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立替経費精算とは?経費精算の手順や仕訳対応について解説

立替経費精算とは?経費精算の手順や仕訳対応について解説

公開日:2024年2月16日 更新日:2024年3月15日

本来、事業を営むために必要な費用は会社が支払います。しかし、外出や出張の際に急な支払いが必要になるケースもあるでしょう。その場合、交通費や交際費など一部の経費については従業員が立て替えることも珍しくありません。従業員が経費を立て替えた場合は、後に立替経費精算の処理が必要になります。

そこで本記事では、立替経費精算の手順や仕訳方法、注意点などを解説します。立替経費精算の処理を効率化する方法も解説するので、ぜひ参考にしてください。

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立替経費精算とは

従業員が経費を立て替えた場合、立替経費精算の手続きをして立て替えた分の費用を会社から支払います。立替経費精算をするには、どのような処理が必要になるのでしょうか。ここでは、立替経費精算とは何かについて詳しく解説します。

従業員が立て替えた経費を精算する処理

立替経費とは、本来は会社が支払うべき費用を従業員が一時的に立て替えることです。従業員に経費を肩代わりしてもらっている状態になっているため、会社はその分の費用を返さなければなりません。従業員が立て替えた費用を精算する処理が、立替経費精算です。詳しくは後述しますが、立替経費精算では手続きのステップに応じて仕訳を行い、正しい会計上の処理を行う必要があります。

なお、「立替金」と似たような言葉に「仮払金」がありますが、異なる意味なので注意が必要です。「立替金」は従業員や取引先などが支払うべき費用を会社が負担すること、「仮払金」は経費として必要な費用を事前に従業員に概算で支払うことです。それぞれ処理方法が違うため、混同しないように注意しましょう。

立替経費精算が発生するケース

従業員が社外で業務を行ったり、業務に必要なものを購入して費用を立て替えたりした場合などに、立替経費が発生します。金額は数百円~数千円程度と少額なケースが多いですが、場合によっては数万円~数十万円など高額になることもあるでしょう。特に、取引先との接待飲食費や出張した際の宿泊費は高額になりがちです。

ここでは、代表的な立替経費の例をいくつか紹介します。

・取引先との接待飲食費(レストランや居酒屋、カフェなどへの支払い)
・取引先へ移動する際にかかった交通費(電車・バス・タクシーなど)
・出張をした際の宿泊代
・出張した際に利用したタクシー代
・取引先を車で訪問し駐車場を利用した際の駐車場代
・業務に必要な文房具や書籍を購入した際の費用

立替経費精算の一般的な手順

立替経費精算を行う場合の一般的な手順は、以下のとおりです。会社によって細かい部分は異なりますが、基本的な流れはほとんど変わりません。立替経費精算をする際の基本的な手順として、参考にしてください。

1.経費精算の申請をする

まず、経費を立て替えた従業員が会社に経費精算の申請をします。その際、領収書や明細書など支払いの内容がわかるものを一緒に提出しなければなりません。

なお、企業によっては経費精算書の作成が必要なケースもあります。印刷したものに手書きで記入するか、フォーマットに入力するなどの方法で提出することが一般的です。「支払った日から10営業日以内に申請する」など、申請期限に関するルールが設けられていることもあります。

2.経費申請の承認をする

経費精算をする前に、上司や管理者が承認をするのが一般的です。上司や管理者は経費精算書と領収書や明細書の内容を確認し、会社のルールとも照らし合わせて問題がなければ承認をして経理処理に進みます。

一方、経費精算書や領収書などに不備があった場合は差し戻しになります。また、会社のルールに合わない場合も承認が下りません。事前に不備がないかを確認するとともに、ルールに即した方法で手続きすることが大切です。

3.仕訳処理をする

経費申請が承認されたら、経理担当者は経費の内容に基づいて仕訳処理をします。詳しくは後述しますが、経費を立て替えた従業員が借方、会社側を貸方とし、立替金として仕訳をしなければなりません。

勘定科目は支払った費用の内容によって、交通費、消耗品費、接待交際費などを使います。どの勘定科目を使うべきか判断に困る場合は、税理士や税務署に確認すると良いでしょう。

4.精算金を支払う

立替経費の経理処理が終わったら、指定日に従業員の口座へ精算金を振り込みます。ただし、立て替えた費用が数百円など少額の場合、経理であらかじめ用意している小口現金からその場で精算金を支払うことも珍しくありません。

ただし、小口現金を使うと細かい金銭の受け渡しをすることになるため、残高が合わなくなることも起こります。加えて、小口現金を使用した場合は定期的に経理に報告しなければならないので、手間がかかる点に注意が必要です。

立替経費を精算する際の仕訳方法

立替経費の精算にあたっては、精算時・精算金支払い時の2段階で仕訳をしなければなりません。ここでは、取引先を訪問した際にタクシー代を立て替えたケースを例にして、具体的にどのような仕訳が必要になるのか解説します。

精算時の仕訳方法

従業員から立替経費精算の申請があり、承認が下りたタイミングで精算時の仕訳処理が必要です。立て替えた費用の内容に合わせて消耗品費や旅費交通費、交際費などの勘定科目を使用します。

後に従業員に立て替えてもらった分を支払いますが、この段階ではまだ実際に支払っていないため相手科目は未払金を使います。摘要欄には、後で確認しやすいように立替日や費用の内容などを記載しておくと良いでしょう。以下で具体例を紹介しますので、精算時の仕訳処理をする際の参考にしてください。

例)従業員から「12月1日に取引先を訪問した際にタクシーを使い、代金1,000円を立て替えた」と報告があり、タクシー代の領収書および経費精算書を受け取った。

借方 貸方 摘要
旅費交通費 1,000 未払金 1,000 12月1日交通費

精算金支払い時の仕訳方法

預金口座から従業員に精算金を振り込む際にも、仕訳処理が必要です。従業員に精算金を支払う時は未払金を取り崩した上で、相手科目に現金預金を使って仕訳を行います。

なお、精算金支払いの指定日がある場合は、計上日を指定日にすることが一般的です。また、給料日に給料とまとめて精算する場合でも、精算金の分は基本的に課税対象にはなりません。先ほどの例で精算金支払い時の仕訳をする方法を紹介します。

例)従業員から「12月1日に取引先を訪問した際にタクシーを使い、代金1,000円を立て替えた」と報告があり、タクシー代の領収書および経費精算書を受け取った。その後、従業員に立て替えていた分を支払った。

借方 貸方 摘要
未払金 1,000 現金預金 1,000 12月1日交通費精算

立替経費を精算する際の注意点

スムーズな立替経費精算をするには、事前に社内ルールを設けておくことが大切です。ここでは、立替経費精算する際の注意点を解説します。

申請期間を設定する

立替経費の精算に関しては、申請期間を設定しておくのがおすすめです。本来、立替払いをしたとしても精算までの期間に法的な決まりがある訳ではありません。しかし、社内ルールで申請期間を設定しておかないと、精算業務が効率的に進まない可能性が出てきます。

例えば、半年以上前に立替払いをした費用を清算しようとしても、立替払いしたときの状況を思い出せないケースもあるでしょう。そのため、社内ルールで申請期間を設定しておく必要が出てきます。

具体的なルールは会社の実情に応じて決めて構いませんが、1ヵ月程度が妥当なところでしょう。多くの企業では、「1月中に立て替えた経費は2月5日までに申請する」といったルールを設定していることが多いようです。

立替金額の上限を設ける

立替金額には、上限を設けておくことも重要です。立替金が高額になると、従業員の負担になりかねないためです。例えば、会社から近隣の取引先へ移動する場合の電車・バス・タクシー代や消耗品費など少額の支払いであれば、立替払いでも問題ありません。しかし、海外出張に行く際の航空券・ホテル代や長期出張中の経費などは数十万にも達する可能性があり、従業員にとってかなりの負担になります。

高額になることが明らかな場合は、前もって概算払いをすることも少なくありません。従業員に高額な物品を購入してもらう場合は、法人クレジットカードを貸与することも一つの方法です。会社の銀行口座から請求額が引き落とされるため、従業員が立て替える必要がなくなります。

立替経費精算における課題

立替経費精算は申請や支払いの手続きに手間がかかることも少なくありません。立替経費精算をトラブルなく進めるためには、社内の体制を整備しておく必要があります。その際に課題になることをいくつか紹介しましょう。

申請手続きに手間がかかる

立替経費精算の申請をするためには、書類の作成や管理者の承認、経理担当者の仕訳などが必要です。また、精算処理に間違いがないようチェックしなければならないため、件数が多ければ多いほど時間と手間がかかります。担当者数が少ないと、業務負担が過大になるため注意しなければなりません。

さらに経費を立て替えた従業員は、精算手続きをするまでの間、領収書やレシートを紛失しないように保管しておく必要があります。万が一、領収書やレシートを紛失してしまった場合はどうするかも含め、業務フローを整備しておくことが望ましいでしょう。

小口現金を管理する必要がある

小口現金とは、少額の支払いが発生したときに使うために手元に用意しておく現金のことです。企業によっては立替経費精算をするために、経理担当部署に用意しているケースもあります。しかし少額とはいえ現金である以上、小口現金を使うときは小口現金出納帳で管理をしなければなりません。

他の従業員が勝手に使ったり出納帳に記載を忘れたりした場合、帳簿上の残高と実際の残高に差が生じるので、厳密な管理が必要です。帳簿と現金の金額に差が生じた場合の原因究明も求められるため、担当者の負担が大きくなることもあります。

従業員の負担になる

立替経費の支払金額が大きいと、従業員の負担になる可能性が出てきます。立替経費の支払日が月に1回など決まっている場合は、実際に支払った日から現金を受け取れる日までタイムラグがあるため注意が必要です。特に高額な費用を立て替えている場合は負担が大きく、従業員の生活にも影響する可能性が出てきます。

高額の立替が発生した場合は、なるべく早い時期に精算金を支払う必要があります。「1件あたり5万円以上の立替だった場合は、内容の確認が完了次第従業員に支払う」などルールを設け、従業員の負担を減らす配慮も必要です。

処理件数が多いとミスが発生しやすい

立替経費精算の処理を手作業で行っている場合、処理件数が多いほどミスが発生しやすくなることにも注意しなければなりません。例えば、領収書の紛失や書類の記載ミス、仕訳ミスなどが発生するおそれがあります。

担当者が十分気を付けていても人がやることである以上、完全にミスを防ぐことはできません。また、経費を立て替えた従業員が経費精算の申請をし忘れてしまうミスが発生することもあり得ます。

担当者や経費を立て替える従業員がミスをしない意識を持つことも重要です。しかし、それ以上にミスを発生させにくい仕組み作りが求められます。

立替経費精算の負担を軽減するには?

前述したとおり、立替経費精算の負担を軽減してミスを減らすためには、仕組みづくりが重要です。ここでは、負担を軽減するための対策をいくつか紹介します。

法人用クレジットカードを使う

立替経費精算の処理を軽減する方法として、法人用クレジットカードを複数枚用意しておき、従業員に渡しておく方法が考えられます。経費の支払いが発生したときは、その法人用クレジットカードで支払えば、従業員が立替払いをする必要はありません。また現金を扱ったり、経費精算の申請をしたりすることも不要になります。従業員や担当者の業務負担を軽減できることが大きなメリットです。

ただし、法人用クレジットカードの利用を従業員の裁量に完全に任せてしまうと、業務外の支払いに使われるなどのトラブルも起こり得ます。導入にあたっては、法人用クレジットカードの利用に関するガイドラインを設けるなど、一定のルールを設けておくことが不可欠です。

経費精算システムを導入する

経費精算のミスや負担を減らすためには、手作業をなるべく減らすことが重要です。そのために有効な方法として、経費精算システムの導入が挙げられます。

経費精算システムを導入すれば、経費精算に関わる書類の作成、申請、承認、仕訳などの処理をシステム上で行うことが可能です。書類を作成したり、手作業で入力したりする手間がなくなるため、業務負担の軽減にもつながるでしょう。

インターネット環境があれば外部からでも申請や承認ができるので、出張先や外出先から処理を進められます。また、リモートワークで自宅から手続きをすることも可能です。担当者や上長が次に出社してくるまで承認が下りず、業務が進まないということもありません。

経費精算に関わる書類を電子化する

なるべく紙を扱わず手作業を減らすという意味では、経費精算に関わる書類を電子化することも効果的です。書類の電子化により紙の書類を扱う必要がなくなるため、紛失や汚損などのミスが発生しにくくなります。

またファイリングをしたり、必要な書類を探し出したりする際の手間もかかりません。書類を電子化すれば簡単な操作で書類を整理し、検索もできるようになるので、業務の効率化にもつながります。

なお領収書は法人の場合、7年間保管しなければなりません。このとき、電子データとして保管すれば保管スペースの削減もできます。ただし、電子帳簿保存法の規定に則った方法で保管する必要があるため、法律の規定を確認しながら進めましょう。

まとめ

立替経費精算は従業員が立て替えた経費を精算することです。経費精算をするためには、一般的に従業員の申請、管理者の承認、経理担当者の処理が必要になります。立て替え払いが多いと、経費精算にかかる業務が増えて従業員の負担も大きくなります。本記事を参考に、法人用クレジットカードの使用やシステムの導入などを検討しましょう。

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@Tovasマーケティング担当(コクヨ株式会社)

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