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納品書の保管期間は?電帳法など保存要件についても解説

納品書の保管期間は?電帳法など保存要件についても解説

公開日:2023年12月25日 更新日:2024年3月15日

日々の取引で納品書を受け取ったり、発行したりする機会は少なくないでしょう。商品とともに納品書が送られてきた場合、納品書は一定期間保管しなければなりません。また、納品書を発行したときの控えも、同様に保管する必要があります。

本記事では、納品書の保管期間を解説します。納品書を保管する際の方法や電子帳簿保存法への対応についても併せて紹介しますので、是非参考にしてください。

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そもそも納品書は何のために必要なのか

納品書は、商品・サービスの納品の際に発行される書類です。ここでは、そもそも納品書は何のために必要なのかといった基本事項から納品書の法的な意味、発行の流れを詳しく解説します。

納品書の目的

納品書は商品・サービスを提供した側が、商品やサービスを受け取った側に対して発行する書類です。納品物が注文通りに届いたかを確認できるように、商品などと同時に発送することが多くあります。

納品書には、注文者の氏名や会社名、納品書の発行者名、発行年月日、納品物の数・単価・消費税額、納品物の合計金額などの情報が記されていることが一般的です。受け取り側は、納品書を見ながら品物が注文通りであるかどうかを確認できます。もし誤りや過不足があった場合、納品書の情報を元に納品物の交換や内容の訂正などを行えます。

納品書の目的は取引の透明性を保ち、両当事者間での誤解やトラブルを防ぐことです。会計や税務処理、在庫管理など、ビジネス運営の多くの面で重要な役割を担います。

納品書の法的な意味

納品書は法的に発行する義務がある訳ではないため、日常的な取引では納品書が発行されないケースもあります。ただし商品やサービスを確実に相手に渡した証拠として有効なので、取引の透明性を保ちつつスムーズに完了させるために必要なものです。

納品書は、下記のように紛争解決の際の証拠資料として機能します。

・商品・サービスの代金が支払われないなどのケースで、納品が行われたことの証拠となる
・納品された商品に品質上の問題や破損があった場合、その商品がいつどのような状態で納品されたかを示す証拠となる(返品・交換・修理の際にトラブルを防止しやすい)

そのため納品書を発行した側は、将来的に取引の詳細を証明する必要が生じた場合に備えるため、その控えを保管しておかなければなりません。

納品書発行の流れ

納品書は、荷物の外側または内側に貼り付けて送ることが多いです。信書に該当するので、宅配で送る場合は封筒に入れたあと封をしない状態で送ることが基本です。

納品書の発行が納品するタイミングに間に合わなかった場合は、発送した後なるべく早く送付します。納品書を別送する場合は、郵便やFAX、メールなどで送る方法があります。電子メールで送る場合は、PDF形式などの電子文書として添付するのが一般的です。いずれかの方法で納品書を発行したら、発行した側は、控えを保管しておきます。

法人の納品書の保管期間は?

納品書などの帳簿書類は、税法と会社法によってそれぞれ保管期間が定められています。ここでは税法と会社法に分けて、法人の納品書の保管期間を詳しく解説します。

税法では7年間

法人税法では納品書の他、注文書や契約書、領収書、見積書などの帳簿書類は原則7年間の保管が義務付けられています。具体的には、事業年度の確定申告書の提出期限から7年間保管しなければなりません。

法人の確定申告の期限は、事業年度が終了した日の翌日から2カ月以内となっているため、7年と2カ月の保管が必要です(法人税法施行規則第67条の2)。例えば4月1日から翌年3月31日までが事業年度となっている場合は、翌年度の6月1日から7年間保管をする必要があります。

帳簿書類の保存で重要になってくるのはあくまでも事業年度であり、発行日ではない点に注意しましょう。別の日に発行された帳簿書類でも、同一の事業年度内に発行されれば、保存期間も同じです。

※参考:e-GOV法令検索.「法人税法施行規則

会社法では10年間

会社法では、会社の設立や運営するために守るべきルールが定められており、事業を行う中で作成した計算書類の保管期間についての定めもあります。税法では帳簿書類単体で保管年数が設定されているのに対し、会社法では「計算書類(貸借対照表や損益計算書など)の附属明細書」として扱われます。

会社法では、計算書類は作成したときから10年間、附属明細書とともに保管しなければなりません。計算書類を作成したときとは決算の締め日のことを指すため、決算の締め日の翌日から10年間保管する必要があります(会社法第435条4)。例えば4月1日から翌年3月31日までが事業年度となっている場合は、翌年度の4月1日から10年間です。

※参考:e-GOV法令検索.「会社法」

納品書を発行した後の控えはどう管理すべき?

納品書を発行する際、原本は納品先へ渡してしまうため手元に残りませんが、納品書の控えを残しておくことがあります。納品書の控えは、自社で発行した納品書の内容を後で確認するために重要です。例えば納品書の記載に誤りがあった場合、控えがあればそれを確認し、必要に応じて訂正や再発行を行えます。

納品書の控えに受領印をもらうことで、受領書としての機能も果たします。納品が確実に行われたことの証明となり、特に法的な紛争が生じた場合に重要な証拠となるでしょう。こちらの場合、一定期間保管が必要になるケースもあるため破棄する前に社内規定を確認する必要があります。

納品書の控えは、紙の文書としてファイリングするかスキャンしてデジタル形式で保管するのが一般的です。

納品書の保管方法

先ほども触れたように、納品書の保管方法は紙もしくは電子データの2つです。昨今では、電子化へ移行する企業も増えています。ここではさまざまな取引先に対応できるよう、納品書の保管方法を詳しく解説します。

紙で保管する

納品書を紙で受け取った場合は、そのまま紙で保管できます。自社で紙の納品書を発行し、控えを保管する場合もそのまま紙で保管可能です。

納品書を事業年度ごと、または月別に分類してファイリングします。ファイルには明確なラベルを付け、内容が一目で分かるようにするとよいでしょう。必要な納品書が入っているかどうかがすぐ判断できるようにしておくことが重要です。

湿気や日光、害虫などから保護するだけでなく、防火対策も考慮する必要があるなど紙ならではのデメリットがいくつかあります。取引量が多い場合は、膨大な量の書類から目当てのものを探さなければならないため、保管方法に工夫が必要です。スペースを有効利用するために、コンパクトなファイリングシステムや収納を使用するとよいでしょう。

電子データで保管する

電子帳簿保存法の改正に伴い、納品書の電子保管に関するルールが変わりました。これにより納品書を紙で受け取った場合でも、電子化して保管できるようになっています。

一方で納品書をメールなどで電子的に受け取った場合は、電子取引に該当するため、紙ではなく電子データのまま保管することが義務付けられています。例えば電子データで送られてきた納品書を紙に出力して保管する方法は不可能なので、注意が必要です。

また紙の納品書をスキャナ保存する場合も、電子帳簿保存法の要件に従って保管する必要があります。重要書類・一般書類ともに一定水準以上の解像度(200dpi以上)など、細かく定められているため注意しましょう。要件の詳細は、後の項目で詳しく解説します。

納品書を電子データで保管する際の要件

納品書を電子データで保管する方法は、紙で受領したものをスキャナで読み取るか、電子データで受領しそのまま保存するかのどちらかです。2つのケースに分けて、納品書を電子データで保管する際の要件を解説します。

紙で受領した場合

電子帳簿保存法では、紙で受領または作成した納品書などの帳簿書類をスキャナでデータ化して保存する際の要件が、定められています。スキャナ保存するためには、真実性の確保と可視性の確保の要件を満たさなければなりません。

・真実性の確保:改ざんなどを防止すること
・可視性の確保:書類をスムーズに検索できるようにすること

以下、それぞれの要件を詳しく解説します。

スキャナ保存における真実性の確保

真実性の確保とは、スキャナ保存をする際に改ざんや削除を防止するための要件を確保することです。保存要件は重要書類と一般書類に分かれており、納品書は前者に該当します。それぞれの要件は、以下のとおりです。

項目 要件(重要書類)
入力期間の制限 ・早期入力方式:作成・受領後7営業日以内
・業務処理サイクル方式:業務の処理にかかる通常の期間(2カ月以内)を経過した後7営業日以内
一定の解像度による読み取り 200dpi以上
カラー画像による読み取り 赤・緑・青それぞれ256階調(約1,678万色)以上
タイムスタンプの付与 ・総務大臣が認定する業務に関連するものでなければならない
・保存期間を通じてスキャナデータが変更されていないことを確認できる必要がある
・課税期間中の任意の期間を指定して、一括して検証できるものでなければならない
・文書をスキャンして電子データに変換したことが入力期間内に確認できる場合、それをもってタイムスタンプの付与に代えられる
ヴァージョン管理 スキャンした文書のデータは、後から訂正・削除されていないことを確認できるように管理するか、または最初から訂正・削除が不可能なシステムを使って保管する

スキャナ保存における可視性の確保

可視性の確保とは、税務調査の際に書類をすぐに検索できる状態で保管することです。可視性の確保についても、重要書類の要件を満たす必要があります。可視性を確保するための要件は、以下のとおりです。

項目 要件(重要書類)
帳簿との相互関連性の確保 スキャンした文書がどの帳簿の記録に対応しているのか、簡単に見てすぐに分かるようにしておく(重要書類のみ)
見読可能装置等の備え付け 14インチ(映像面の最大径が35cm)以上のカラーディスプレイ、カラープリンタとその操作説明書を備え付ける
速やかに出力すること 以下の4つの状態で出力できるようにしておく
1.整然とした形式で出力できる
2.書類と同程度に明瞭な状態で出力できる
3.拡大または縮小して出力できる
4.4ポイントの大きさの文字を認識できる
システム概要書等の備え付け スキャナ保存システム等の概要書、仕様書、操作説明書、スキャナ保存の手順や担当部署などを明らかにした書類を備え付ける
検索機能の確保 ・以下の3つの要件を満たす
1.取引の年月日、金額、取引先などの詳細情報を使って文書を検索できるようにする
2.日付や金額に関する項目で、特定の範囲を指定して検索できる機能を設ける
3.2つ以上の異なる記録項目を組み合わせて検索できる機能を設ける
・ただし、税務職員のダウンロード要求に応じられるようにしている場合、2と3は不要

電子データで受領した場合

納品書をメールやクラウドサービスからのダウンロードなど電子データで受領した場合は、電子データのまま保管しなければなりません。電子データを保管する場合も真実性の確保と可視性の確保の要件を満たす必要があります。

電子取引の保存要件は以下のとおりです。

項目 項目 要件
真実性の確保 タイムスタンプの付与 以下の4つのうちいずれかを満たす
1.タイムスタンプがすでに付与された取引情報を受け取る
2.取引情報を受け取った後すぐにタイムスタンプを付与し、取引情報を保存する人や、その監視を行う人の情報を確認できるようにシステムを整える
3.取引情報の訂正や削除が行われたかどうか確認できるシステムを使うか、あるいは訂正・削除自体が不可能なシステムで取引情報を受け取る(もしくは保存する)
4.訂正や削除を防ぐための具体的な手順やルールを定め、それに基づいて運用する
可視性の確保 関連書類の備え付け システム概要書、基本設計書などの書類を備え付ける
見読性の確保 ・保存場所に、パソコンなどの電子計算機・プログラム・ディスプレイおよびプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付ける
・ディスプレイの画面および書面に、整然とした形式および書類と同程度に明瞭な状態で出力できるようにしておく
検索機能の確保 ・以下の3つの要件を満たす
1.取引の年月日、金額、取引先などの詳細情報を使って文書を検索できるようにする
2.日付や金額に関する項目で、特定の範囲を指定して検索できる機能を設ける
3.2つ以上の異なる記録項目を組み合わせて検索できる機能を設ける
・ただし、税務職員のダウンロード要求に応じられるようにしている場合、②③は不要

国税庁.「電子帳簿保存法が改正されました」

納品書を電子化して保管するメリット・注意点

納品書を電子化して保管するメリットが多くある一方で、いくつかの注意点もあります。メリット・注意点の両方を整理しつつ、計画的に電子化への移行を進めましょう。それぞれ詳しく解説します。

電子化のメリット

納品書を電子化して保管するメリットは、保管スペースを削減できることです。納品書は最長10年保管しなければならないため、紙のまま保管すると量が膨大になってしまい、特定の書類を探し出すのに手間がかかります。納品書を電子化することで保管スペースが不要になり、ファイルや印刷にかかるコスト削減にもつながるでしょう。

業務効率化を実現できることも、納品書を電子化して保管する大きなメリットです。電子データは紙に比べて管理が容易で、必要な書類をすばやく検索できます。また即座に取引先に送信できるため、紙の郵送に比べて大幅に時間を節約できます。データベースや会計システムと簡単に連携でき、データ入力の手間が省けることも重要なポイントです。

電子化する際の注意点

納品書を電子データで保管する場合は、電子帳簿保存法の要件を確認して正しく保管する必要があります。特に「重要書類」と「一般書類」の区別に注意し、納品書が重要書類に該当する場合の規制を遵守しましょう。

電子化した納品書のデータ管理には、細心の注意が必要です。情報漏えいなどのリスクを避けるため、適切なアクセス権限の設定やアクセスログの記録が可能なシステムの導入、社内ルールの規定を進めておきます。

システムを導入する場合は、電子帳簿保存法に対応しているか、セキュリティ対策は問題ないかなどを確認しましょう。

まとめ

納品書の保管期間は、税法では7年、会社法では10年と定められています。紙で受領した納品書は電子データとして保管できますが、電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。また納品書を電子データで受け取った場合は、電子帳簿保存法の要件を満たした上で電子データのまま保管しなければならない点にも注意しましょう。

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@Tovasマーケティング担当(コクヨ株式会社)

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