について詳しく確認しましょう。

資金管理

経理の担当する一番大きな業務が資金管理です。現金のやり取りが発生した場合、請求書やレシートなどの帳票書類を元に現金出納帳へ記帳します。また急で細かい出費や交通費などに使う小口現金の管理も経理の仕事です。小口現金も会社の立派な資産ですので、慎重に扱いましょう。

他にも経理の管理する資金の中には以下のような情報も含まれます。

・仕入や売上
・買掛金・売掛金
・請求書や領収書などの発行

現金以外の取引も同様です。交通系マネーやクレジットカードなどの非現金決済も、記録と実値があっているか確かめなければなりません。ただ電子決済などは利用記録が残るため、経理の負担を減らすために導入されるケースが増えています。請求書も同様に簡単かつ安全に管理できることから、帳票システムの導入が進んでいます。

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給与や社会保険料の計算

従業員へ支払う給与や社会保険料の計算も経理の重要な仕事です。勤務時間や会社の規定を鑑み、まずは給与の総支払額を決定します。それから勤務形態や出張の有無、住環境などさまざまな要素を考慮して社会保険料や税金の控除額、また各種手当を算出しましょう。こうして、経理が計算した内容に基づいて給与が支払われます。

算出した社会保険料を給与から天引きしたのち、今度は源泉所得税を所定の窓口に納付します。年末になれば、大まかに計算していた税額を確定させる年末調整も手掛けるでしょう。このように月次・年次の折り目で作業量が増えることもあり、規模の大きい会社では経理業務の一部を人事や総務が受け持つことも少なくありません。

財務諸表の作成

財務諸表の作成は会社によっては会計業務の一部ですが、今までの記録をまとめ直すという仕組み上、経理が担当することもよくあります。財務諸表とは会社のお金周りを記録する書類のことで、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の3つが代表的なものです。こうした書類は決算書とも呼ばれます。

決算書をスムーズに作成するには日々の記帳が正確に成されていることが欠かせません。当該年度の記帳を完了したあと、決算整理仕訳・試算表の作成に移ります。

近年では、保存されているデータを参照して簡単に各種書類を作成できる帳票システムも登場しています。財務諸表は会社の今年の頑張りを評価する重要な書類です。ミスなく簡単に作成するには、こうしたシステムの利用も検討してみましょう。

税金の計算・納付

経理では源泉所得税以外にも各種税金を計算し、納付する役割があります。扱う税金の具体例は以下のとおりです。

・所得税
・消費税
・法人税
・法人住民税
・固定資産税
など

給与明細や決算書を元に申告書を作成し、税務署や都道府県税務事務所など所定の窓口に納付します。このとき、Excelや会計ソフトを利用すれば税額の決定にまつわるさまざまな条件を踏まえた上で算出してくれます。

税の計算や申告といった業務は税理士と契約して依頼する場合も少なくありません。特に社員数の多い大企業であれば、顧問税理士に依頼するケースも多いでしょう。

会計の主な業務内容

日々の支払いを記帳する経理業務を含め、そのときどきで増減する資産の記録・管理を行うのが会計です。管理会計と財務会計という大きな2つの目的も含め、会計の業務内容について確認しましょう。

会計業務の範囲

会計の業務は会社の資産の記録・管理です。毎日のお金のやり取りも会計の主要な業務ではありますが、一般には経理と呼ばれることが多いでしょう。つまり経理とは会計業務の一部分を指す言葉と言えます。

会計業務では備品・土地・建物といった金銭以外の資産も取り扱います。財務諸表・決算書の作成や経営状況の把握といった中長期的な資産の推移も会計らしい業務です。一年に一度の決算では普段の経理では扱わない減価償却費の計算や、年度をまたぐ費用の繰り越しなどを行うため、慌ただしくなりがちです。

会計業務の種類

会計業務は目的と対象の違いから管理会計と財務会計の2つに分かれます。それぞれの作成理由や重視すべきポイントを以下で簡単にまとめます。

管理会計

管理会計は主に社内向けに記録をまとめることで、会社の上層部や経営者を対象としています。現時点で業績を伸ばしている部門・伸び悩んでいる部門、かかった原価や予算とのズレなど、会社の今を把握するために必要な情報をまとめます。

経営者は管理会計の情報を元にして業務の改善や今後のプランを策定します。このため、会社の現在を正確に写し取ると同時にある程度のスピード感も重要です。

管理会計はあくまで会社内部に向けられた書類をまとめるため、制作に関する法的なルールはありません。会社独自のフォーマットでまとめる他、場所によっては管理会計を行わないこともあるでしょう。

財務会計

財務会計は主に社外向けにまとめた会計のことで、株主や金融機関など会社の経営に関わる社外の人に向けて作られます。情報を開示することで会社の健全性や将来性をアピールすると同時に、今後も資金・技術協力を行うかどうかの参考としてもらう側面があります。

管理会計と違う点として、財務会計は法律上必ず実施しなければなりません。また独自のやり方でまとめられる管理会計とは異なり、財務会計は法律に定められたルールに則って書類を作成する必要があります。

財務会計の軸になる書類が財務諸表です。条件をクリアした財務諸表を作るには、日々の経理の時点で基準を満たす必要があります。毎日の積み重ねがものを言う業務と言えるでしょう。社外の利害関係者にも関わる重大な職務ですので、適切な書類作成を通じてしっかりと乗り切りましょう。

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財務の主な業務内容

財務の業務内容は会計や経理とは異なり今後の経営に関わる側面が強いです。戦略の立案と運用というそれぞれの特徴を以下で確認します。

財務戦略の立案

会社が成長するためには、各分野への投資と回収のサイクルを回すことが肝心です。このサイクルを回す分野や投資規模、回収までの予想期間などを計画することが財務の仕事です。資と回収のサイクルは1カ月や1年といった短いスパンでは回りません。数年かけて見守る中長期的な視点が求められます。

新規の事業や設備に投資するには元手となる資金を調達する必要があるでしょう。さらに、戦争やパンデミックなど不測の事態が起きて軌道を修正する場合のマージンも確保しなければなりません。このように、必要な資金やさまざまなトラブルを見越して目的達成のために立てる戦略こそが財務戦略です。

財務戦略は会社が目指したい方向と不可分です。上記のような理由から、財務部はバックオフィス系でありながら経営部や企画部とも密接な関係を持ちます。

予算管理

財務戦略は立てて終わりではなく、実際に動き出した計画を適宜確認・修正することが欠かせません。財務部では戦略を円滑に回すために予算の管理や資金の確保・運用を行います。

予算管理で最も大切なことは財務諸表など各種データを元に経営資源を明確化することです。情報を揃えて売上予算や利益予算を算出し、各プロジェクトに適切な予算を割り振りましょう。

予算を振って終わりではなく、短期・中期・長期それぞれのタイミングで順調に消化できているかどうかの確認も重要です。分析結果から、プロジェクトや部門の課題を把握し、次の財務戦略に役立てます。このように、財務では会社を回す血液でもあるお金の配分・分析・改善を担当しています。

資金調達

資金調達とは、会社を運営するために必要な資金を何らかの手段で確保することです。資金を得る手段は大きく3つに分けられます。

・デッドファイナンス:負債を増やすことで資金を得ます。期日が来たら利子をつけて返済しなくてはなりません。融資や社債の発行などが主な例です。
・エクスティファイナンス:株式を発行します。デッドファイナンスと比べて返済の必要はありませんが、ステークホルダーが増えることで経営の自由度が下がるリスクがあります。
・アセットファイナンス:資産を売却します。手早くまとまった資金が得られますが、資産が現金化できない場合や相場より低い場合はあまり有効な手段とは言えません。

資金がなければ会社は立ち行きませんが、資金を得る手段は限られています。財務は資金の使い道や規模を明確にし、状況に適した手段を選ぶ必要があります。

資産運用

先ほど述べた資金の調達法のうち、負債の増加や資産の減少なしに資金を得られる手段が資産運用です。会社が得たお金は原則次の経営に回されますが、それでも余剰金が残る場合に使われます。自社株式以外の投資先(株式・債権・不動産)に投資することで利益を狙うやり方です。

資産運用の際は運用機関やリスク・リターンの両面を考慮して運用法を決める必要があります。資産を真に効率的に運用するには専門的な知識が求められます。本格的に資産運用を検討する場合は、外部のプロに相談することもあるでしょう。

他にも、企業の買収や合併(M&A)を通じて自社の企業価値を高める方法もあります。

経理・会計・財務、それぞれの繁忙期

経理・会計・財務はどれも企業のお金に関わる部門ですが、それぞれの繁忙期は異なります。まず経理と会計が最も忙しくなるのは決算書を作る時期です。3月決算の会社であれば、年末調整も関わってくる12月から書類を提出する3月頃までが繁忙期となります。

また会社によっては1年ごとの決算以外にも半年ごとの中期決算や3カ月ごとの四半期決算を行うところもあります。年次決算に比べれば扱う時期は短いですが、手間や重要度は変わらないため慌ただしくなることが考えられます。

一方、財務はすでに出来上がった財務諸表を元に計画を立て、運用することが仕事です。このため3月決算の会社であれば4~6月頃が最も忙しくなります。

まとめ

会社のお金に携わる部門には経理・会計・財務の3つがありますが、役割や目的・繁忙期に違いがあります。経理と会計は重なる部分も大きいため、中小企業では一部の担当者が兼任することも珍しくありません。反面、財務は性質が大きく異なることから経理・会計よりはむしろ経営・企画部と関連しています。

3つの部門の中でも、経理は最も身近でありながら決算書の根幹をなす縁の下の力持ちのような部門です。一つ一つの帳票処理にかかる時間や手間はわずかであっても、積み重なれば他の会計や財務の業務にも影響を与えてしまうでしょう。経理業務、ひいては会社の資金関係の業務を円滑に行うには、日々の仕事の効率化や自動化は欠かせません。

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@Tovasマーケティング担当(コクヨ株式会社)

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