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過入金の仕訳処理は?返金や次月持越しなどパターン別の計上方法を解説

過入金の仕訳処理は?返金や次月持越しなどパターン別の計上方法を解説

公開日:2023年3月13日 更新日:2024年4月17日

誤請求や振込金額の誤りなどにより、請求金額よりも入金金額が多い過入金が発生することがあります。過入金が発生した場合、返金や次月持越しなどの処理が必要ですが、頻繁に発生することではないため処理のしかたがわからないという方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、過入金が発生したときの処理方法や仕訳方法などを解説します。あわせて過入金を防止する方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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過入金が発生する原因は?

過入金が起きる原因は請求側のミスと入金側のミスに分けられます。過入金が発生した際のケーススタディを元に原因について考えましょう。

誤請求による入金

請求書の記載内容が正しい請求金額よりも多かった場合、取引先が請求書の間違いに気付かないまま入金してしまうと過入金になります。誤請求による過入金が発生した場合は、請求者側のミスになるため、すみやかに先方に連絡し謝罪しましょう。

よくある事例としては、本来キャンペーン価格で値引きされていたところに通常料金で請求を行ったパターンです。また通常価格を改定し以前より安い値段で売買を行っていた場合も、旧来の高い金額で請求を行った場合は誤請求となります。

振込金額の記載ミス

請求書の内容に不備はなかったものの、先方が勘違いをして余分に入金してしまったケースもあります。ただし、このケースでは先方が単に誤認していた以外にも来月分の請求をあえて上乗せして支払っている場合が考えられます。請求金額よりも多い入金が確認されたら、まずは先方に連絡を取って意図を確認しましょう。

もし先方のミスであり、返金を希望された場合は原則として取引先の方に振込手数料を負担してもらいましょう。いずれにせよ先方の意向確認が必要です。

二重振込

なんらかの手段ですでに入金されていたにも関わらず、再度同じ金額が入金され二重振込になっているケースもあります。入金方法を変更した場合などに発生しがちです。例えば先月までは現金決済だったところをクレジットカードに切り替えた結果、両方の窓口から入金されたなどの状況が考えられます。

二重振込の場合は原則として入金側のミスです。もし二重振込を受け取ったらその旨を連絡し、返金対応の有無について確認しましょう。

過入金が発生した場合の対処方法

過入金が発生したら、状況の確認や処理の方法について先方と相談する必要があります。相手の意向次第では、仕訳の名目やお金の流れが変わります。以下で詳しく確認しましょう。

取引先へ連絡する

原因にかかわらず、過入金が起きた時点でまずは取引先に一報を入れます。請求側の過失により過入金が起きた場合は丁重に謝罪を入れましょう。先方の不備だった場合も、こちらの案内が分かりにくかったことも考えられます。今後の対応について誠意をもって話し合いましょう。

このとき過入金が起きた日付と金額、判明している原因を可能な限り共有することが大切です。仮に相手のミスであっても、黙って返金すると今度は先方で混乱が起きてしまいます。状況をフラットに見るためにも、事実を客観的に共有することが大切です。

請求書を修正する

自分の会社が発行した請求書に不備があったら、修正した請求書を相手に送る必要があります。二重請求を防ぐため、再発行した請求書には【再発行】の旨を明記しましょう。元の書類と関連しつつも異なる内容であることを示すには、枝番の記載も有効です。郵送する際は送り状を同封し、書類の取り違えを防ぎます。

電子請求書であれば請求書を修正してすぐに送れるというメリットがあります。過入金の処理には請求書だけでなくさまざまな手続きが必要ですので、システムを利用するなどしてそれぞれの作業工程を圧縮するとよいでしょう。

返金処理をする

先方のミスでの過入金かつ返金を希望された場合、すみやかに処理を行いましょう。なお過入金から返金までの仕訳方法は後述します。

振込で返金する場合は原則として過失があった方(先方)が手数料を負担します。手数料をわざわざ別に支払ってもらうと手間がかかるため、こうした事例では返金額と相殺することが一般的です。返金方法を相談する際、手数料を負担してもらうことと相当額を返金額から差し引くことを念のため相手にも伝えましょう。

次月持越しにする

先方の希望次第では過入金を翌月に持ち越して次回の請求と合算することも可能です。この場合はお金を前もって受け取ったことを表す前受金として処理しましょう。前受金を受け取った側は将来的にサービスや商品を渡す義務が生じるので、継続的に取引のある企業でよく用いられます。

翌月持越し(前受金)とした場合、翌月の請求書から前受金の分を差し引いて請求します。前受金で一部の請求を相殺したことは請求書の備考欄に記載しておくと親切でしょう。

過入金の仕訳方法

過入金の仕訳方法は大きく3パターンに分かれます。まず自社のミスで過入金を誘発してしまった場合、借方に仮払金と記入しましょう。仮払金とは、支払ったものの内容が不明瞭な場合に使う勘定科目です。金額は本来の価格から多い分のみとします。

次に先方のミスにより過入金が発生し、かつ全額返金する場合です。こちらも本来の金額より多い分を仮受金とし、内容が確定し次第改めて正しい勘定科目に振り分けます。

最後に先方のミスかつ翌月請求と相殺する場合です。こちらは仮受金として仕訳した後、改めて前受金として計上します。最初から前受金で仕分けすることも可能ですが、過入金の事実が後から分かりにくくなってしまうので避けた方が無難でしょう。なお詳しい仕訳の流れは後ほど確認します。

過入金を受け取った場合の計上方法

過入金があった場合、最終的な処理の方法にかかわらず、まずはすべて仮受金として仕訳します。その後の仕訳は先方の意向によって異なります。以下で詳しく確認していきましょう。

全額返金する場合

受け取った過入金を一回の振り込みですべて返金する場合について確認しましょう。今回は50,000円の請求に対して500,000円入金されていたケースを想定します。まずは借方に入金された全額を記載し、貸方では差額を仮受金とします。

借方 貸方
科目 金額 科目 金額
現金預金 550,000 売上 50,000
仮受金 500,000

次に、全額を返金してから以下のように仕訳を行います。手数料の220円は先方負担としました。上段の現金預金には、今回入金があった550,000円から220円を差し引いた金額を記入します。

借方 貸方
科目 金額 科目 金額
現金預金 50,000 売上 549,780
仮受金 500,000 現金預金 220

先方不備による過入金ではあまりないケースですが、もしこちらの方で振込手数料を負担する場合、費用科目は支払手数料などがふさわしいでしょう。

過入金分のみ返金する場合

次に、正当な商品代金を除いた過入金分だけ返金する場合を以下にまとめました。今回は50,000円の請求に対して60,000円の入金があった場合を想定します。1回目の仕訳は全額返金する場合と変わらず、入金された全額を現金預金・差額のみ仮受金としましょう。

借方 貸方
科目 金額 科目 金額
現金預金 60,000 売上 50,000
仮受金 10,000

今回は差額の10,000円分のみ返金します。このとき、50,000円は売上としてすでに受け取っているため仕訳には加えません。差額の220円も返金する10,000円から差し引きましょう。借方と貸方の合計金額が一致していれば問題ありません。

借方 貸方
科目 金額 科目 金額
仮受金 10,000 現金預金 9,780
現金預金 220

過入金の仕訳はあまり頻繁に発生するものでもないので、上記の仕訳は後から見返して不自然に感じるかもしれません。不安な場合は摘用欄に「○○会社 過入金分返金」と添えると安心でしょう。

次月持越しにする場合

過入金された分を翌月に持ち越し、次月の請求と相殺する場合の仕訳を以下にまとめました。先ほどと同じく50,000円の請求に対して60,000円の入金があった場合を想定します。返金・持ち越しは1回目の仕訳の後に処理しますので、まずは同じように記入しましょう。

借方 貸方
科目 金額 科目 金額
現金預金 60,000 売上 50,000
仮受金 10,000

先方と協議した結果、売上との差額である10,000円は次月の請求分と相殺することにしました。仮受金が前受金となることが確定しましたので、振替を行います。振替はあくまで過入金にのみ行うので、売上は仕訳に記入しません。

借方 貸方
科目 金額 科目 金額
仮受金 10,000 前受金 10,000
仮受金 500,000 現金預金 220

最後に翌月の商品・サービスの受け渡しが完了した時点で前受金を正式に売上として計上します。2つ目の仕訳で書いた仮受金は、このタイミングで消込みましょう。

借方 貸方
科目 金額 科目 金額
前受金 10,000 売上 10,000
仮受金 500,000 現金預金 220

収益として処理する場合

過入金の金額が大きい場合は返金や相殺などの措置が必要ですが、あまりにも少額の場合は手数料の方が上回ってしまいます。例えば50,000円の請求に対して50,050円の入金があった場合などです。こうしたケースでは先方との相談の結果、そのまま収益として処理してよいと言われることもあるでしょう。

過入金を収益として処理する場合も、まずは売上との差額を仮受金として仕訳します。

借方 貸方
科目 金額 科目 金額
現金預金 50,05 売上 50,000
仮受金 50

そして改めて仮受金分を仕訳します。名目は雑収入が適当でしょう。このような少額の過入金はあまりありませんが、かといって受け取ったお金を黙って収容してはいけません。必ず協議の上、正式なルールにのっとって仕訳を行いましょう。

借方 貸方
科目 金額 科目 金額
仮受金 50 雑収入 50

過入金した場合の計上方法

当社が過入金をしてしまった場合も基本的な計上方法は変わりません。正しい商品代金との差額を仮払金として仕訳しましょう。具体的な事例を4パターン確認します。

全額返金してもらう場合

こちらの手違いで過入金を発生させた場合、まずはいくら余分に入金してしまったかを仕訳で明確にしましょう。今回は50,000円を支払うべきところ、桁を見間違えて500,000円振り込んでしまった事例を例に考えます。払い過ぎた差額450,000円は仮払金として記載します。

借方 貸方
科目 金額 科目 金額
商品 50,000 現金預金 500,000
仮受金 450,000

まずは売上を含めた全額の返金を依頼します。このとき、支払手数料はこちらで受け持ちましょう。返金された金額が支払手数料を含んでいないか確認し、問題がなければ仕訳を行います。

借方 貸方
科目 金額 科目 金額
現金預金 499,780 売上 50,000
支払手数料 220 仮払金 450,000

過入金分を返金してもらう場合

次は商品代金とは別に払い過ぎてしまった分だけ返金してもらう事例についてです。例えば先方からの値下げや割引のお知らせを見落としてしまったケースが考えられます。今回は50,000円の商品に対して60,000円を入金した場合を題に取りましょう。まずは全額返金のときと同様仮払金で仕分けします。

借方 貸方
科目 金額 科目 金額
商品 50,000 現金預金 60,000
仮受金 10,000

過入金が戻ってきた際、仕訳のときは以下の2点に注意します。

・全額返金のときと異なり、売上は計上しない
・手数料を自己負担とする

借方と貸方のそれぞれで合計金額が一致すれば問題ありません。

借方 貸方
科目 金額 科目 金額
現金預金 9,780 仮払金 10,000
支払手数料 220

次月請求分の支払いに充ててもらう場合

普段から取引のある企業に対し、過入金を次回の支払いに充ててもらう場合も基本は仮払金として処理します。例えば50,000円の支払いに対して倍の100,000円を支払った際の仕訳は以下のとおりです。

借方 貸方
科目 金額 科目 金額
商品 50,000 現金預金 100,000
仮払金 50,000

上記の仕訳を行ってから改めて仮払金を前払金として仕訳します。

借方 貸方
科目 金額 科目 金額
前払金 50,000 売上 549,780
仮受金 500,000 仮払金 50,000

そして最後に、商品やサービスの受け取りが完了した時点で費用として計上します。最後にこの処理を行うため、2件目の仕訳はなるべく早めに行うとよいでしょう。

借方 貸方
科目 金額 科目 金額
商品 50,000 売前払金上 50,000

返金不要とする場合

過入金した金額があまりにも少ない場合は、返金に際して先方に余計な手間がかかることになります。もし先方からの同意が得られたなら、そのまま向こうの雑収入として計上してもらう方が手間を減らせるでしょう。

今回は50,000円の請求に対して50,050円支払った場合について考えます。まずは基本のとおり仮払金として仕訳します。

借方 貸方
科目 金額 科目 金額
商品 50,000 現金預金 50,050
仮受金 50

協議した末に先方が雑収入として受け入れてくれる場合、こちら側は過入金分を費用として計上します。今回は支払手数料が妥当でしょう。

借方 貸方
科目 金額 科目 金額
支払手数料 50 仮払金 50
仮受金 500,000 現金預金 220

過入金を防止するには?

過入金は支払う場合と受け取る場合、どちらでも起こる可能性があります。過入金が発生する可能性を減らすには、請求書を送付する前のダブルチェックやマニュアルの徹底が有効です。常にエラーのない正しい書類を送れるよう心がけましょう。このとき各種システムを導入することで確認にかかる手間を減らせます。

先方がミスを起こさないための工夫も重要です。請求書を送ったら内容に相違がないか確認のメールを送る、支払制度が変わる場合は前々からアナウンスをするなど、万一間違いがあっても先方が気付けるようにしましょう。

自分たちが入金する場合も、実際の手続きに移る前に書類に不備がないかどうか念のため確認しておくことが大切です。電子請求書であれば人間の目では見つけにくい間違いを機械的に判断できるため、紙の請求書よりミスの削減が期待できます。

【企業事例:株式会社せんにち様】請求業務の効率化でミスを大幅に削減

株式会社せんにち様は、請求に関わる経理業務の細かい作業や管理をダブルチェック体制でミスを防止していましたが、毎月30時間程かかっていました。

コクヨの電子帳票配信システム『@Tovas』を導入した結果、毎月1000ページ以上の請求書を電子化の上、発行業務の自動化をすることで経理業務を大幅にコスト削減、トラブルを抑制できました。

基幹システムの改修をせずに短時間で実装まで進められた事例となりますので興味のある方は以下リンクのページから資料をすぐにダウンロードいただけます。

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まとめ

過入金に気付いたら、どちらの過失であってもすぐに先方に連絡して対処方法を相談しましょう。過入金分は仮受金ないし仮払金として処理し、具体的な対処が決まった時点で仕訳し直します。場合によっては請求書の再発行が必要になるなど手間がかかるため、過入金を起こさない仕組みづくりが大切です。

コクヨの電子帳票配信システム『@Tovas』なら、請求書をWeb上で送付できるため送付作業を効率化できます。請求書の再発行だけでなく、請求書の送付前チェックや受け取った請求書にズレがないかも簡単に確認できるでしょう。請求業務の効率化を進めている場合は、ぜひ導入をご検討ください。

@Tovasマーケティング担当(コクヨ株式会社)

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